
■ 1540ってどんな銘柄?
1540は「純金上場信託(現物国内保管型)」というETFで、三菱UFJ信託銀行が運用しています。
簡単に言うと、金(ゴールド)を日本国内で現物保管して、それを1口単位で売買できる仕組みです。
信託報酬も0.4%程と低く、分配金はなし。金価格の動きにほぼ連動するように作られています。
つまり、この1540を持っている=金そのものを持っているのとほぼ同じ感覚です。
■ 金価格との乖離ってなに?
最近よく言われるのが、「金価格とETF価格がズレてる(乖離してる)」という話。
これは、ETFの売買需要や円相場の動きによって理論値と実際の価格がズレることを指します。
たとえば、ドル建ての金が上がっていても、同時に円高が進めば「円換算の金価格」は下がることがあります。
また、ETFの買い手が減ったり、利確売りが集中したりすると、金価格自体が上がっていても1540は下がる。
つまり、「金が上がってるのにETFが下がる」という不思議な動きが起きるわけです。
今まさにそれが起きていて、乖離が拡大している状態です。→本記事投稿時点ではほぼ解消
■ なぜこんなに下落しているの?
- 金利上昇による“金離れ”
金は利息を生まない資産です。だから金利が上がると、債券やドルのほうが魅力的になり、資金が流れます。 - ドル高・円高の影響
金はドル建てで取引されるので、ドルが強いと金が相対的に割高になります。
さらに円高が進むと、日本円での金価格が下がるダブルパンチに。 - リスクオンムード
最近は株式市場が強く、「リスク資産に資金が戻る」動きが見えています。
金は“守りの資産”なので、株が上がる局面では売られやすくなります。 - 過熱感の反動
9月〜10月上旬にかけて、金ETFは急騰していました。
その反動で利益確定売りが殺到し、テクニカル的な調整が入ったという流れです。
こうしてみると、金だけが悪いというより、金利・為替・投資心理が一気に逆風になった形ですね。
■ ここが底?それともまだ?
多くの人が気になっているのが、「今が買い場なのか?」という点でしょう。
テクニカル的に見ると、50日移動平均線(黄色の線)近辺まで下げており、短期的には“売られすぎ”に見えます。
RSIも45前後で、そろそろ反発があってもおかしくない水準です。
ただし、「ここが絶対の底」とはまだ言い切れません。
本当の底を見極めるには、
- 世界の金価格が反発に転じるか
- 為替(円安)が戻るか
- 出来高が増えて買いが戻ってくるか
この3点が大事です。
今のところ、テクニカル的には下げ止まりつつあるが、ファンダ的には様子見が必要という段階。
■ 今後の見通し
金ETFの見通しを、シナリオ別に整理してみましょう。
① ポジティブシナリオ(再上昇パターン)
- 中東や地政学リスクの再燃で“安全資産”需要が戻る
- 米金利がピークアウトし、実質金利が下がる
- 円安が進み、円建て金価格が上昇
→ この場合、1540は20,000円台を回復してくる可能性大。
② ネガティブシナリオ(下値拡大パターン)
- FRBの利下げが遠のき、金利高止まり
- 株式市場が好調で、資金がリスク資産へ流入
- 円高が進行してグラム・円価格が下落
→ 15,000円台までの下げ余地も視野に入ります。
③ ベースシナリオ(もみ合い)
- 材料不足でレンジ相場入り。
- 18,000円〜20,000円の間で行ったり来たり。
■ まとめ:今は“反転の芽”を探る時期
今の金ETF1540は、「下げ過ぎ感」が出てきた一方で、まだ完全に底を打ったとは言えません。
ただ、世界の金需要・為替・金利のどれか1つでも追い風になれば、再び上昇に転じる可能性は十分あります。
「金=守りの資産」という印象が強いですが、ETFなら短期トレードも可能です。
18,000円前後で押し目を拾って20,000円超を狙う戦略も面白い局面でしょう。
焦らず、金利や為替の動きを見ながら、「底打ちのサイン」を待つ──
これが今の1540に対する一番賢い向き合い方だと思います。







