―「決算は最高益でも、26/3期ガイダンスは減益。PER42 倍の“魔法の価格”をどう見るか?―
1. 決算とガイダンスのポイント
25/3期(実績) | 前期比 | 26/3期(会社計画) | 前期比 | |
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売上高 | 6,793 億円 | +9.8% | 6,933 億円 | +2.1% |
営業利益 | 1,721 億円 | +4.0% | 1,600 億円 | ▲7.0% |
経常利益 | 1,733 億円 | +4.4% | 1,608 億円 | ▲7.2% |
当期純利益 | 1,242 億円 | +3.3% | 1,133 億円 | ▲8.7% |
1株配当 | 14 円 | 変更なし | 14 円 | - |
特別株主優待 | 65周年記念1デーパスポート1枚 | 今回限り | ― | ― |
経常増益ながら、来期はコスト増で減益見通し。 |
2. 足元のバリュエーション
指標 (4/28終値3,145円) | 水準 | コメント |
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PER(26/3期会社予想) | 約43倍 | “テーマパーク・プレミアム”で常に高位。想定EPS69円。 |
PBR(実績) | 5.4倍 | 設備投資が重く資本効率は高くない |
配当利回り | 0.45% | 優待頼みでインカム魅力薄 |
日本プライム市場平均PER≈14倍と比べても依然3倍水準。割高感は強い。
3. 株価とテクニカル
- 年初来高値3,725円(1/30)から▲16%下落。
- 3,000円付近に週足の75MA・信用期日が重なる“コア支持帯”。
- 決算後は減益ガイダンスを織り込み済みだったのか+2.9%高で引け。いったん自律反発局面。
4. 強みと今後のカタリスト(“デレ”パート)
プラス要因 | 説明 |
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ブランド無双 | TDRの競合不在。動的プライシングで単価引き上げ余地。 |
Fantasy Springs効果 | 新テーマポート開業初年度で客単価↑&ホテル稼働↑。2年目以降も定着が期待。 |
2035長期戦略 | 売上1兆円・営業利益率20%超を目標。クルーズ2隻目、海外展開示唆。 |
円安+インバウンド | 訪日客比率21→25%台へ。為替118円シナリオで利益押し上げ。 |
5. リスクと懸念(“ツン”パート)
マイナス要因 | 説明 |
---|---|
コスト圧力 | 人件費・電力コスト・減価償却増で来期減益。 |
PER高止まり | 成長鈍化局面で40倍台維持は割高修正リスク。 |
金利上昇局面 | DCFバリュエーションの割引率上昇で高PER銘柄の逆風。 |
円高回帰 | インバウンド消費減+為替換算益減少。 |
6. 投資戦略アイデア
投資スタンス | こんな人向き | エントリー目安 | 理由 |
---|---|---|---|
短期トレード | イベントドリブン派 | 3,000円前後で押し目拾い、3,300円で利確 | 決算後のショートカバー+優待・65周年テーマ |
中期ホールド | 安定成長+優待狙い | 2,800~2,900円に下値余地待って分割買い | 来期減益を織り込む過程で再度調整の可能性 |
長期コア | “TDR永久保有勢” | 分散買いで平均取得コスト下げ | 2030年代の大型拡張まで時間を味方に |
結論(私見)
- “今すぐフルベットは非推奨”。 減益ガイダンス+PER40倍超はまだ“魔法が解けていない”水準。
- ただし3,000円割れを丹念に拾う“スローモーション買い”なら許容範囲。 強烈なブランド力と長期成長投資で、景気後退局面でも相対的に強いディフェンシブ資産になり得ます。
- 優待重視なら 100株だけ確保し、追加は秋~冬の需要閑散期に検討――が妥当。
4661 オリエンタルランド――向こう 3~6 か月の価格レンジ試算
(前提EPS=会社予想 63 円/株、株価は4 月28日終値 3,145 円)
シナリオ | 想定PER | 理由・きっかけ | 想定株価 (円) | 注視イベント |
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ベアケース | 40–44倍 | 減益ガイダンスを改めて嫌気/円高・インバウンド一服/全体相場がリスクオフ | 2,500–2,800 | ①7月~8月の入園者速報が鈍化 ②米10年債利回り>4.5% |
ニュートラル (現状維持) | 48–52倍 | ガイダンス織り込み完了、65周年イベント需要・Fantasy Springs効果が相殺 | 3,000–3,300 | ①GW・夏休みの客単価動向 ②6/6新テーマポート開業後のレビュー |
リバウンド | 55–60倍 | 円安継続+来園者過去最高/追加値上げ観測/TOPIX入替・機関投資家買い | 3,450–3,800 | ①7月下旬1Q決算で上振れ ②9月末“株主優待取り”需給 |
オーバーシュート | 65–70倍 | 「強烈なインバウンド+価格弾力性」再評価で高PER回帰 | 4,100–4,400 | ①円⇢150円台/訪日客4,000万人ペース ②日経平均最高値更新でマザーズ‐→プライム高PER祭り |
テクニカル下値メド 2,750 円=52週安値(4/3)・週足雲下限
レジスタンス 3,770 円=年初来高値(1/30)・60倍レンジ上端株探
「適切なPER」は 45 ~ 50 倍が落としどころ
- 過去10年平均PER ≈ 60倍マグ2
- 来期EPS成長率▲8.7%(124.2→113.3 億円)で“成長鈍化フェーズ”OLC
- 利上げ局面で10年JGB ≈1.2%、リスクフリー金利上昇 → 高PER割引。
- それでも TDR のブランド力+入園単価引き上げで 市場平均(約14倍)を大きく上回るプレミアムは維持。
⇒ DCFと過去サイクルを合わせて見ると PER45~50倍(株価3,000±150円)が“フェアバリュー帯”と試算。
- 成長再加速が確認できれば 55倍(3,450円)へ上振れ余地。
- 外部ショックでリスクオフなら 40倍(2,520円)割れの“投げ”も視野。
ポジション戦略のイメージ
狙い | 行動 | トリガー |
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押し目買い | 2,600~2,800円で打診買い→ 3,300円で1/2利確 | ベアケース到来+PBR≒5倍割れ |
優待目的100株 | 3,000円近辺で拾い、長期保有 | 来期も同額配当+65周年優待確定 |
短期回転 | 決算1か月前の仕込み→決算プレイ後に手仕舞い | 7/24予定 1Q決算 |
チェックリスト(毎月更新推奨)
- 客単価・入園者数速報(IRサイト月次リリース)
- ドル/円と訪日客統計(JNTO)
- 電力料金の先物推移(コストインパクト)
- TOPIX定期入替・指数イベント
まとめ
- “高PER”は宿命だが、足元は減益+金利上昇でプレミアムが剥がれやすい。
- 3,000円を軸に±10%を想定し、押し目を待って小刻みに拾うのが無難。
- PER50倍を超えて買い増すなら、新ポートによる成長再加速が確認できてからでも遅くない。
⚠️ 投資判断は自己責任で。 あなたのリスク許容度・ポートフォリオ全体とのバランスを必ず確認してください。