4661 オリエンタルランド

―「決算は最高益でも、26/3期ガイダンスは減益。PER42 倍の“魔法の価格”をどう見るか?―


1. 決算とガイダンスのポイント

25/3期(実績)前期比26/3期(会社計画)前期比
売上高6,793 億円+9.8%6,933 億円+2.1%
営業利益1,721 億円+4.0%1,600 億円▲7.0%
経常利益1,733 億円+4.4%1,608 億円▲7.2%
当期純利益1,242 億円+3.3%1,133 億円▲8.7%
1株配当14 円変更なし14 円
特別株主優待65周年記念1デーパスポート1枚今回限り
経常増益ながら、来期はコスト増で減益見通し。​

2. 足元のバリュエーション

指標 (4/28終値3,145円)水準コメント
PER(26/3期会社予想)約43倍“テーマパーク・プレミアム”で常に高位。想定EPS69円。​
PBR(実績)5.4倍設備投資が重く資本効率は高くない
配当利回り0.45%優待頼みでインカム魅力薄

日本プライム市場平均PER≈14倍と比べても依然3倍水準。割高感は強い。


3. 株価とテクニカル

  • 年初来高値3,725円(1/30)から▲16%下落。
  • 3,000円付近に週足の75MA・信用期日が重なる“コア支持帯”。
  • 決算後は減益ガイダンスを織り込み済みだったのか+2.9%高で引け。いったん自律反発局面。

4. 強みと今後のカタリスト(“デレ”パート)

プラス要因説明
ブランド無双TDRの競合不在。動的プライシングで単価引き上げ余地。
Fantasy Springs効果新テーマポート開業初年度で客単価↑&ホテル稼働↑。2年目以降も定着が期待。
2035長期戦略売上1兆円・営業利益率20%超を目標。クルーズ2隻目、海外展開示唆。
円安+インバウンド訪日客比率21→25%台へ。為替118円シナリオで利益押し上げ。

5. リスクと懸念(“ツン”パート)

マイナス要因説明
コスト圧力人件費・電力コスト・減価償却増で来期減益。
PER高止まり成長鈍化局面で40倍台維持は割高修正リスク。
金利上昇局面DCFバリュエーションの割引率上昇で高PER銘柄の逆風。
円高回帰インバウンド消費減+為替換算益減少。

6. 投資戦略アイデア

投資スタンスこんな人向きエントリー目安理由
短期トレードイベントドリブン派3,000円前後で押し目拾い、3,300円で利確決算後のショートカバー+優待・65周年テーマ
中期ホールド安定成長+優待狙い2,800~2,900円に下値余地待って分割買い来期減益を織り込む過程で再度調整の可能性
長期コア“TDR永久保有勢”分散買いで平均取得コスト下げ2030年代の大型拡張まで時間を味方に

結論(私見)

  • “今すぐフルベットは非推奨”。 減益ガイダンス+PER40倍超はまだ“魔法が解けていない”水準。
  • ただし3,000円割れを丹念に拾う“スローモーション買い”なら許容範囲。 強烈なブランド力と長期成長投資で、景気後退局面でも相対的に強いディフェンシブ資産になり得ます。
  • 優待重視なら 100株だけ確保し、追加は秋~冬の需要閑散期に検討――が妥当。

4661 オリエンタルランド――向こう 3~6 か月の価格レンジ試算

(前提EPS=会社予想 63 円/株、株価は4 月28日終値 3,145 円)

シナリオ想定PER理由・きっかけ想定株価 (円)注視イベント
ベアケース40–44倍減益ガイダンスを改めて嫌気/円高・インバウンド一服/全体相場がリスクオフ2,500–2,800①7月~8月の入園者速報が鈍化
②米10年債利回り>4.5%
ニュートラル (現状維持)48–52倍ガイダンス織り込み完了、65周年イベント需要・Fantasy Springs効果が相殺3,000–3,300①GW・夏休みの客単価動向
②6/6新テーマポート開業後のレビュー
リバウンド55–60倍円安継続+来園者過去最高/追加値上げ観測/TOPIX入替・機関投資家買い3,450–3,800①7月下旬1Q決算で上振れ
②9月末“株主優待取り”需給
オーバーシュート65–70倍「強烈なインバウンド+価格弾力性」再評価で高PER回帰4,100–4,400①円⇢150円台/訪日客4,000万人ペース
②日経平均最高値更新でマザーズ‐→プライム高PER祭り

テクニカル下値メド 2,750 円=52週安値(4/3)・週足雲下限
レジスタンス 3,770 円=年初来高値(1/30)・60倍レンジ上端​株探


「適切なPER」は 45 ~ 50 倍が落としどころ

  1. 過去10年平均PER ≈ 60倍マグ2
  2. 来期EPS成長率▲8.7%(124.2→113.3 億円)で“成長鈍化フェーズ”​OLC
  3. 利上げ局面で10年JGB ≈1.2%、リスクフリー金利上昇 → 高PER割引。
  4. それでも TDR のブランド力+入園単価引き上げで 市場平均(約14倍)を大きく上回るプレミアムは維持。

DCFと過去サイクルを合わせて見ると PER45~50倍(株価3,000±150円)が“フェアバリュー帯”と試算。

  • 成長再加速が確認できれば 55倍(3,450円)へ上振れ余地。
  • 外部ショックでリスクオフなら 40倍(2,520円)割れの“投げ”も視野。

ポジション戦略のイメージ

狙い行動トリガー
押し目買い2,600~2,800円で打診買い→ 3,300円で1/2利確ベアケース到来+PBR≒5倍割れ
優待目的100株3,000円近辺で拾い、長期保有来期も同額配当+65周年優待確定
短期回転決算1か月前の仕込み→決算プレイ後に手仕舞い7/24予定 1Q決算

チェックリスト(毎月更新推奨)

  • 客単価・入園者数速報(IRサイト月次リリース)
  • ドル/円と訪日客統計(JNTO)
  • 電力料金の先物推移(コストインパクト)
  • TOPIX定期入替・指数イベント

まとめ

  • “高PER”は宿命だが、足元は減益+金利上昇でプレミアムが剥がれやすい。
  • 3,000円を軸に±10%を想定し、押し目を待って小刻みに拾うのが無難。
  • PER50倍を超えて買い増すなら、新ポートによる成長再加速が確認できてからでも遅くない。

⚠️ 投資判断は自己責任で。 あなたのリスク許容度・ポートフォリオ全体とのバランスを必ず確認してください。

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