米国消費者物価指数(CPI)2025年3月レポート

発表日:2025年4月10日
出典:米国労働統計局(BLS)

目次

概要

2025年3月の消費者物価指数(CPI-U)は、季節調整済みで前月比 -0.1% の低下を記録した。これは、2024年7月以来のマイナス圏への転落であり、エネルギー価格の急落が主要因である。一方、前年同月比では +2.4% の上昇となっており、インフレは依然として抑制されつつも継続している。

CPI主要項目の動向

【CPI主要項目の動向(2025年3月)】

項目前月比前年同月比備考
1. 総合指数-0.1%+2.4%季節調整済み
2. 食品+0.4%+3.0%
┗ 家庭内食品(食料品)+0.5%+2.4%
┗ 卵+5.9%+60.4%
┗ 牛肉+1.2%
┗ 乳製品+1.0%+2.2%
┗ 野菜・果物-0.5%-0.7%
┗ 外食+0.4%+3.8%
┗ フルサービス+0.6%+4.1%
┗ ファストフード+0.2%+3.4%
3. エネルギー-2.4%-3.3%
┗ ガソリン-6.3%-9.8%
┗ 電気代+0.9%+2.8%
┗ 天然ガス+3.6%+9.4%
4. コア指数(食品・エネルギー除く)+0.1%+2.8%2021年3月以来の最低水準
┗ 住宅(家賃・持家相当賃料)+0.2%+4.0%
┗ 医療(総合)+0.2%+2.6%
┗ 病院サービス+1.1%+3.7%
┗ 医師サービス+0.3%+2.9%
┗ 医薬品-2.0%
┗ 自動車保険-0.8%+7.5%
┗ 航空運賃-5.3%-5.2%
┗ 被服・教育+0.4%教育:+3.9%/被服:+0.3%

インフレ圧力の後退

エネルギー価格の大幅な下落が全体のCPIを引き下げた主因であるが、コアCPIの伸び率も鈍化しており、連邦準備制度(FRB)の目標に近づいている。特に医薬品や航空運賃、自動車保険などの下落は、個人消費にとってプラス材料となる。

食料品価格の強さ

一方で、食品価格は引き続き上昇傾向を示しており、とくに卵や牛肉などの上昇が顕著である。これは農業供給網の変動や飼料価格の影響が続いていることを示唆する。

エネルギー価格のボラティリティ

ガソリン価格の急落は需要低迷や在庫増加によるものであり、世界的な原油価格の動向とも連動している。家庭向け電力・ガス料金の上昇とは対照的であり、家計への影響は複雑である。

金融政策への影響

総合CPIおよびコアCPIの伸びが共に鈍化したことは、FRBにとって利下げを検討する余地を与えるものである。ただし、食料・住宅といった粘着性の高い価格の上昇が続いているため、慎重な姿勢が求められる。

今後の見通し

2025年4月以降のCPIについては、以下の点が焦点となる

  1. 原油価格の動向:ガソリン価格のさらなる下落余地があるか。
  2. 食品価格の持続性:天候や国際物流の影響を受ける可能性。
  3. 住宅費の再加速:賃貸需要の高まりによる反転リスク。
  4. 政策変更(利下げ期待):インフレ低下に伴う金融緩和の有無。
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