結論から先に言うと、
今は“なんとなく怖いから全部売り”が出ている段階、長期投資家にとっては“まだ準備段階”かな…という局面
です。
もう少し具体的に言うと、
- 日中関係が2012年級まで悪化すると、日本経済にも結構なダメージがあり得る
- ただし「全部がオワタ」ではなく、銘柄によって“被弾の度合い”がかなり違う
- 中華依存度の高い銘柄は、まだ“悪材料出尽くし”とは言い切れない
こんなイメージです。
では、順番に整理していきましょう。
■ 1. そもそも何が起きてるの?ざっくり現状整理
- 発端は 11月7日の衆院予算委員会
- 高市早苗首相が、台湾有事を例に「戦艦を使った武力行使があれば、存立危機事態になり得る」と発言
- これに対して、中国外務省が強く反発
- 「日本が台湾情勢に武力介入すれば侵略行為、中国は必ず痛撃を加える」とかなり強い言葉で牽制
- さらに、中国政府は 日本への渡航を控えるよう自国民に通知
- いわゆる“日本行きやめとけムード”を、国ぐるみで作り始めた段階です
そして今日(11/17)、マーケットでは何が起きたかというと…
- インバウンド関連株・中国売上比率が高い銘柄が、軒並み大幅安
- サンリオ、オリエンタルランド、良品計画(無印良品)あたりが、かなり目立つ下げ
- 百貨店・航空・鉄道、中国出店をガンガン増やしている外食チェーンなども大きく売られた
「日中の安全保障リスク」みたいなニュースって、普段は“遠い話”で終わりがちなんですが、
「渡航控えて」「日本旅行やめよう」まで行くと、企業の数字に直結する話です。
なので、株価の反応も一気に来た、という流れですね。
■ 2. 今日はどんな銘柄が売られた?ざっくり企業解説
次に、「なんでこの銘柄たちが売られたの?」というところを、ざっくり押さえておきます。
● 良品計画(無印良品)──中国で“ガチ稼いでる”組
良品計画は、国内だけでなく 海外売上比率が約4割 まで来ていて、そのなかでも東アジア(とくに中国)が成長ドライバーです。

- 東アジア事業の営業収益は前年+14%
- うち中国大陸の売上は+18%と、かなりの成長ペース
- 中国だけで400店舗以上あると言われており、今や“MUJI=中国でもメジャーブランド”というポジション
「中国売上比率の高い良品計画が10%超安」
と紹介されていて、「これは完全に“中国リスク”売りだね」とはっきり分かる形になっています。
ポイント
- 中国の景気・規制・政治リスクに、かなりダイレクトに影響されるポジション
- 逆に言えば、中国市場が順調なときは恩恵をガッツリ受ける銘柄
● サンリオ──キャラクターIPは政治リスクとも無関係じゃない

「サンリオやソニーGなどのIP関連にも余波。
今後、中国での上映や展開が打ち切られる懸念がある」
- キャラクターグッズ
- コラボカフェ
- アミューズメント施設
- アニメ・映画配信
こういう“エンタメ系コンテンツ”って、政治的な空気で一気に締め付けが強くなることがあります。
「日本コンテンツは今はちょっと…」となれば、放送・配信・イベントが止まり、販売チャネルも縮むリスクがあるわけです。
ポイント
- 売上の内訳は“世界中に分散”しているものの、中国・アジアでの存在感は大きい
- 「中国が日本コンテンツを絞る方向に振れると、IPビジネス全般にじわじわ効いてくる」
そういう“中期的なリスク”を嫌気して、サンリオにも売りが飛んでいる、という感じですね。
● オリエンタルランド(東京ディズニー)──インバウンドの“象徴株”
とはいえ…
- インバウンド需要が復活して以降、「アジア圏からのゲスト」は確実に増加傾向
- ホテル・パークチケット・グッズなど、訪日観光と相性バツグン
- 特に中国人観光客の復活が、ここ数年のインバウンド銘柄全体のテーマだった
という背景があり、
「中国が日本への旅行を控えろと言いだした」=「インバウンド銘柄には逆風じゃん」
という連想で、真っ先に売りが出た形です。

■ 3. 2012年の尖閣ショックと何が似ていて、何が違う?
- 2012年、尖閣諸島(中国名:釣魚島)を巡って日中が対立
- 中国で反日デモ、日本車を壊す映像、日本企業の店舗が襲撃される…といった事件が相次ぎました
- 経済面では、自動車輸出が 前年比−80%超 まで落ち込んだ月もあり、「日本の1年分の成長率の半分以上を吹き飛ばした可能性がある」との試算も出ています
今回のケースとの共通点と違いをざっくり整理すると…
共通点
- 「政治・安全保障」をきっかけに、日中の世論・外交が一気に冷え込んでいる
- 「日本製品・日本旅行」をターゲットにした、ボイコット&嫌中ムードが強まりやすい構造
- その初期反応として、“観光・中国売上比率の高い銘柄”から売られている
違う点
- 2012年は、中国国内の大規模な反日デモ・暴力行為 まで発展した
- 今のところ2025年は、そこまでの規模の報道は出ておらず、「まずは渡航控えて」レベル
- 一方で、今のほうが 日中の経済的な結び付きは深くなっている(インバウンド・EC・サービス業など)
ざっくり言うと、
「方向性としては2012年と似た匂いはあるが、まだ同じステージには来ていない」
ただし、ここからの中国側の出方次第で、
2012年級に一気にエスカレートする可能性もゼロではない、というのがマーケットの見方です。
■ 4. これからあり得る“2つのシナリオ”
◆ シナリオ①:悪化・長期化パターン
- 中国政府が、さらに強い対抗策を出す
- 日本ツアーの制限
- 日本製品への検査強化や不買ムード
- 映画・アニメなど日本コンテンツの規制
- 中国国内の世論もヒートアップし、日本ブランドをターゲットにした“買わない運動”が広がる
- その結果…
- 無印良品など 中国で稼いでいる小売・外食企業 の売上鈍化
- サンリオやアニメ関連など IPビジネス の上映・配信・イベントにブレーキ
- インバウンド関連(百貨店・鉄道・航空・テーマパーク)の回復に“ブレーキ
このケースだと、マーケット的には
「今の下げはまだ序盤で、本格的な業績悪化が見えたところで、もう一段安」
みたいなパターンも想定しておく必要があります。
◆ シナリオ②:対立はするけど、そこまで壊さないパターン
一方で、
- 中国としても日本からの投資・技術・観光収入を全部捨てるのは痛い
- 日本側も、過度な対立は避けたい
- アメリカや他国との関係も絡み、“ある程度のところで落としどころを探す”
という可能性も十分あります。
この場合は、
- 今の「渡航控えて」レベルがピーク
- メディア上では罵り合いつつ、水面下ではビジネスが継続
- 数カ月〜1年くらいかけて、じわじわと関係が冷温状態で落ち着いていく
という展開もあり得ます。
その場合、今回売られた“中華・インバウンド銘柄”は、どこかで大きなリバウンドのチャンスに なってきます。
■ 5. 今は“買い時”なのか? 個人的な整理
一番気になるのはここですよね。
あくまで個人的な整理ですが、こんなイメージです。
● いま全力で突っ込むタイミングか?
→ まだ「様子見しながら、狙う銘柄を選ぶ段階」
理由としては、
- 中国側の対抗措置が「渡航控えて+強い言葉」レベルで、
まだ“どこまでやるのか”が見えない - 2012年のように、自動車輸出▲80%みたいな“実体経済のドカン”は、まだ起きていない
- 今の下げは「業績というよりムード・ヘッドライン要因」が大きい
なので、
“大底”を一点で当てに行くというより、「シナリオ別に、少しずつ仕込みポイントを分ける」
くらいの感覚が現実的かな、と思います。
● じゃあどう見ていくと良さそう?(チェックポイント)
投資判断のチェックポイントとしては、こんなところです。
- ① 各企業の 中国売上比率/インバウンド依存度
- 良品計画:海外売上比率約4割、その中で中国が成長ドライバー
- サンリオ:IPとして中国での人気・コラボの多さ
- オリエンタルランド:インバウンドが戻るとプラスだが、国内需要も強い
- ② 中国側が どこまでエスカレートしてくるか
- 今後「日本製品ボイコット」や「日本コンテンツ規制」まで行くかどうか
- ③ 日本側の対応
- 発言トーンをどこまで調整するのか
- 首脳会談や外相会談など、対話の場が続くか
- ④ 2026年3月期・2027年3月期の 各社の業績見通し修正
- 本当に数字が崩れてくるのか、それとも“思ったほど影響なかった”で済むのか
■ 6. まとめ:今は「中国リスクの棚卸しタイム」
最後に、ざっくりまとめるとこんな感じです。
- 高市首相の台湾有事発言をきっかけに、中国が強く反発
- 日本への渡航自粛を呼びかけるなど、政治リスクが一段階アップ
- マーケットでは、
- 良品計画(中国売上比率高め)
- サンリオ・オリエンタルランドなどインバウンド・IP関連
を中心に、中国関連・インバウンド銘柄が軒並み大幅安
- 2012年の尖閣問題のときは、自動車輸出▲80%など、日本経済にもかなり大きなダメージが出た前例がある
- 今回も長期化・悪化すれば、
- 中国売上比率の高い小売・外食・IP企業
- 中国人観光客依存のインバウンド関連
は、業績面の影響まで出る可能性がある
その上で、投資家目線での今の立ち位置を一言で言うと、
「まだ“ニュースで売られている段階”。
焦って飛びつく場面ではないけど、
中国依存の棚卸しをしつつ“狙う銘柄リスト”を作るにはいいタイミング」
だと感じています。
- 中華依存度が高すぎる銘柄は、
→ もう一段の悪化シナリオも頭に入れながら慎重に - 国内や他地域でもきっちり稼げている企業は、
→ 「今の下げ=いずれ戻るかもしれない割安チャンス」になる可能性も
こんな感じで、“全部一括り”ではなく、銘柄ごとに中国リスクを仕分けしていく のが、今一番大事な作業かなと思います。
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