「2社を比較して」だけでは会社紹介が返ってくる
持ち株の決算が出た日に、同業の会社と並べて見たくなることがありますよね。
そこでAIに「この2社を比較して」と打つと、会社の紹介文が返ってきます。数字が1つも入っていないので、結局は自分で決算短信を2本開くことになります。
この記事では、決算短信のサマリー1ページ目から5項目だけを抜いてClaudeに貼るやり方を書きます。半導体製造装置の2社を題材に、私が2026年10月28日に実際に回した出力をそのまま載せました。読み終えたら、持ち株1社と同業1社で同じ表を10分で作れます。
こんな人に向けて書きました
- AIに2社の比較を頼むと、業界の説明が返ってくる
- 決算短信を2本読み比べるのに毎回30分かかって続かない
- AIが出した数字をどこまで信じていいか決められない
読むと分かること
- 決算短信から抜く5項目と、その置き場所
- コピーして使えるプロンプトの全文
- 出てきた表のうち、自分で確かめる2か所
この記事が答えないこと
- どちらの株を買うか、売るか
- 目標株価と今後の株価の予想
- 銘柄の推奨
この記事の手順を1行ずつで言うと
AIに「比較して」と任せるのではなく、比べる項目を5つに決めて渡すのがこの手順の軸です。項目を決めるのは私たちの仕事で、計算と整形がAIの仕事になります。
準備は決算短信の1ページ目だけでいい
決算短信は20ページ前後ありますが、この手順で使うのは1ページ目のサマリーだけです。全部を読む必要はありません。
用意するもの
- Claudeが開ける画面(パソコンのブラウザでも、スマホのアプリでも同じです)
- 同じ業種の2社の決算短信。会社のIRページの「決算短信」か、東京証券取引所の適時開示から開けます
- 電卓(スマホの電卓で足ります)
Claudeの料金は無料プラン(Free)が0ドル、Proが年契約で月17ドル、月払いで月20ドルです(Claude公式の料金ページ・2026年10月28日確認)。この手順は数字を貼り付けるだけなので、ファイルの添付機能は使いません。
題材に使った2社
半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)とSCREENホールディングス(7735)で、2027年3月期 第1四半期(2026年4月1日〜6月30日)の決算短信を使いました。どちらも東京証券取引所の適時開示で公開されている資料です(2026年10月28日に内容を確認)。
この2社は手順を説明するための題材です。この記事は売買をすすめるものではありません。
02決算短信から抜くのは5項目だけでいい
比較表に入れる項目を先に決めます。この5つです。
| 抜く項目 | 短信のどこにあるか | 使う目的 |
|---|---|---|
| ①売上高(前年同期比) | 1ページ目の「連結経営成績」 | 伸びているか |
| ②営業利益(前年同期比) | ①の右 | 本業の利益の増減 |
| ③純利益 | ②の右 | 最終の利益 |
| ④1株当たり四半期純利益 | 連結経営成績の右端 | 1株で稼いだ金額 |
| ⑤通期の業績予想 | 1ページ目の下か2ページ目 | 年間計画の進み具合 |
ここで大事なのは、2社の対象期間をそろえることです。片方が第1四半期、もう片方が中間期の数字だと、表の形はきれいでも中身が比べられません。短信の1行目に書かれている期間の日付を、貼る前に確認します。
今回の題材で抜いた数字
東京エレクトロン(8035)2027年3月期 第1四半期は、売上高732,388百万円(前年同期比+33.3%)、営業利益211,407百万円(+46.1%)、親会社株主に帰属する四半期純利益164,341百万円(+39.5%)、1株当たり四半期純利益361.36円でした。通期予想は短信に記載がなく、第2四半期の決算発表時に開示する予定と書かれています。
SCREENホールディングス(7735)の同じ期間は、売上高121,775百万円(△10.3%)、営業利益14,368百万円(△41.1%)、親会社株主に帰属する四半期純利益10,490百万円(△37.1%)、1株当たり四半期純利益55.47円でした。通期予想は売上高743,000百万円、営業利益156,500百万円です。
出典:両社の2027年3月期 第1四半期決算短信(東京証券取引所の適時開示資料)。2026年10月28日に内容を確認。記事末尾にURLを載せています。
03プロンプトの末尾に数字を貼って送る
下のプロンプトをそのままコピーして、最後の「貼る数字」のところを自分の2社に書き換えます。会社名と数字を入れ替えるだけで、どの業種でも同じように使えます。
あなたは日本株の決算資料を読む担当です。 これから同じ業種の2社について、決算短信の数字を貼ります。 次の手順で答えてください。 【手順】 1. 下の5項目だけを使い、2社を並べた比較表を作る (1)売上高(前年同期比) (2)営業利益(前年同期比) (3)営業利益率 (4)1株当たり四半期純利益 (5)通期予想に対する売上高の進捗率 2. (3)と(5)は貼った数字から計算し、計算式も1行で書く 3. 通期予想を貼っていない会社は(5)を「未開示」と書く。推定値は書かない 4. 対象期間が2社で違う場合は、表を作らずにその点だけ指摘する 5. 単位は貼ったとおりに使う。百万円を億円に直さない 6. 表の下に「差が一番大きい項目」を1つだけ挙げ、何ポイントの差かを書く 7. 最後に「この比較だけでは分からないこと」を3つ書く 【禁止】 ・貼っていない数字を使わない。足りないときは「資料に記載なし」と書く ・株価、PER、目標株価、売買の判断を書かない ・会社の事業内容の一般的な説明を書かない 【貼る数字】 ■A社:東京エレクトロン(8035) 2027年3月期 第1四半期(2026年4月1日〜6月30日) 売上高 732,388百万円(前年同期比+33.3%) 営業利益 211,407百万円(+46.1%) 親会社株主に帰属する四半期純利益 164,341百万円(+39.5%) 1株当たり四半期純利益 361.36円 通期予想:記載なし(第2四半期決算発表時に開示予定) ■B社:SCREENホールディングス(7735) 2027年3月期 第1四半期(2026年4月1日〜6月30日) 売上高 121,775百万円(前年同期比△10.3%) 営業利益 14,368百万円(△41.1%) 親会社株主に帰属する四半期純利益 10,490百万円(△37.1%) 1株当たり四半期純利益 55.47円 通期予想:売上高 743,000百万円、営業利益 156,500百万円
実際の出力(Claude・2026年10月28日に実行)
| 項目 | 東京エレクトロン | SCREEN |
|---|---|---|
| 売上高 | 732,388百万円 (+33.3%) | 121,775百万円 (△10.3%) |
| 営業利益 | 211,407百万円 (+46.1%) | 14,368百万円 (△41.1%) |
| 営業利益率 | 28.9% | 11.8% |
| 1株当たり 四半期純利益 | 361.36円 | 55.47円 |
| 売上高の進捗率 | 未開示 | 16.4% |
計算式
営業利益率=営業利益÷売上高。211,407÷732,388=28.9%/14,368÷121,775=11.8%
進捗率=第1四半期の売上高÷通期予想の売上高。121,775÷743,000=16.4%。東京エレクトロンは通期予想の記載がないため未開示。
差が一番大きい項目
営業利益の前年同期比です。+46.1%と△41.1%で、87.2ポイントの差があります。
この比較だけでは分からないこと
1. 売上規模が約6倍違うため、同じ増減率でも金額の重みが異なります。
2. 東京エレクトロンの年間計画。第2四半期決算発表時に開示予定と書かれており、資料に記載なしです。
3. 営業利益率の差が製品の構成によるものか一時的な費用によるものかは、貼ったサマリーだけでは判別できません。
実際の画面(入力と回答)
Claudeに5項目を指定したプロンプトを送ったときの入力と回答。2026年10月28日に実行。
上の回答は、プロンプトに貼った数字だけを使ってClaudeが計算した結果です。入力に使った資料は両社の2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年10月28日確認)です。
営業利益率の差は17.1ポイント(2027年3月期 第1四半期)
出典:東京エレクトロン・SCREENホールディングスの2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年10月28日確認)の売上高と営業利益から計算。棒にカーソルを合わせると数値が出ます。
自分で確かめるのは2か所だけにする
AIが出した表を全部疑うと、手作業に戻ってしまいます。確かめるのは計算した2か所だけにします。貼った数字そのものは短信から写しているので、写し間違いだけ見ます。
この2か所が合えば、表はそのまま使います。SCREENホールディングスの進捗率16.4%は、通期予想の売上高に対して第1四半期で16.4%まで進んだという数字です。残りの9か月で83.6%を積む計画になっているので、次の決算で中間期の進み方を見る、という段取りになります。
05一般論が返ってきたら、項目と禁止事項を足す
最初に私が打ったのは「東京エレクトロンとSCREENホールディングスを比較して」の1行でした。返ってきたのがこれです。
東京エレクトロンとSCREENホールディングスは、どちらも半導体製造装置を手がける日本の企業です。事業領域や得意分野が異なるため、一概にどちらが優れているとは言えません。比較される際は、売上規模や成長性、収益性、株価水準などを総合的にご確認いただくのがよいかと思います。投資のご判断はご自身でお願いいたします。
数字が1つもありません。これは質問が悪いのではなく、比べる項目を渡していないからです。直したのは次の3か所でした。
- 比べる項目を5つに限定して書いた
- 計算する2項目(営業利益率・進捗率)と、式を書かせる指示を足した
- 「貼っていない数字を使わない」「事業内容の一般的な説明を書かない」の2行を禁止事項に入れた
よくある失敗3つと、プロンプトの直し方
| 起きること | 原因 | 足す1行 |
|---|---|---|
| 百万円と億円が混ざる | 読みやすくしようとして単位を変換する | 「単位は貼ったとおりに使う。百万円を億円に直さない」 |
| 通期予想がない会社に進捗率が出る | 空欄を埋めようとして前年の数字などで推定する | 「通期予想を貼っていない会社は未開示と書く。推定値は書かない」 |
| 期間の違う数字が並ぶ | 第1四半期と中間期を同じ列に入れてしまう | 「対象期間が2社で違う場合は、表を作らずにその点だけ指摘する」 |
AIに任せてはいけないのは3か所
- 貼っていない数字を埋めさせない。通期予想が開示されていない会社の進捗率は「未開示」で止めます。推定値が入った表は使いません。
- どちらを買うかを決めさせない。この表で分かるのは直近3か月の売上と利益の差だけです。株価の水準は入っていません。
- 出典の確認を任せない。短信の数字は自分でサマリーから写します。AIに探させると、別の期の数字が混ざることがあります。
次は進捗率と米国株の決算に進む
比較表が1枚できたら、次は片方の会社を深く見る作業に移ります。同じ決算短信を使う手順を2本置いておきます。
FAQよくある質問
ChatGPTやGeminiでも同じプロンプトが使えますか
3社以上を比べてもいいですか
通期予想が両社とも出ていないときはどうしますか
まとめ
今日のうちに、持ち株1社と同業1社の決算短信を開いて、サマリー1ページ目から5項目を写してみてください。プロンプトに貼って送れば、10分で表が1枚できます。
この記事の手順を、動画で通しでやる講座
ゼロから始めるAI投資 応用編(Udemy)
この記事で使った「決算資料をAIに読ませる」作業を、画面を動かしながら通しで解説しています。プロンプトの書き換え方もそのまま見られます。
講座の中身を見る(Udemy)株ちゃん投資情報 管理人。AIで投資の作業を手順にして、自作のスキルとアプリで毎日回しています。YouTube登録者12,000人。
本と講座の一覧はこちら
出典
1. 東京エレクトロン株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」東京証券取引所の適時開示資料。2026年10月28日に内容を確認。資料を見る
2. 株式会社SCREENホールディングス「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」東京証券取引所の適時開示資料。2026年10月28日に内容を確認。資料を見る
3. Claude公式サイト「Pricing」。2026年10月28日に内容を確認。料金ページを見る
※営業利益率と進捗率は、1と2の売上高・営業利益・通期予想から計算した数値です。
※適時開示資料のページは、公開から一定期間が過ぎると開けなくなることがあります。そのときは各社のIRページの「決算短信」から同じ資料を開けます。
免責事項
この記事は決算資料をAIで読む手順を紹介するものであり、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。投資助言ではありません。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。
また、AIの出力には誤りや古い情報が含まれることがあります。記事内のプロンプトを使って出てきた数字は、必ず元の決算短信と突き合わせて確認してください。

