1|決算書の要約と評価を自動化するAI分析法
株式投資で最も大切な情報源の一つが「決算書」です。とはいえ、決算短信や有価証券報告書には専門用語が多く、読み慣れていない投資家にとっては非常にハードルが高いのが現実です。ChatGPTを活用することで、決算内容を一瞬で要約し、売上や利益、財務健全性を自動的に整理することができます。

それではいきましょう!
1. ChatGPTが得意とするのは「要約+傾向抽出」
決算書には膨大なデータが含まれていますが、重要なのは「何が増え、何が減ったのか」「企業の方向性はどちらに向かっているのか」という2点です。ChatGPTは文章要約が得意なため、たとえば次のように入力するだけで、初心者にも分かりやすく整理してくれます。
2. 活用プロンプト例
次の決算短信の要約を作成してください。
評価観点:
1. 売上高・営業利益・経常利益・純利益の増減
2. 成長率(前年比)
3. 財務健全性(自己資本比率・負債比率・CF)
4. 業績の良い点・懸念点
5. 今後の見通し(会社計画・リスク)
出力形式:表+要約コメント(初心者にもわかる言葉で)
このプロンプトを使えば、たとえば「住友金属鉱山(5713)」の決算短信を貼り付けるだけで、売上・利益・ROE・キャッシュフローなどが自動的に整理され、AIが強みとリスクを解説してくれます。
3. 実例:JX金属(5016)の場合
2024年度決算をChatGPTに要約させると、次のような出力が得られます。
- 売上高:前年比+12%(銅・ニッケル価格の上昇)
- 営業利益:+15%(資源リサイクル事業が好調)
- 純利益:+20%(特別利益+円安効果)
- 自己資本比率:45% → 財務健全
- 懸念点:市況依存型、金属価格下落リスクあり
ChatGPTは単に数字を並べるのではなく、「金属市況が上昇する局面では利益が伸びやすい」「円安が追い風」というように、企業とマクロ環境の関係まで自動的に整理します。これにより、投資判断が“数字の羅列”ではなく“意味のある文脈”として理解できるようになります。


4. さらに踏み込んだ分析方法
ChatGPTに過去3年分の決算書を入力し、「前年比推移をグラフ化して傾向を説明してください」と指示すれば、売上や利益のトレンドを解説付きで出力できます。特に中期的な成長力を見極めるには、単年度よりも3〜5年平均の成長率を分析するのが有効です。
5. 投資戦略への応用:SOXLとの組み合わせ
半導体ETF「SOXL」は、構成銘柄の業績次第で価格が大きく動きます。ChatGPTでASML、TSMC、NVIDIAなど主要企業の決算を要約し、AIに「共通するキーワード」を抽出させると、たとえば次のような結果が出ます。
- 共通キーワード:「AI需要」「データセンター投資」「在庫調整一巡」
- 業界全体の傾向:「短期調整→中期成長トレンド継続」
このように個社分析を積み上げることで、SOXLや半導体ETFの「方向感」をAIで予測することも可能になります。
6. ChatGPTを使う際のコツ
- 一次情報を貼ること:SNSやニュースではなく、企業の公式決算資料を使う。
- 比較を指示すること:「前年」「同業他社」と比較させると精度が上がる。
- 初心者でも理解できる説明を要求すること:「中学生にもわかる言葉で」と指示する。
まとめ
ChatGPTは「決算を読む力」を劇的に効率化してくれるAIアシスタントです。人間の投資家が「判断」に集中できるよう、情報整理を自動化してくれます。
JX金属のように素材系企業でも、SOXLのようなハイテクETFでも、ChatGPTに決算の要点を抽出させることから投資の第一歩が始まります。