項目 | Meta Q1 2025 | Microsoft FY25 Q3* |
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会計期末 | 2025/3/31 | 2025/3/31 |
売上高 | $42.31 B(前年比+16%) | $70.1 B(+13%) |
営業利益 | $17.56 B(+27%) | $32.0 B(+16%) |
純利益 | $16.64 B(+35%) | $25.8 B(+18%) |
EPS(希薄) | $6.43(+37%) | $3.46(+18%) |
主力成長領域 | 広告収入 $41.4 B(予想超え) | Azure y/y+33%、クラウド売上 $42.4 B(+20%) |
AI/インフラ投資 | 2025年CAPEX見通し $64–72 B(上方修正) | 設備投資 $16.75 B(+53%)[AI・インフラ中心] |
ガイダンス | 2Q売上 $42.5–45.5 B、FY25費用やや下方修正 | ガイダンスは決算説明会で公表予定 |
懸念材料 | ■Reality Labs損失 $4.2 B ■DMA対応でEU広告モデル変更の可能性 | ■PC・消費者向けデバイス成長は鈍化 ■4月以降の関税見通し未織込み |
*Microsoftは7月決算のため、2025会計年度第3四半期に相当。
目次
1. Meta Platforms — 決算詳細
- 広告事業:売上の98%を占める広告収入は $41.39 B と市場予想を約1 B上回り、平均単価+10%が牽引。デイリーアクティブユーザー(DAP)は 34.3億人(+6%)でプラットフォームの粘着度は依然高い。
- 生成AIドライブ:Reels/Advantage+ や広告ターゲティングに大規模言語モデルを組み込み、広告ROI改善が続く。資金源は広告だが、AI向けデータセンター強化に伴い CAPEXを従来見通し+7 B引き上げ。
- Reality Labs:営業損失 $4.2 B と赤字縮小も大幅マイナス。長期視点ではApple Vision Pro対抗のXRエコシステム育成が焦点。
- 規制リスク:EU DMA違反認定により「広告なし有料モデル」修正が必要となる見込み。23Q以降に欧州収益が最大数%押し下げられるシナリオを想定。
- 投資スタンス:関税による広告需要鈍化リスクを抱えるものの、AI関連投資加速とユーザーベースの強靭さから “強気継続だがボラティリティ覚悟” が基本線。
2. Microsoft — 決算詳細
- クラウド牽引:Intelligent Cloud売上 $26.8 B(+21%)、うち Azure+他クラウドが+33% と再加速。生成AIサービス利用量(Copilot, OpenAI API等)が+16 pt寄与し、単価成長を伴う堅調な消費。
- Microsoft 365商用・消費者ともに2桁成長。LinkedInは広告堅調で+7%。
- Windows OEM+3%とPCアップグレード需要が関税前に一服。検索広告・ニュースは+21%で広告景気に左右されにくい多角化が奏功。
- キャッシュリターン:配当+自社株買い $9.7 B を継続しつつも、AIインフラ投資は前年比+53%で拡大。
- 注意点:今回ガイダンス未開示で、4月上旬発表の中国製PC・サーバー向け関税 はまだ想定に含まれていない。PC/サーバーOEM需要減速リスクには要注目。
- 投資スタンス:クラウド・AIシフトが続く限りディフェンシブ・グロースの軸足は揺らぎにくいが、バリュエーションは24倍前後と米長期金利上昇局面では伸び率の鈍化が株価の重石になりやすい。
3. 共通テーマと市場インパクト
テーマ | Meta | Microsoft | ポートフォリオ示唆 |
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生成AI拡大 | 広告ROI向上で“攻め” | Copilot/AIスタック全方位で“守り+攻め” | AI関連CAPEX増は両社共通。短期はコスト増加プレッシャー、長期はマージン向上余地 |
関税・規制 | EU DMA/米中関税による広告・販売減の懸念 | 中国向けハード/部材コスト上昇リスク | 夏場のガイダンス修正有無を見極めたい |
株主還元 | 配当導入+自社株買い強化 | 安定的な配当+自社株買い | 金利上昇環境下で還元姿勢はサポート材料 |
バリュエーション | PER 26倍台(広告株ピーク比割安) | PER 24倍台(クラウド成長織込み) | 高PER維持にはAI実装効果の可視化が必須 |
4. 投資家向けアクションプラン
- 決算後の株価上昇でポジションが膨らんでいる場合は一部利確
Meta:38~40倍台PERに戻るようなら再度割高感 - 7–8月(Meta Q2・MSFT Q4)ガイダンス確認までは新規大型買いは抑制
- AI関連指数や半導体製造装置株とのペアトレードでCAPEX増メリット取り。
- 関税ニュースヘッドラインでボラティリティ急上昇時は、MSFTをディフェンシブバケット、METAをトレンドフォローポジションとして機動的に切り分け。
総評
関税と規制の向かい風を抱えながらも、両社とも“AI強化”を旗印にトップライン成長を維持。Metaは広告単価回復+ユーザー拡大でキャッシュ創出力を再証明、MicrosoftはAzure成長を再加速させ“クラウド×AI”の二重成長を示しました。短期的にはコスト増とマクロ不透明感で乱高下は避けられませんが、どちらもAIエコシステムの“プラットフォーマー”として中長期の収益拡張余地は大きい――ただし、高PER銘柄であることを忘れずに、押し目戦略とポートフォリオ分散でリスク管理を。