どうもこんにちは、株ちゃんです。
1.結論:AIブームは本物だが、“フルスロットル”で走れるのはあと3〜5年ほど
先に結論からいきます。
- AIブーム自体は本物
- NVIDIAの売上は570億ドル(前年+62%)と、決算数字だけ見れば「バケモノ級」です。
- 特にデータセンター売上が512億ドル(前年+66%)と、完全にAI向けGPUが主役になっています。
- でも、その裏側では…
- データセンター用の電力需要が2030年までに世界全体でほぼ2倍〜2.5倍になると国際エネルギー機関(IEA)などが試算。
- 米国だけ見ると、データセンターの電力が130GW(全電力需要の1割超)に増える可能性があるというレポートも出ています。
- さらに、生成AIを入れた企業の約95%が「まだ利益への貢献が見えない」と回答している調査もあります。
このあたりを総合すると、私のざっくり結論はこうです。
AIバブルの「フル加速モード」が限界にぶつかるXデーは、早ければ2028〜2030年ごろ。
きっかけは「電力・インフラのボトルネック」と「投資額に見合わない収益」の両方から来る。
ただし、AIそのものがオワコンになるのではなく、“過剰な期待”だけが剥がれ落ちる調整になる可能性が高い。
→今株価が下ればAIバブル崩壊と言われてますが、それはまだ少し先かなと・・(そうであってほしい)
ここからは、
- NVIDIA決算が教えてくれたこと
- 「循環マネー」とROEなき投資ラッシュ
- 電力インフラという“物理の壁”
- 需給が崩れるシナリオとXデー予想
- それでもAIはなくならない理由
- 個人投資家としてどう向き合うか
の6章で、順番に噛み砕いていきます。
2.NVIDIA決算が示した「AI需要は本物」だが、すでに歪みも見え始めている
まずは、今回のNVIDIA 2026年度第3四半期決算をざっくり整理します
2-1.数字だけ見ると“完璧”
- 四半期売上:570億ドル
- 前期比:+22%
- 前年同期比:+62%
- そのうちデータセンター関連:512億ドル
- 前期比:+25%
- 前年同期比:+66%
- GAAP営業利益:360億ドル
- 純利益:319億ドル
- 希薄化後EPS:1.30ドル
ガイダンス(次四半期見通し)も、
- 売上:650億ドル(±2%)
- 粗利率:約75%
と、市場予想を上回る“モンスター級”。

2-2.それでも気になる「粗利益率のじわ下がり」
一方で、細かく見るとこんな変化もあります。
- 粗利益率:74.6% → 73.4% に低下
- 研究開発費(R&D):前年4,287億ドル → 今期5,839億ドルと大きく増加
まだ超高収益なのは間違いないですが、
- 「一方的に値上げしても通る」状態から
- 競争やコスト増で、じわじわマージンが削られ始めている
というサインでもあります。
たとえば、
- AMDやインテルがAI向けGPU/アクセラレータを本格投入
- 各国政府も「自前のAI半導体」を育てようとしている(中国、欧州、日本など)
3.循環マネーと「まだ回収できていないAI投資」
次に、「お金の流れ」をざっくり整理してみます。
3-1.AIマネーはどこからどこへ回っているか
今のAIブームでは、だいたいこんな循環になっています。
- 投資家・機関投資家
→ マイクロソフトやNVIDIA、メガテック企業に資金投下 - メガテック企業
→ AIスタートアップ(OpenAI、Anthropicなど)に出資&クラウド契約 - AIスタートアップ
→ そのお金でNVIDIAのGPUを大量購入、クラウド料金としてメガテックに支払う - メガテック・半導体メーカー
→ 売上・利益が爆発 → 株価上昇 → さらに資金調達が容易に
3-2.でも、リターンはまだほとんど出ていない
問題は、「このお金がどのくらい回収できているのか?」です。
- 生成AI関連への企業投資は年300〜400億ドル規模と言われていますが、
約95%の企業が「まだ利益への明確な貢献がない」と回答した調査があります。 - OpenAIは年130億ドル前後の売上に達したと報じられる一方で、
数十億ドル規模の赤字を出しているという報道も出ています。
つまり、
「売上は伸びているけど、投資額に見合う利益はまだ出ていない」
という状態です。
ドットコムバブル期も「インターネットの価値」は本物でしたが、
“いつ・どこから儲かるのか” が見えないまま投資だけが先行し、2000年に一度リセットが入りました。
今回も、
- AIが経済全体へ与えるインパクトは年間2.6〜4.4兆ドル(McKinsey)、あるいは7〜10兆ドル(各種調査)という試算もあり、ポテンシャルはとんでもない一方で
- その“果実”が企業決算に本格的に表れるには、あと数年のタイムラグが必要そう
というギャップがあります。
4.最大のボトルネックは「電力」と「データセンター」
続いて、株ちゃんが一番気にしているポイント、電力インフラです。
4-1.データセンター電力は2030年までに“倍〜2.5倍”へ
各種レポートをざっくりまとめると、こんなイメージです。
- IEAなどの試算
- 2030年には世界のデータセンター消費電力が約945TWh(2024年比ほぼ2倍)
- 世界の電力需要の約3%弱をデータセンターだけで食う規模になる予想。
- 米国だけの試算
- データセンター電力は2022年の17GW → 2030年に最大130GWと、一気に7〜8倍になる予測も。
- これは米国全体の電力需要の約1〜1.2割に相当。
GPUを並べまくるAIデータセンターは、
- 1施設で1GW級の電力を食うことも珍しくなく、
- 「中規模都市まるごと1つ分」の電力をデータセンターが使うイメージです。
4-2.送電網・発電所の増設はそんなに早く進まない
一方で、
- 原発や大型火力・送電線などのインフラ増強には5〜10年単位の時間がかかります。
- すでに米国や欧州では、「電力引き込みが間に合わず、AIデータセンター計画が遅延」というニュースも出始めています。
さらに、電力会社側にも別のバイアスがあります。
- 一部の電力会社は、将来需要をかなり“盛った”シナリオで計画を立てているという指摘もあり、
実際には「電力不足」ではなく「投資過剰」になるリスクも指摘されています
ざっくり言うと、
「本当に必要なAI電力は足りないかもしれないが、
“期待されているほどのAIブーム”分の電力はどう考えても用意できない」
という状態になりつつある、ということです。
5.需給が崩れるシナリオと“Xデー”のタイムライン
ここまでを踏まえて、私なりに「Xデー」のシナリオを組み立ててみます。
※あくまで個人的な仮説です。ほんとに参考にならない前提でお願いします。
5-1.ざっくりタイムライン
〜2026年:AI投資バブル“本格点火”フェーズ
- NVIDIAやメガテックの決算は、まだ「右肩上がり・最高益更新」モード。
- 各国でデータセンター投資・AI半導体工場の建設ラッシュ。
- 株式市場でも、
- AI関連銘柄のPER拡大
- 「AI絡みならなんでも買われる」状態が続きやすい。
2027〜2028年:電力・インフラのボトルネックが表面化
- 既存の電力網・送電線のキャパに近づき、
「データセンターは建ったのに、フル稼働できない」案件が増える。 - 一部のAIスタートアップやクラウド事業者が、
- GPUを確保しているのに
- 電力制約や需要不足で稼働率が想定以下 → 減損・計画見直し
- 同時に、企業のAI投資についても
「思ったほど売上・利益に結びついていない」事例がニュースになり始める。
→ このあたりが、AI関連株の“バリュエーション調整”の始まりになりやすいゾーンだと見ています。
2028〜2030年:期待と現実のギャップが一気に修正される“Xデー”候補ゾーン
- 2024〜2026年に決めた大型データセンター投資・GPU購入契約の3〜5年目がちょうどこのタイミング。
- その時点で、
- 「本当に儲かっているAIサービス」
- 「全然マネタイズできていないAIプロジェクト」
がハッキリ分かれてくるはずです。
- ここで、
- GPUのキャンセルや減額交渉
- データセンター投資の凍結・縮小
が広がると、 - NVIDIAを含むAIインフラ企業の成長率がガクッと鈍化
- 「永遠に続くと思われていたAI成長ストーリー」に疑問符がつく
株ちゃんの感覚値では、
最初の大きな“逆風イベント”が出るのは、早ければ2027年ごろ。
でも「AIブームのフルスロットル」が本格的に限界を迎えるのは、
2028〜2030年あたりがXデー候補。
というイメージです。
5-2.どんな形の調整になりそうか?
考えられるパターンをざっくり分けると、
- ソフトランディング型
- 成長率は落ちるが、AIの実需もゆっくり追いついてくる
- バリュエーションが「超割高 → 普通に高い」くらいまで落ちるイメージ
- ハードランディング型(“ミニITバブル崩壊”)
- 電力制約・金利・規制などが一気に重なり
- GPUやデータセンターが供給過剰 → 投資の見直しラッシュ
- AIど真ん中銘柄が高値から半値〜3分の1くらいまで調整してもおかしくない
現時点の材料だけで言えば、
- 各国政府もAIを成長戦略に乗せている
- 原発や再エネへの投資も同時に増やそうとしている
ので、完全に弾けるというより「期待をそぎ落とす調整」寄りかな、というのが株ちゃんの見立てです。
6.それでもAIは消えない:個人投資家としてどう向き合うか?
最後に、「じゃあ個人投資家はどう考えればいいの?」という話で締めます。
6-1.バブルと“本物の成長”を分けて考える
ポイントはこの2つを分けて考えることだと思っています。
- バブル成分:
- 循環マネーで膨らんだバリュエーション
- まだ収益化できていないAIプロジェクト
- 「AIを入れたらなんでもスゴくなる」という雑な期待
- 本物の成長:
- 半導体・電力・データセンターの長期需要
- 既に実用化が進んでいる業務効率化(コーディング支援、検索、RPAなど)
- AIが産業の“標準装備”になったときに残るプラットフォーム企業
Xデーが来たときに一番ダメージを受けるのは、前者(バブル成分)に全力で乗っている銘柄です。
逆に、
- バリュエーションが常識的な範囲に戻る
- それでも売上・利益が右肩上がりで残り続ける
という銘柄は、むしろ長期で仕込むチャンスになる可能性もあります。
6-2.これから数年の“見るポイント”
最後に、今後チェックしておきたい指標を箇条書きでまとめておきます。
- NVIDIAなどAIインフラ企業の粗利益率
- 70%台前半を維持できるのか、それとも60%台に落ちていくのか
- データセンター電力関連ニュース
- 各国の電力不足報道
- AI向け原発・再エネの長期契約ニュース
- 企業決算での「AIの定量効果」
- 「AI導入でコスト○%削減・売上○%増加」といった具体的な数字がどのくらい出てくるか
- AIスタートアップの上場・破綻ニュース
- ここが増えてくると、「投資サイクルの転換点」に近づいているサイン
まとめ:Xデーを“怖がる”より、“準備しながら観察する”スタンスで
改めて、この記事の主なポイントを整理すると…
- NVIDIAの最新決算を見ると、AI需要そのものは本物で、今はまだ“絶好調フェーズ”。
- ただし、
- 投資額に対してリターンが出ていない企業が大半
- 電力インフラ・データセンターのキャパに数年以内に天井が来る可能性
が徐々に見え始めている。
- 私の仮説では、
- 2027年ごろから「AI投資の効き方」に対する疑問が表面化
- 2028〜2030年あたりに、一度大きな“期待のリセット”=Xデーが来る 可能性が高い。
- とはいえ、AIそのものは長期的には産業の標準インフラになる公算が大きく、
本当に稼げるビジネスは“バブル崩壊後”に育っていく。
なので、
「AIは本物だが、今の期待は明らかに先行しすぎている」
という前提で、
どこでバブルが剥がれるかを観察しながら、
自分なりの“長期で持ちたいAI銘柄”を今から研究しておく。
このあたりが、個人投資家としての現実的なスタンスかなと考えています。
最後までご覧いただきありがとうございました。予想は誰にもできないですが、シナリオは立てれます。ぜひ参考としていただければ幸いです。
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