世界の半導体の6割を支える「JX金属」って何者? ── チップって何?から業界の全体像まで


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聞いたことない会社が、世界シェア64%

いきなりですけど、JX金属(じぇいえっくすきんぞく)って会社、知ってますか?

たぶんほとんどの人は聞いたことないと思います。テレビCMもやってないし、iPhoneみたいな製品を売ってるわけでもない。東証(とうしょう)に上場してる地味な素材(そざい)メーカー。証券コードは5016。

でもこの会社、実はとんでもないポジションにいます。

半導体(はんどうたい)チップを作るときに使う「スパッタリングターゲット」という材料で、世界シェア約64%

6割超えですよ? ほぼ独占(どくせん)みたいなもんです。

NvidiaのAI用チップにも、AppleのiPhoneに入ってるチップにも、JX金属の材料が使われてる可能性がかなり高い。世界中の半導体工場が、この会社の素材なしには動かない。

……でも、「スパッタリングターゲットって何?」「そもそもチップって何?」って思いますよね。

大丈夫です。今日はそこから全部説明します。

そもそも「チップ」って何なの?

まずここからいきましょう。

半導体チップっていうのは、爪の先くらいの小さな板に、電子回路(でんしかいろ)がびっしり詰め込まれたものです。

スマホ、パソコン、車、エアコン、炊飯器……今どきの電子機器(でんしきき)には、ほぼ全部これが入ってます。

要するに「機械の頭脳(ずのう)」ですね。

スマホで写真を撮れるのも、ゲームができるのも、全部このチップが計算してくれてるから。これがなかったらスマホはただのガラス板です。

ニュースで「半導体不足で車が作れない」とか「AI半導体の需要爆発」とか聞きますよね。あの「半導体」がこのチップのことです。

JX金属が作ってるもの①:スパッタリングターゲット

さて、JX金属の話に戻りましょう。

このチップを作るときに、JX金属の材料がどこで使われるか。

チップの作り方をすごくざっくり言うと、ウェハーっていう丸い板の上に、何十層もの超薄い膜(まく)を積み重ねていく作業です。

「ウェハー」は直径(ちょっけい)30cmくらいの円盤(えんばん)で、シリコン(ケイ素)という材料でできてます。見た目は鏡みたいにピカピカの丸い板。コンビニで売ってるウエハースのお菓子に形が似てるから「ウェハー」って名前がついたとも言われてます。

で、このウェハーの上に膜を作る。その膜の上に回路のパターンを焼き付ける。いらない部分を削る。また膜を作る。パターンを焼く。削る……。

この「膜を作って、パターンを焼いて、削って」のサイクルを何十回、何百回と繰り返すことで、ようやくチップの回路ができあがります。

で、この「膜を作る」工程で使われるのがスパッタリングターゲットです。

名前は難しいですけど、仕組みはシンプル。

金属(きんぞく)の板に、ものすごい勢いで小さな粒(つぶ)をぶつける。すると板の表面から金属の粒子(りゅうし)がバーッと飛び出す。飛び出した粒子がウェハーの上に降り積もって、超薄い金属の膜になる。

この「ぶつけられる側の金属の板」が、スパッタリングターゲットです。

イメージとしては、壁に向かって全力で砂を投げつけたら、壁の破片(はへん)が飛び散って反対側の床に積もる……みたいな感じ。実際にはもっと精密(せいみつ)で、原子(げんし)レベルで均一(きんいつ)な膜を作ってるんですけど、原理はそういうことです。

チップの中には、アルミニウムとか銅(どう)とかチタンとか、いろんな金属の膜が何層も入ってます。それぞれの層に合わせたターゲットが必要になる。そしてその大半をJX金属が供給してる。

**装置(そうち)が動いてチップが作られるたびに、ターゲットは少しずつ削られて減っていく消耗品(しょうもうひん)**です。つまり、世界中の半導体工場が稼働(かどう)し続ける限り、JX金属のターゲットは永遠に必要とされ続ける。

しかもシェア64%。ここが崩(くず)れない理由は、超高純度(ちょうこうじゅんど)の金属を均一に加工する技術が簡単にはマネできないから。半導体が微細化(びさいか:どんどん小さく精密になること)すればするほど、材料に求められる純度(じゅんど)は上がる。つまり技術的なハードルがどんどん高くなって、追いつける競合(きょうごう)が減っていく構造になってるんです。

JX金属が作ってるもの②:InP基板

スパッタリングターゲットだけじゃありません。

JX金属はInP基板(あいえぬぴーきばん)も作ってます。

InPは「インジウムリン」という化合物(かごうぶつ)のこと。普通のシリコンとは違う特殊(とくしゅ)な半導体材料で、光通信(ひかりつうしん)やデータセンター間の超高速通信に使われます。

今ってAIのおかげでデータ量がとんでもなく増えてますよね。ChatGPTに質問するだけでも、裏ではデータセンターのサーバー同士が猛烈(もうれつ)な速度でデータをやりとりしてる。その通信を支えてるのが光ファイバーで、光ファイバーの中でデータを光に変換(へんかん)する部品に、InP基板が使われてるんです。

AIが普及(ふきゅう)すればするほど通信量が増えて、InP基板の需要(じゅよう)も伸びる。ここもJX金属の成長ドライバーになってます。

JX金属が作ってるもの③:高純度銅・電解銅箔

もう一つ。高純度銅(こうじゅんどどう)と電解銅箔(でんかいどうはく)

「銅箔」っていうのは、銅を超〜薄く伸ばしたシートのことです。

これは何に使うかっていうと、チップを載(の)せる基板(きばん)の配線(はいせん)。基板っていうのは、スマホやパソコンの中にある緑色の板、あれです。あの板の上に細い銅の線が走ってて、チップ同士をつないでる。その銅の線の材料が、JX金属の銅箔や高純度銅です。

つまりJX金属は、チップそのものを作る材料(ターゲット)も、チップを載せる基板の材料(銅箔)も、両方作ってるってこと。半導体産業の中で、上流(じょうりゅう)から下流までカバーしてる珍しい会社なんです。

ちなみにJX金属の銅の出発点(しゅっぱつてん)は銅製錬(どうせいれん)。鉱石(こうせき)から銅を取り出す事業で、ここも世界5位の規模。「鉱山で銅を取り出す → 精製(せいせい)して高純度にする → 半導体材料に加工する」っていう一気通貫(いっきつうかん)の流れを自社で持ってるのが、JX金属の強みです。

ここで業界の全体像を見てみよう

JX金属の立ち位置がわかったところで、半導体業界の全体像を見てみましょう。チップが私たちの手元に届くまでの全工程を、関わる会社と一緒にまとめます。


① 設計(せっけい)

チップの設計図を作る会社たち。

Nvidia(エヌビディア)、AMD(エーエムディー)、Apple(アップル)、Qualcomm(クアルコム)など。

これらの会社はファブレスと呼ばれてます。ファブ(fab=工場)がレス(less=ない)。つまり「工場を持たない設計専門の会社」。自分では作らず、設計図だけ描いて次のステップに渡します。

「えっ、Nvidiaって工場ないの?」って驚く人も多いんですけど、ないんですよ。頭脳(設計)だけに全集中してる。


② 前工程(まえこうてい)── ウェハー製造

設計図を受け取って、実際にチップを作る工程。

TSMC(ティーエスエムシー)、Samsung Foundry(サムスンファウンドリ)、Intel Foundry(インテルファウンドリ)など。

こういう受託製造(じゅたくせいぞう)専門の会社をファウンドリと言います。中でもTSMCは世界シェアの過半数(かはんすう)を握る圧倒的(あっとうてき)な存在。

★ JX金属のスパッタリングターゲットとInP基板は、ここで使われます。

ウェハーの上に膜を重ねる「成膜(せいまく)」工程に、JX金属のターゲットが投入される。TSMCの工場が動くたびに、JX金属の材料が消費されていくわけです。

ちなみにこの工程で使う製造装置(せいぞうそうち)を作ってるのが、オランダのASML(エーエスエムエル)。回路パターンをウェハーに焼き付けるEUV露光装置(いーゆーぶいろこうそうち)は1台で数百億円、しかもASMLしか作れないという独占状態。他にもApplied Materials(アプライドマテリアルズ)や東京エレクトロンが成膜(せいまく)やエッチング(削る工程)の装置を作ってます。

JX金属のターゲットは、この成膜装置の中にセットされて使われる。装置メーカーが「機械」を作って、JX金属がその中の「弾(たま)」を作ってる、みたいなイメージですね。


③ 後工程(あとこうてい)── 組立・パッケージング

ウェハーの上にできたチップを、一個一個切り出して使える形にする工程。

ASE(エーエスイー)、Amkor(アムコール)、JCET(ジェイセット)などが専門。こういう会社をOSAT(オーサット)と言います。「Outsourced Semiconductor Assembly and Test」の略(りゃく)で、「組立とテストを請け負う会社」って意味。

具体的には、ウェハーをダイシング(切断)して、ワイヤーボンディング(金線でつなぐ)して、樹脂(じゅし)で封止(ふうし=密封すること)して、基板に実装(じっそう=取り付けること)する。

★ JX金属の銅箔・高純度銅は、ここで使われます。

チップを載せるパッケージ基板(きばん)の配線(はいせん)材料として、JX金属の銅素材が組み込まれます。


④ 検査(けんさ)

完成したチップがちゃんと動くか、一個ずつテストする工程。

アドバンテスト、テラダインといった検査装置(けんさそうち)メーカーの機械を使って、不良品(ふりょうひん)を弾(はじ)きます。半導体はナノメートル(10億分の1メートル)の世界で作られてるので、ほんの少しの不具合(ふぐあい)でもアウト。品質管理(ひんしつかんり)は超シビアです。


⑤ 最終製品(さいしゅうせいひん)

検査を通ったチップが、PC、スマートフォン、データセンターのサーバー、自動車、IoT機器(あいおーてぃーきき)に組み込まれて、ようやく私たちの手元に届きます。

全体を俯瞰してみる

ここまでの流れをまとめると、こうなります。

材料供給(JX金属)→ 設計(Nvidia等)→ 製造(TSMC等)→ 組立(ASE等)→ 検査(アドバンテスト等)→ 最終製品(PC・スマホ等)

全部バラバラの会社がやってるのが、この業界のすごいところ。

そしてJX金属は、この流れの一番上流(じょうりゅう)=川上(かわかみ)にいます。しかも前工程にも後工程にも材料を供給してるので、半導体が作られるプロセスの中で二回も登場するという、ちょっと珍しいポジション。

ポイントを整理すると:

スパッタリングターゲット ── 前工程の成膜で使用。世界シェア64%。チップが作られるたびに消耗。

InP基板 ── 光通信・高速デバイス向け。AI時代のデータ通信量増で需要拡大。

高純度銅・電解銅箔 ── 後工程のパッケージ基板配線に使用。銅製錬から一貫生産。

なぜ「黒子」が面白いのか

半導体業界って、NvidiaとかTSMCとかASMLみたいな派手な会社に目が行きがちなんですよ。まあ当然ですよね。NvidiaのGPUがAIブームを牽引(けんいん)してるし、TSMCは世界中のチップを作ってるし。

でも、その派手な会社たちが動くためには材料が必要で、その材料を独占的に供給してるのがJX金属。

チップの微細化(びさいか)が進めば、材料に求められる純度は上がる。AIブームでチップの生産量が増えれば、ターゲットの消費量も増える。データセンターが増えれば、InP基板の需要も増える。半導体産業が成長するほぼ全てのシナリオで、JX金属にも追い風が吹く構造になってます。

しかも世界シェア64%で、簡単にはひっくり返されない技術的な壁(参入障壁=さんにゅうしょうへき)がある。

半導体の「主役」はNvidiaやTSMCかもしれない。でも舞台を支えてる「黒子(くろこ)」はJX金属。

業界の全体像が見えると、一つの会社のポジションがぐっとクリアになりますよね。「この会社、実はこの流れの中でこんなに重要だったんだ」っていう発見がある。

そういう目で銘柄(めいがら)を見ると、投資ってもうちょっと面白くなると思います。


※ 本記事は半導体業界の構造をわかりやすく解説したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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