NVIDIA(NASDAQ: NVDA)は、2025年度第3四半期(2024年8月~10月)の見通しを発表し、売上高は325億ドル(プラスマイナス2%)に達する見込みであることを明らかにしました。この見通しは前年同期比で約80%の大幅な増加を示しており、同社の成長を支える主な要因として、データセンター製品と生成AI関連の需要増加が挙げられています。本記事では、第3四半期の見通し、過去の業績、及び注目すべき良い点・悪い点を詳しく解説します。
第3四半期の業績見通し
NVIDIAが発表した2025年度第3四半期の主な業績見通しは以下の通りです:
主な数値予測
- 売上高:325億ドル(プラスマイナス2%)
- 前年同期比で約80%の増加が見込まれる。
- 前四半期(第2四半期)の300億ドルをさらに上回る成長。
- GAAP粗利益率:74.4%
- 前四半期の75.1%からやや低下。
- 非GAAP粗利益率:75.0%
- 前四半期(75.7%)からの微減。
- 営業費用:
- GAAPベース:約43億ドル。
- 非GAAPベース:約30億ドル。
- 株主還元:
- 500億ドルの追加株式買い戻しを承認済み。
- 成長の主因:データセンター向けAIチップ「Blackwell」や生成AI関連製品の需要増。
市場背景
NVIDIAの成長は、生成AIとアクセラレーテッドコンピューティング(高速計算技術)への需要が大きく寄与しています。同社の次世代AIチップ「Blackwell」と「H200」が市場で強い注目を集めており、データセンター向けの収益をさらに押し上げると期待されています。
過去の業績推移
NVIDIAは、2025年度第2四半期において売上高300億ドルを達成し、前年同期比で122%増という驚異的な成長を見せました。この流れを受けて、第3四半期も同様に強い業績が期待されています。
GAAPベースでの過去の業績推移
項目 | 25年度Q2(最新) | 25年度Q1 | 24年度Q2 | Q/Q変化 | 前年同期比変化 |
---|---|---|---|---|---|
収益(百万ドル) | 30,040 | 26,044 | 13,507 | +15% | +122% |
粗利益率(%) | 75.1 | 78.4 | 70.1 | -3.3pt | +5.0pt |
営業利益(百万ドル) | 18,642 | 16,909 | 6,800 | +10% | +174% |
純利益(百万ドル) | 16,599 | 14,881 | 6,188 | +12% | +168% |
希薄化後1株利益(ドル) | 0.67 | 0.60 | 0.25 | +12% | +168% |
非GAAPベースでの過去の業績推移
項目 | 25年度Q2(最新) | 25年度Q1 | 24年度Q2 | Q/Q変化 | 前年同期比変化 |
---|---|---|---|---|---|
収益(百万ドル) | 30,040 | 26,044 | 13,507 | +15% | +122% |
粗利益率(%) | 75.7 | 78.9 | 71.2 | -3.2pt | +4.5pt |
営業利益(百万ドル) | 19,937 | 18,059 | 7,776 | +10% | +156% |
純利益(百万ドル) | 16,952 | 15,238 | 6,740 | +11% | +152% |
希薄化後1株利益(ドル) | 0.68 | 0.61 | 0.27 | +11% | +152% |
良い点・悪い点の詳細
NVIDIAの第3四半期見通しについて、良い点と懸念点を以下の表にまとめました。
良い点
- 売上高の大幅成長:
- 前年同期比約80%の成長が予測され、生成AIやデータセンター向け製品が主要なドライバー。
- AIチップ需要の増加:
- 次世代AIチップ「Blackwell」と「H200」が市場で注目されており、収益のさらなる拡大が期待。
- データセンター収益の堅調:
- データセンター向け製品の収益が四半期ごとに新記録を更新中。
- 株主還元策の強化:
- 500億ドルの株式買い戻しを承認し、長期的な株主利益を重視。
- 製品エコシステムの拡大:
- AIプラットフォーム「Spectrum-X」やその他生成AI向け技術が市場で評価を受けている。
悪い点
- 粗利益率の低下:
- GAAPおよび非GAAPベースで前四半期から若干の低下(GAAPで74.4%、非GAAPで75.0%)。
- 営業費用の増加:
- GAAPベースで約43億ドルに達し、研究開発投資やマーケティング費用の増加が圧迫。
- 依存リスク:
- AI関連需要が急減した場合、成長が鈍化する可能性がある。
- 競争激化:
- 他の半導体企業が生成AI関連製品の市場に参入しており、競争が増加。
- 地政学的リスク:
- サプライチェーンの問題や米中関係の悪化が業績に影響を及ぼす可能性。
投資家への影響と今後の注目点
NVIDIAは第3四半期においても過去最高レベルの業績を目指しており、生成AIやアクセラレーテッドコンピューティング市場でのリーダーシップを維持しています。しかしながら、粗利益率の低下や営業費用の増加が課題として浮上しており、長期的な成長にはAI需要の安定した継続が重要となります。
また、株主還元策としての500億ドル規模の株式買い戻しは、同社の株価に対するポジティブな影響を与えると考えられますが、これが収益成長とバランスを取れるかが注目されています。
まとめると、NVIDIAの第3四半期見通しはポジティブな要素が多いものの、競争やコスト面の課題に対する継続的な対応が必要です。投資家は生成AI市場の動向や新製品「Blackwell」の成功を見守るべきでしょう。