金利上昇は、2026年9月の相場でいちばん大きなテーマです。わずか3日のあいだに、米国の中央銀行(FRB)が9月16日に約3年ぶりの利上げ、日本銀行が9月18日に31年ぶりの水準となる政策金利1.25%への利上げを決めました。日米がそろって金利を引き上げる局面は、この数年ありませんでした。
この記事では「金利上昇のやばさ」を5つの経路に分けて式と数字で確認し、次に日米の金利がいまどこにあるかを2026年9月18日時点のデータで押さえます。そのうえで、金利が上がる局面で業績の前提が変わる3社を「調べる価値のある候補」として取り上げます。記事全体は約2万字あるので、下の目次から気になる章に飛んでも大丈夫です。
✅ この記事の結論(先に要点だけ)
- 1金利が上がると株価=EPS×PERの「PER」が下がる。要求利回りが6.0%→6.5%になるだけで理論PERは25倍→22.2倍(約11%低下)
- 22026年9月18日時点で、米政策金利は3.75〜4.00%、日本は1.25%。日本の10年国債利回りは約2.99%で約30年ぶりの高水準
- 3金利で利益が増える側(銀行・損保)と、金利を押し上げている原油の側(資源)から3社を検討。ただし「金利で選ぶ」基準から外れる1社は落とす
🎯 この記事で得られること
- 1判断材料:日本10年国債利回り(2.99%)が3%台に定着するか、2.5%を割るか。米10年国債利回りが5%を上回って定着するか。この2つの数字で「金利上昇局面が続いているか」を判定できます → ニュースを見たら、この2つの数字だけ確認すれば今日の立ち位置が分かります
- 2判定ポイント:2026年10月30日(金)15:30の日銀総裁会見と、11月中旬に集中する3社の中間決算(各社の正式日程は※要確認)。この2つのイベントで、本記事の見立てを答え合わせできます → カレンダーに2つ入れておけば、見立てを放置せずに済みます
- 3答えないこと:「何円で買えばいいか」「住宅ローンは固定と変動のどちらがいいか」「FXや債券で何を買うか」は扱いません → 読み終えたあとに残るのは売買の指示ではなく、自分で線を引くための式と数字です
📑 目次
第1章 金利上昇が「やばい」5つの経路
「金利が上がると株が下がる」とよく言われますが、理由を説明できる人は多くありません。金利上昇が経済や株価に届く道は、大きく5本あります。1本ずつ、式と数字で確かめていきます。
出典:企業物価は2026年9月の報道(Trading Economics掲載の8月生産者物価)、日本10年債は2026年9月11日時点。図は筆者作成
経路① 株価の式の「分母」が重くなる(PERの低下)
株価は「EPS(1株あたり利益)×PER(株価収益率)」で表せます。EPSは会社がどれだけ稼ぐか、PERは投資家がその利益に何倍の値段をつけるか、です。金利が効くのは後者のPERです。
理論上のPERは、とても単純化すると「1÷(投資家が求める利回り−利益の成長率)」で近似できます。投資家が求める利回りは、国債のような安全資産の金利に、株のリスク分の上乗せを足したものです。つまり国債の金利が上がると、株に求める利回りも上がり、PERが下がります。
計算例で確かめます。利益の成長率を年2%と置き、投資家が株に求める利回りが6.0%なら理論PERは1÷(0.060−0.020)=25倍です。金利が0.5%上がって求める利回りが6.5%になると、1÷0.045=22.2倍。利益が1円も減っていないのに、株価の理論値は約11%下がります。7.0%なら20倍、7.5%なら18.2倍です。
※式「理論PER=1÷(要求利回り−成長率)」による計算例。実際の銘柄の適正PERを示すものではありません
この効き方は、PERが高い銘柄ほど大きくなります。将来の利益に期待して高いPERがついている成長株は、分母のわずかな変化で理論値が大きく動くからです。2026年9月14日からの週に米10年国債利回りが一時5%を突破した場面では、AI・半導体関連株が売られ、日経平均の重荷になりました。これは経路①がそのまま表に出た例です。
経路② 企業の借入コストが上がる
借金の多い企業は、金利が上がると支払利息が増えます。計算は単純で、有利子負債1,000億円の企業なら、借入金利が1%上がるごとに年10億円の利息が増えます(全額が変動金利の場合の計算例)。営業利益が100億円の会社なら、利益の1割が金利上昇だけで消える計算です。
影響を受けやすいのは、不動産・電力・鉄道・リースなど、設備や物件を借入で持つ業種です。2026年9月10日には、金利上昇を警戒して建設株が売られる場面もありました。逆に、現金を多く持つ「実質無借金」の企業は、預金や運用の利息が増えるので、金利上昇がプラスに働きます。
経路③ 家計のローン返済が増える
家計への効き方は、住宅ローンの変動金利で考えると分かりやすいです。借入3,000万円・35年・元利均等返済の計算例で比べます。金利0.6%なら毎月の返済は約79,209円、1.1%なら約86,091円、1.6%なら約93,332円、2.1%なら約100,925円です。
※元利均等返済の公式による計算例。実際の返済額は金融機関の条件・見直しルール(5年ルール等)で異なります
金利が1%上がると、毎月の返済は約1万4千円増えます。35年間の利息総額で見ると、0.6%で約327万円、1.6%で約920万円。差は約593万円です。家計の支出が増えれば、外食や旅行など消費関連の企業の売上に響きます。これが経路③です。
一方で、金利上昇は預金者には追い風です。9月18日の日銀の利上げを受けて、3メガバンクは普通預金の金利を0.5%に引き上げると発表しました。34年ぶりの水準です。ゆうちょ銀行も貯金金利を0.5%に上げる予定(11月9日改定)と報じられています。個人金融資産は2026年6月末で2,519兆円と過去最高で、預金の利息が家計の収入を下支えする面もあります。
経路④ 国の利払い費が増える
国も借金をしているので、金利が上がると利払いが増えます。計算の型は企業と同じで、仮に国債残高が1,000兆円なら、平均金利が1%上がるごとに年10兆円の利払い増になります(すべての国債の金利が一度に上がった場合の単純計算例。実際は満期が来た国債から順に置き換わるため、数年かけて効いてきます)。
利払いが膨らむと、国は歳出を削るか、さらに国債を発行するかを迫られます。国債の発行が増えると需給が緩んで長期金利がさらに上がる、という循環が市場で警戒されます。日本の10年国債利回りが約2.99%と約30年ぶりの高水準に達している背景には、この財政面の警戒も含まれています。
経路⑤ 為替を通じて、物価と金利がもう一段動く
5本目は為替です。米国の金利が日本より高いと、利回りの高いドルに資金が向かいやすく、円安になります。円安は輸入品の値段を押し上げ、物価を上げ、中央銀行にさらなる利上げを迫ります。2026年9月は、ここに原油高が重なりました。米国とイランの対立を背景にニューヨーク原油先物は9月10日に1バレル100ドル台に乗せ、9月15日には一時106ドル台と約4カ月ぶりの高値を付けています。
日本の8月の貿易収支は1兆1,056億円の赤字で、原油高で輸入額が膨らみました。企業物価(生産者物価)は8月に前年比7.6%上昇しています。一方で8月の消費者物価は1.7%上昇と、4カ月ぶりに伸び率が縮みました。企業の仕入れ段階の値上がりが、まだ店頭価格に転嫁しきれていない状態です。企業物価と消費者物価のこの差(約5.9ポイント)が埋まる方向に動けば、日銀の追加利上げが近づきます。
「やばい」の反対側:金利上昇で利益が増える業種
ここまでは金利上昇の痛みの話でしたが、同じ動きで利益が増える業種もあります。代表は銀行です。銀行は預金で集めたお金を貸出に回し、その金利差(利ざや)で稼ぎます。政策金利が上がると、貸出金利は比較的早く上がり、預金金利は遅れて少しずつ上がるので、利ざやが広がります。三井住友フィナンシャルグループは、政策金利0.25%あたり資金利益が約1,000億円増えると説明してきました(同社2026年3月期中間決算資料)。
もう1つは保険です。保険会社は受け取った保険料を長期の債券で運用しています。金利が上がると、新しく買う債券の利回りが上がり、運用収益が増えます。ただし、すでに持っている債券は値下がりして含み損が出るので、プラスとマイナスが同時に起きます。第4章で、ここを数字で確認します。
自分の持ち株が金利上昇に強いか弱いか、3つの数字で確かめる
5つの経路を、手元の銘柄に当てはめる方法です。証券会社のアプリの銘柄ページに載っている数字だけで、1銘柄あたり3分で確認できます。
- 1PERが市場平均より高いか。東証プライムの予想PERはおおむね17倍前後です。30倍を超える銘柄は、経路①の効き方が大きい側にいます。PER30倍の銘柄は、要求利回りが0.5%上がったときの理論値の下げ幅が、PER15倍の銘柄より大きくなります
- 2有利子負債が営業利益の何年分か。「有利子負債÷営業利益」が5年分を超えると、金利1%の上昇で営業利益の5%以上が利息に消える計算です(全額が変動金利の場合)。決算短信の貸借対照表で「借入金」「社債」を足せば出せます
- 3自己資本比率と現金の厚さ。自己資本比率が50%を超え、現金が有利子負債を上回る「実質無借金」の会社は、金利が上がると受取利息が増えます。経路②の逆側にいる会社です
この3つのうち2つ以上で「弱い側」に入った銘柄は、金利上昇局面では値動きが大きくなりやすいと考えて、持ち方(比率や入る回数)を見直す材料にします。売る・持つを決める式ではなく、どの銘柄から点検するかの順番を決めるための3項目です。
| 経路 | 何が起きるか | 影響を受けやすい側 |
|---|---|---|
| ①PER低下 | 要求利回り+0.5%で理論PER約11%低下 | 高PERの成長株(AI・半導体など) |
| ②借入コスト | 負債1,000億円×1%=年10億円の利息増 | 不動産・電力・リースなど借入の多い業種 |
| ③家計ローン | 3,000万円・35年で+1%=月約1万4千円増 | 住宅・消費関連 |
| ④国の利払い | 残高1,000兆円×1%=年10兆円(単純計算例) | 国債市場・長期金利 |
| ⑤為替と物価 | 金利差→円安→物価→追加利上げ | 輸入依存の業種、家計全般 |
| 反対側 | 利ざや拡大・運用利回り上昇 | 銀行・保険 |
第2章 日米の金利はいまどこ?(2026年9月18日時点)
米国:約3年ぶりの利上げ、年内もう1回の道筋
FRBは2026年9月16日(米国時間)、政策金利(フェデラルファンド金利)の誘導目標を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。2023年7月以来、約3年ぶりの利上げで、投票は12対0の全会一致でした。直前の7月28〜29日の会合では据え置きを決めていたものの、投票は9対3で、反対した3人は利上げを主張していました。8月の物価統計が出た後、市場が織り込む利上げ確率は最終的に90%まで上がっていました。
注目は、同時に公表された金利見通し(ドットチャート)です。2026年末の政策金利の中央値は4.1%で、6月時点の3.8%から0.3ポイント引き上げられました。これは年内にもう1回、0.25%の利上げがある道筋を示します。見通しを出した18人のうち16人が、年末は今より高い金利が適切だと見ています。年末に3.75%を下回ると見た人はいませんでした。
背景はインフレです。原油高で物価の伸びが高止まりし、FRBは「インフレをより速やかに2%へ戻すため」と説明しました。FRBは2024年9月から2025年12月にかけて政策金利を5.25〜5.50%から3.50〜3.75%まで下げてきた経緯があり、今回はその流れを反転させた形です。
日本:31年ぶりの1.25%、ただし2人が反対
日銀は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%から1.25%に引き上げました。6月会合以来3カ月ぶりの利上げで、2024年3月に始まった利上げ局面では最短の間隔です。1.25%は1995年以来、31年ぶりの高さです。狙いは、原油高や円安による物価の上振れを抑えることです。
ただし、9人の政策委員のうち2人が反対票を投じました。市場はこれを「日銀は今後の利上げに慎重」というサイン(ハト派)と受け止め、決定後に円安が進んで一時1ドル158円台をつけました。日経平均株価は同日、前日比882円70銭高の6万5,018円95銭で取引を終えています。一方でTOPIXは3.05ポイント安の4,091.14で、東証プライムの値上がり511銘柄に対し値下がりは1,003銘柄でした。指数は半導体の値がさ株に押し上げられ、銘柄の多くは下げた一日です。
出典:FRB・日本銀行の公表内容および各社報道をもとに作成(2026年9月18日時点)。米国は誘導目標レンジの中心値、日本の2024年3月は0〜0.1%の中心値で表示
図4を見ると、2025年までは「米国が下げ、日本が上げる」逆向きの動きでした。日米の金利差が縮む方向なので、円高に振れやすい組み合わせです。2026年9月にそれが「日米とも上げる」に変わりました。米国の中心値3.875%と日本の1.25%の差は2.625ポイントで、差が縮まらなくなったことが、利上げしたのに円安が進むという一見逆の動きにつながっています。
長期金利:日本2.99%、米国は一時5%
政策金利は中央銀行が決める短期の金利ですが、住宅ローンの固定金利や企業の社債、株価の理論値に効くのは市場で決まる長期金利です。日本の10年国債利回りは9月11日に約2.99%まで上がり、約30年ぶりの高水準に戻りました。米10年国債利回りは9月14日からの週に一時5%を突破し、9月17日に5%を割り込んだことが株式市場の安心材料になりました。
出典:政策金利は2026年9月18日時点(米国はレンジ中心値)。日本10年債は2026年9月11日時点の約2.99%、米国10年債は2026年9月14日からの週に一時突破した5%を表示(その後9月17日に5%割れ)
| 項目 | 日本 | 米国 |
|---|---|---|
| 政策金利 | 1.25%(2026年9月18日決定) | 3.75〜4.00%(2026年9月16日決定) |
| 直近の決定 | +0.25%、9人中2人反対 | +0.25%、12対0の全会一致 |
| 今後の示唆 | 市場は慎重姿勢と受け止め(円安へ) | 年末中央値4.1%=年内あと1回 |
| 10年国債利回り | 約2.99%(9月11日、約30年ぶり高水準) | 一時5%突破(9月14日の週) |
| 物価 | 企業物価8月+7.6%/消費者物価8月+1.7% | インフレ高止まり(FRB声明) |
| 監視ライン | 10年債 3%台定着 or 2.5%割れ | 10年債 5%超で定着するか |
出典:日本銀行・FRB公表、日本経済新聞・NHK・時事通信・Trading Economics等の2026年9月11〜18日の報道。取得時点:2026年9月19日
金利ニュースを見る順番:4ステップで5分
中央銀行の会合のたびに、ニュースは大量に流れます。私は次の順番で、数字だけを拾うようにしています。
- 1決定内容:政策金利を上げたか・据え置いたか。上げ幅は0.25%か0.5%か
- 2票の割れ方:全会一致か、反対が何人か。9月の日銀は2人反対で「次は慎重」と読まれ、円安になりました
- 3先の見通し:米国ならドットチャートの年末中央値(今回4.1%)、日本なら展望レポートの物価見通し(1・4・7・10月に公表)
- 4市場の答え:10年国債利回りと為替がどちらに動いたか。日本10年債3%、米10年債5%、ドル円158円台を基準に位置を確認する
4つ目の「市場の答え」がいちばん大事です。決定が同じでも、市場が予想していた内容より強いか弱いかで、金利も株価も逆に動くことがあります。9月18日の日銀の利上げは「予想どおりの利上げ+反対2票」だったため、利上げなのに円安・株高という反応になりました。
日米の金利を一文で言うと
米国は「インフレが止まらないので、もう1回上げる」、日本は「上げたが、次は慎重」。この温度差が金利差2.625ポイントを保ち、円安と原油高を通じて日本の物価を押し上げ、結局は日本の長期金利を3%前後に押し上げている。これが2026年9月の構図です。金利上昇局面が終わったと判断できるのは、米10年債が5%を明確に下回って定着し、日本の10年債が2.5%を割ったときです。
⚠️ 注意ポイント:長期金利・政策金利の数値は本記事執筆時点(2026年9月19日)のものです。金利は日々動くため、判断の前に日本銀行・財務省・FRBの公表値を必ず確認してください。
第3章 大局4層とセクター:資金はどこへ向かうか
銘柄の話に入る前に、私はいつも「大きいところから順に」前提を置きます。いきなり銘柄やチャートから入ると、相場の前提がないまま形だけで判断することになるからです。前提は次の4層で置きます。
| 層 | いまの位置 | 根拠(出典・取得時点) |
|---|---|---|
| 金利と景気 | 日米とも利上げ局面。米国は年内もう1回の道筋 | FRB 9月16日決定・ドット中央値4.1%、日銀9月18日決定1.25%(2026年9月19日取得) |
| 政治 | 米大統領サイクルの2年目(中間選挙の年) | 2026年11月に米中間選挙。2年目は一般に相場の上値が重いと語られる年(アノマリーであり毎年そうなるわけではない) |
| 産業(銀行・保険) | 利ざや改善で最高益が続く局面 | 3メガ・5大銀行の2026年4〜6月期純利益は同期間で4年連続最高(日本経済新聞 2026年8月4日) |
| 季節性 | 9月下旬:中間配当・分割の権利確定前、決算発表前の端境期 | 東京海上の株式分割は9月30日基準(同社開示 2026年8月25日) |
局面判定:金利サイクルは「上昇の途中」です。景気は2026年9月16日の報道で戦後最長の拡大に並ぶとされ、まだ後退の兆しは数字に出ていません。一方で物価高で実感は乏しく、原油という外部要因に強く左右されています。
⚠️ いちばん大事な発見:今回の金利上昇は「景気が強いから」ではなく「原油高で物価が上がるから」の比重が大きいことです。原油が下がれば、利上げの理由そのものが薄れます。つまり、金利上昇で得をする銘柄を検討するときも、裏側では原油価格を監視する必要があります。
金利サイクルの4局面で見ると、いまは「上昇の途中」
金利と相場の関係は、一般に「金融相場→業績相場→逆金融相場→逆業績相場」の4局面で語られます。周期は数年単位の目安で、日付で区切れるものではありません。金利が下がって株が上がるのが金融相場、景気回復で利益が伸びるのが業績相場、景気の過熱を抑えるために金利が上がり株が重くなるのが逆金融相場、景気が冷えて利益が減るのが逆業績相場です。
2026年9月の日米は、利上げが続いている点では逆金融相場の入り口に当てはまります。ただし日経平均は6万5,000円台を保ち、企業の利益もまだ伸びています。教科書どおりの逆金融相場と違うのは、利上げの理由が景気の過熱より原油高にあることです。だからこそ、原油の値動きが局面の変わり目を早めたり遅らせたりします。逆金融相場で相対的に利益の前提が崩れにくいのが、金利上昇が収益に直結する銀行と保険です。
セクター:今どこ・次どこ
今どこ:資金はAI・半導体の値がさ株と、金利上昇の恩恵を受ける銀行株に集まってきました。9月18日の日経平均は半導体株の上昇で882円高だった一方、TOPIXは下落し、値下がり銘柄が値上がりの約2倍でした。資金が一部の業種に集中しています。
次どこ:教科書どおりに言えば、金利上昇局面で利益が増える「銀行・保険」、物価上昇を価格に転嫁できる「資源・素材」です。ただし、この答えには注意点が2つあります。
- 1銀行株はすでに大きく上げている。三菱UFJの株価は2026年1月5日の年初来安値2,516円から7月27日の3,813円まで約52%上昇しました。9月18日には利上げ決定で「材料出尽くし」とされて売られています。急騰後に飛びつかないという自分の基準に照らすと、慎重に扱う必要があります
- 2利上げはすでに株価に織り込まれている可能性がある。今回の日銀の利上げは事前に報道され、市場予想どおりでした。次に株価を動かすのは「追加の利上げがあるか」と「決算で利ざや改善が数字に出るか」です
そのうえで、追いかける分野は2つに絞ります:銀行と損害保険。どちらも「金利が上がると利益の前提が上向く」という同じ軸で説明できる業種です。資源は、金利を押し上げている原因(原油)の側にいる業種なので、同じ軸では説明できません。ここが第4章で「落とす1社」を決める基準になります。
第4章 この局面で調べたい3銘柄と、落とす1社
| 項目 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) | 東京海上ホールディングス(8766) | INPEX(1605) |
|---|---|---|---|
| 株価(2026年9月18日終値) | 3,620円 | 8,200円(分割前) | 3,913円 |
| 今期利益の見通し | 純利益目標2兆7,000億円 | 親会社利益8,300億円/修正純利益9,500億円 | 純利益5,100億円(上方修正後) |
| EPS(会社予想ベース) | 約239円(目標÷株数の概算) | 434.18円(分割前) | 438.65円 |
| PER | 約15.1倍 | 18.89倍 | 8.92倍 |
| 配当(予想)/利回り | 96円/2.65% | 245.05円(分割前換算)/2.99% | 112円/2.86% |
| PBR | 1.80倍 | 1.90倍 | 0.89倍 |
| 年初来高値 | 3,813円(7月27日) | 8,468円(7月29日) | 4,955円(3月30日) |
| 金利との関係 | 利上げで利ざや拡大 | 運用利回り上昇/保有債券は評価損 | 直接は薄い(原油高の受益者) |
出典:株価・PER・PBR・配当利回り・年初来高値はYahoo!ファイナンス(2026年9月18日終値時点、2026年9月19日取得)。三菱UFJのEPSは純利益目標2兆7,000億円を第1四半期のEPSから逆算した株数(約112.8億株)で割った概算で※要確認
出典:Yahoo!ファイナンス(2026年9月18日終値時点)。三菱UFJのPERは会社目標からの概算
候補1 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306):利上げの素直な受益者
国内最大の金融グループです。2026年3月期の純利益は前期比30.3%増の2兆4,272億円で、国内のメガバンクとして初めて2兆円を超えました。2027年3月期は純利益2兆7,000億円を目標に置いています(同社は業績予想に代えて目標値を開示)。
2026年8月3日発表の第1四半期(4〜6月)は、純利益が前年同期比48.2%増の8,094億円、1株利益は71.77円(前年同期47.55円)でした。通期目標に対する進捗率は約30%で、単純な4分の1(25%)を上回っています。年間配当予想は96円(中間48円・期末48円)です。
出典:同社決算短信(2026年5月15日・8月3日)。2025年3月期は2026年3月期実績と前期比増加率(30.3%)から算出
| 内容 | |
|---|---|
| 賛成 | 第1四半期の純利益8,094億円は前年同期比48.2%増で、通期目標2兆7,000億円への進捗は約30%。9月の利上げ(1.0%→1.25%)の効果はまだ業績に入っておらず、下期に上乗せされる構造。参考として同業の三井住友FGは政策金利0.25%あたり資金利益約1,000億円増と説明している |
| 反対 | 株価は年初来安値2,516円(1月5日)から高値3,813円(7月27日)まで約52%上昇済みで、利上げの恩恵をかなり織り込んでいる。9月18日は利上げ決定で「材料出尽くし」と売られ、一時3,586円。預金金利も0.5%へ上がり、利ざや拡大のペースは今後鈍る。景気が崩れれば貸倒れの費用(与信費用)が増える |
| 確認できない点 | 今回の0.25%利上げに対する同社自身の資金利益への感応度(※要確認)。持分法で取り込む米モルガン・スタンレーの利益が、米国の利上げ局面でどう動くか(※要確認)。中間決算の発表日(※要確認) |
EPSのシナリオを4本置き、PERとの掛け算で株価の幅を見ます。現在の株価(3,620円)の±5%に入るセルに◎を付けています。
| EPSシナリオ | EPS | PER10倍 | PER12倍 | PER14倍 | PER16倍 | PER18倍 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 弱気:与信費用増・預金金利の追随で目標未達(純利益約2.25兆円) | 200円 | 2,000 | 2,400 | 2,800 | 3,200 | 3,600 ◎ |
| 会社目標:純利益2兆7,000億円 | 239円 | 2,390 | 2,868 | 3,346 | 3,824 | 4,302 |
| 中立:1Qの進捗30%を踏まえ目標を約7%上回る | 255円 | 2,550 | 3,060 | 3,570 ◎ | 4,080 | 4,590 |
| 強気:追加利上げで資金利益が上振れ(純利益約3.15兆円) | 280円 | 2,800 | 3,360 | 3,920 | 4,480 | 5,040 |
表を読むと、いまの株価3,620円は「中立シナリオ×PER14倍」付近にいます。会社目標どおりの利益なら、PER15倍前後で約3,600円です。つまり、目標達成はすでに株価の前提に入っていて、ここから上に行くには「目標を上回る利益」か「PERの上昇」のどちらかが必要です。
| ライン | 株価 | 根拠(式) | このラインで何をするか |
|---|---|---|---|
| 過去高値 | 3,813円 | 2026年7月27日の年初来高値 | ここを終値で上回るかを確認するだけ。追いかけない |
| 警戒 | 3,350円 | 会社目標EPS239円×PER14倍 | 前提を点検し直す |
| 買い増し停止 | 3,100円 | 239円×PER13倍 | これ以下では追加しない |
| 撤退 | 2,800円 | 弱気EPS200円×PER14倍 | 終値で割れたら見立てを捨てる |
反証条件:中間決算で純利益の通期目標が据え置かれたまま、上期の進捗が50%を下回ったら、利ざや改善のシナリオは想定より弱いと判断します。また、日銀が次回会合(10月29〜30日)で利上げの停止を示唆した場合も、強気シナリオの前提が消えます。
候補2 東京海上ホールディングス(8766):金利で運用が効き、10月1日に1→15分割
国内最大の損害保険グループで、利益の半分以上を海外で稼ぎます。2027年3月期の見通しは、親会社の所有者に帰属する利益8,300億円、グループの稼ぐ力を示す修正純利益9,500億円で、8月12日の第1四半期決算で据え置かれました。年間配当予想は245円(前期218円)です。
大きな変化が2つあります。1つ目は株式分割で、2026年9月30日を基準日、10月1日を効力発生日として1株を15株に分割します。9月18日終値8,200円を15で割ると、分割後の理論株価は約547円です。100株の最低投資額は約82万円から約5.5万円に下がります。2つ目は上場以来初の株主優待で、100株以上を3年以上持つ株主に、初回7,500円相当、翌年以降は毎年2,500円相当の電子マネーなどを贈る予定です(初回基準日2027年3月31日)。
出典:同社2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月12日)。前年同期は増減額から算出
第1四半期の中身は明暗が分かれました。国内損保の修正純利益は自然災害の増加で20.8%減の772億円、自然災害の正味発生保険金は31.1%増の236億円でした。一方、海外保険は9.2%増の1,643億円でしたが、為替の影響を除くと2.1%減です。海外事業の換算レートは1ドル159.57円で、前年の144.59円から約10%の円安でした。
| 内容 | |
|---|---|
| 賛成 | 金利上昇で新たに買う債券の利回りが上がり、運用収益の前提が上向く。政策保有株の売却は通期予想4,300億円に対し第1四半期で2,353億円(進捗54.7%)と速く、売却益と資本効率の改善が進む。自社株買い(取得総額2,000億円)、増配(218円→245円)、分割・優待で個人株主の裾野が広がる |
| 反対 | 第1四半期の修正純利益は3.6%減の2,613億円で、国内損保は自然災害で20.8%減。台風シーズン(2026年9月にも台風25号が接近)を通過するまで国内の利益は読みにくい。海外の増益は円安頼みで、為替を除けば2.1%減。PERは18.89倍と3社で最も高く、経路①(金利上昇でPERが下がる)の影響を受けやすい |
| 確認できない点 | 金利1%上昇時の保有債券の評価損の規模と、資本(ESR)への影響(※要確認)。分割後の実際の値動き(10月1日以降)。中間決算の発表日(※要確認) |
| EPSシナリオ(分割前) | EPS | PER12倍 | PER14倍 | PER16倍 | PER18倍 | PER20倍 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 弱気:大型自然災害+円高で海外が目減り | 350円 | 4,200 | 4,900 | 5,600 | 6,300 | 7,000 |
| 会社予想:親会社利益8,300億円 | 434円 | 5,208 | 6,076 | 6,944 | 7,812 ◎ | 8,680 |
| 中立:海外が計画をやや上回る | 470円 | 5,640 | 6,580 | 7,520 | 8,460 ◎ | 9,400 |
| 強気:修正純利益9,500億円相当 | 497円 | 5,964 | 6,958 | 7,952 ◎ | 8,946 | 9,940 |
分割後の株価に置き換えるときは、EPSも株価もすべて15で割ります。会社予想EPS434円は分割後に約28.9円、現在株価8,200円は約547円です。表の比率はそのまま使えます。
| ライン | 分割前 | 分割後(÷15) | 根拠(式) |
|---|---|---|---|
| 過去高値 | 8,468円 | 約565円 | 2026年7月29日の年初来高値 |
| 警戒 | 7,810円 | 約521円 | 会社予想EPS434円×PER18倍 |
| 買い増し停止 | 6,940円 | 約463円 | 434円×PER16倍 |
| 撤退 | 6,300円 | 約420円 | 弱気EPS350円×PER18倍 |
反証条件:中間決算で自然災害の影響により修正純利益の通期見通し9,500億円が下方修正されたら、「金利で運用が効く」前提より災害の重さが上回ったと判断します。日本の10年国債利回りが2.5%を割った場合も、金利の追い風が弱まったと見ます。
候補3 INPEX(1605):金利を押し上げている「原油高」の受益者
日本最大の資源開発会社です。2026年8月7日の中間決算で、中間期の純利益は前年同期比17.7%増の2,631億円と、中間期として過去最高でした。ホルムズ海峡の閉鎖で原油の販売量は22.8%減りましたが、ブレント原油の平均価格が23.7%上がり、円安(1ドル158.29円)も利益を押し上げました。通期の純利益予想は4,500億円から5,100億円へ上方修正され、年間配当を112円に増やし、最大1,400億円(5,000万株上限・8月10日〜12月31日)の自社株買いも決めています。
出典:同社2026年8月7日公表資料・日本経済新聞(2026年8月7日)。前期実績は修正後予想5,100億円と前期比29.5%増から算出(※概算)
| 内容 | |
|---|---|
| 賛成 | PER8.92倍・PBR0.89倍と3社で最も低い。通期純利益5,100億円は過去最高の見通しで、中間期の進捗は51.6%と計画どおり。配当112円(利回り2.86%)に加え、自社株買い1,400億円で株主還元が厚い。豪州のイクシスLNGの生産が好調 |
| 反対 | 利益が原油価格と為替にほぼ連動する。原油は9月15日に106ドル台をつけた後、9月17日にサウジアラビアのパイプライン修復期待で続落しており、米国とイランの停戦や供給回復で急落しうる。原油が下がれば物価と金利の上昇圧力も弱まるので、「金利上昇局面で持つ理由」と「原油が高い理由」が同じ一本の糸にぶら下がっている |
| 確認できない点 | 下期の原油価格・為替の会社前提(※要確認)。ホルムズ海峡の通航正常化の時期。第3四半期決算の発表日(Yahoo!ファイナンス上は未定・※要確認) |
| EPSシナリオ | EPS | PER6倍 | PER8倍 | PER9倍 | PER10倍 | PER12倍 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 弱気:停戦で原油急落+円高 | 300円 | 1,800 | 2,400 | 2,700 | 3,000 | 3,600 |
| 会社予想:純利益5,100億円 | 439円 | 2,634 | 3,512 | 3,951 ◎ | 4,390 | 5,268 |
| 中立:自社株買いで株数減+原油高止まり | 460円 | 2,760 | 3,680 ◎ | 4,140 ◎ | 4,600 | 5,520 |
| 強気:原油100ドル超が年末まで継続 | 520円 | 3,120 | 4,160 | 4,680 | 5,200 | 6,240 |
反証条件:WTI原油先物が1バレル80ドルを下回って定着したら、上方修正の前提が崩れたと判断します(8月中旬のWTIは83ドル台でした)。
落とす1社を選ぶなら → INPEX
落とす1社:INPEX(1605)
理由は業績の良し悪しではありません。3社の中でPERは最も低く、業績は過去最高の見通しです。落とす理由は、第3章で私が置いた「金利が上がると利益の前提が上向く業種を追う」という基準から外れるからです。INPEXの利益を決めるのは原油価格で、金利ではありません。しかも原油が下がると、金利上昇の理由そのものが薄れます。金利上昇局面を軸にした記事で、原油の値動きに賭ける銘柄を同じ列に並べると、2つの別々の賭けを1つだと錯覚します。
INPEXは「原油・資源」というテーマで別に検討する銘柄として、監視リストに残します。本記事の軸で追いかけるのは、三菱UFJと東京海上の2社です。
残した2社は「何が起きたら、どちらが効くか」で並べる
三菱UFJと東京海上は、同じ「金利上昇」の軸で残しましたが、ほかの出来事への反応は違います。起きうる出来事ごとに、どちらの利益の前提に効くかを並べておくと、ニュースが出たときにどちらを点検すればよいかがすぐ分かります。
| 起きた出来事 | 三菱UFJ | 東京海上 |
|---|---|---|
| 日銀が追加利上げ(1.25%→1.5%) | + 利ざやがさらに拡大 | + 新規運用の利回り上昇(保有債券の評価損は増える) |
| 長期金利だけが急上昇(10年債3.5%など) | ± 債券の評価損と貸出利回り上昇が相殺 | ± 運用利回り上昇と評価損が同時に起きる |
| 円高(1ドル140円台など) | △ 海外収益の円換算が目減り | - 海外保険の円換算が目減り(1Qの増益は円安寄与) |
| 大型台風・地震 | △ 取引先の被害で与信費用 | - 国内損保の支払保険金が増える |
| 景気後退 | - 貸倒れの費用が増える | △ 保険料収入は比較的安定 |
表の「+」「-」は利益の前提に対する向きで、株価の予測ではありません。この表から分かるのは、円高と災害は東京海上に、景気後退は三菱UFJに強く効くということです。2社を組み合わせても、「日銀が利上げを止める」という1つの出来事には2社とも同じ向きで反応します。前提の分散にならないことは、第5章でもう一度触れます。
チャート:この段階は空欄にしておく
📌 現時点で、各社のチャート(株価の位置・値幅・節目)はこの記事の中で判定していません。この段階は空欄です。チャートは①大局→②セクター→③銘柄を通ったあとに「どの価格帯で、何回に分けて入るか」を決める道具で、ここで候補を増やすものではありません。「チャートが良いからこの銘柄」という順番になったら、順番が逆になっているサインです。
反証条件のまとめ(これが起きたら見立てが間違い)
| 対象 | 反証条件 |
|---|---|
| 全体① | 日銀が10月29〜30日の会合で追加利上げの停止を示唆し、日本10年国債利回りが2.5%を割る |
| 全体② | 原油が急落して米10年国債利回りが4.5%を下回り、FRBの年内追加利上げの道筋が消える |
| 三菱UFJ | 中間決算で上期進捗が通期目標の50%未満(純利益1兆3,500億円未満) |
| 東京海上 | 中間決算で修正純利益の通期見通し9,500億円が下方修正される |
| INPEX(参考) | WTI原油先物が1バレル80ドルを下回って定着する |
第5章 分けて入る・答え合わせカレンダー・AIプロンプト
分散できるのは「時間」と「銘柄」の2つだけ
金利上昇局面は、中央銀行の会合や決算のたびに値動きが大きくなります。一度に全額を入れると、次のイベントで前提が崩れたときに取り返しがつきません。私が分散に使えるのは「時間」と「銘柄」の2つだけだと考えています。
時間の分け方の例です。検討する金額を3つに分け、1回目は反証条件に触れていないことを確認した日に3分の1まで、2回目は日銀の10月会合を通過して前提が保たれていたら3分の1、3回目は中間決算で数字を確認してから残りの3分の1、という順です。途中で撤退ラインや反証条件に触れたら、残りは入れずに止めます。
なぜ一度に入らないのかを、第4章の数字で確かめます。三菱UFJの撤退ライン2,800円は、9月18日終値3,620円から約22.7%下です。検討額の全額を一度に入れて撤退ラインに達すると、その銘柄の損失は約22.7%です。3分の1だけ入れた段階で達した場合、検討額全体に対する損失は約7.6%にとどまり、残りの3分の2は手元に残ります。分けて入ることで、前提が外れたときの傷を3分の1にできるということです。
銘柄の分け方は、同じ「金利」の軸でも性質が違う2社を組み合わせることです。三菱UFJは国内の利ざや、東京海上は運用利回りと海外保険で稼ぐので、利益の出どころが重なりすぎません。ただし、どちらも「金利が上がる」前提は共通なので、その前提が崩れると2社とも同じ方向に動きます。銘柄を分けても、前提の分散にはならない点は覚えておいてください。
答え合わせカレンダー(2026年10〜11月)
| 日付 | イベント | 何を確認するか |
|---|---|---|
| 2026年9月30日(水) | 東京海上の株式分割の基準日 | 10月1日(木)から分割後の株価で取引。ラインも÷15で読み替える |
| 2026年10月27〜28日(米国時間) | FOMC(※要確認) | 年内の追加利上げの道筋が維持されるか。米10年債5%との位置 |
| 2026年10月30日(金) | 日銀会合の結果・展望レポート、15:30から総裁会見 | 物価見通しの上方修正の有無、次の利上げへの言及、反対票の数 |
| 2026年11月中旬 | 3社の中間・四半期決算(各社の正式日程は※要確認) | 三菱UFJの上期進捗50%、東京海上の9,500億円の据え置き、INPEXの原油前提 |
出典:日本銀行「公表予定」(2026年9月18日更新)、東京海上ホールディングス開示(2026年8月25日)。FOMCの日程はFRBの年間予定による(※要確認)
見立てを「記録」に残す:1銘柄1行のメモ
答え合わせをするには、いま何を前提にしたかを書き残しておく必要があります。私は次の5項目を1行にまとめて、イベントのたびに更新しています。書くのは数字と日付だけで、感想は書きません。
| 項目 | 三菱UFJの記入例 | 東京海上の記入例 |
|---|---|---|
| 記録日と株価 | 2026年9月18日 3,620円 | 2026年9月18日 8,200円(分割後約547円) |
| 前提 | 日本10年債2.99%・政策金利1.25% | 同左+修正純利益9,500億円据え置き |
| 使ったシナリオ | 中立EPS255円×PER14倍 | 会社予想EPS434円×PER18倍 |
| 反証条件 | 上期進捗50%未満 | 通期9,500億円の下方修正 |
| 次の確認日 | 2026年10月30日・11月中旬決算 | 2026年10月1日(分割)・11月中旬決算 |
この1行があると、11月の決算で数字が出たときに「前提どおりか、どこがずれたか」を5分で判定できます。1回ごとの記録が次の判断の出発点になるので、同じ局面が来たとき(次の利上げ局面など)に、今回の記録をそのまま使えます。
AIで「前提の点検」を5分で済ませるプロンプト
金利・決算の数字を集めたら、点検の作業はAIに任せられます。ポイントは、数字は自分で調べて貼ること、AIには銘柄の推奨をさせないことです。ChatGPTでもClaudeでも同じ文面で使えます。
あなたは慎重な証券アナリストです。 以下のデータだけを使って、私の見立ての前提が保たれているかを点検してください。 【私の見立て】 金利上昇局面で、利ざや拡大(銀行)と運用利回り上昇(損保)の恩恵を受ける銘柄を監視している。 【最新データ(自分で調べて貼る)】 ・日本の政策金利: ・日本10年国債利回り: ・米国の政策金利(誘導目標): ・米10年国債利回り: ・WTI原油先物: ・監視銘柄の直近決算(純利益・通期見通しに対する進捗率): 【私の反証条件】 ・日本10年国債利回りが2.5%を割る ・米10年国債利回りが4.5%を下回る ・銀行:上期進捗が通期目標の50%未満 ・損保:修正純利益の通期見通しが下方修正 【出力してほしい内容】 1. 反証条件ごとに「触れた/触れていない/データ不足」を表で判定 2. 前提を崩しうる材料を、根拠となるデータ付きで3つまで 3. 分からないことは「分からない」と書く 渡したデータのみを使用し、最新の数値を推測しないこと。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力すること。 銘柄名を新たに挙げないこと。推奨は不要です。最終判断は私が行います。
⚠️ 注意ポイント:AIは渡した数字の範囲でしか判定できません。金利や株価をAIに「調べさせる」と、古い数値や誤った数値が混ざることがあります。数値は日本銀行・FRB・各社の決算短信などの一次情報から自分で取り、判定結果も必ず元の資料で確かめてください。
よくある質問
Q. 金利が上がったら株は全部売ったほうがいいですか?
A. そうとは限りません。第1章のとおり、金利上昇は高PERの成長株や借入の多い企業には逆風ですが、銀行や保険のように利益が増える業種もあります。9月18日の利上げの日も、日経平均は882円高でした。大事なのは「自分の銘柄がどの経路で影響を受けるか」を1つずつ確かめることです。
Q. 日銀はこの先も利上げを続けますか?
A. 確定したことは誰にも分かりません。9月18日の会合では9人中2人が反対し、市場は今後の利上げに慎重な姿勢と受け止めました。判断材料は、2026年10月30日(金)に公表される展望レポートの物価見通しと、総裁会見での言及です。
Q. 東京海上の株式分割で株価が安くなると、得をするのですか?
A. 分割そのもので企業の価値は変わりません。1株を15株にすると株価も理論上15分の1になり、保有総額は同じです。変わるのは100株の最低投資額(約82万円→約5.5万円)で、個人投資家が買いやすくなる点です。EPSや撤退ラインも15で割って読み替えてください。
Q. 金利が下がり始めたら、この記事の見立てはどうなりますか?
A. 第4章の反証条件に当たります。日本10年国債利回りが2.5%を割る、米10年国債利回りが4.5%を下回る、のどちらかが起きたら、「金利上昇局面で利益の前提が上向く」という見立ては外れたと判断し、前提を置き直します。そのときは銀行・損保ではなく、経路①の逆で理論PERが上がる側(成長株)の点検が先になります。
Q. 銀行株なら、メガバンクより地方銀行のほうが利上げの恩恵は大きいですか?
A. 一般に、貸出に占める変動金利の比率や、預金の金利をどれだけ据え置けるかで恩恵の大きさが変わるため、銀行ごとに差があります。本記事では個別の地方銀行の数字を確認していないので、比較はしていません。調べるときは、各行の決算説明資料にある「金利上昇による資金利益への影響」の試算を見比べてください。
まとめ
金利上昇が「やばい」のは、株価の式の分母(PER)を重くし、企業・家計・国の利払いを増やし、為替を通じて物価と金利をもう一段動かすからです。要求利回りが0.5%上がるだけで、理論PERは約11%下がります。
2026年9月は、米国が3.75〜4.00%へ約3年ぶりに利上げし、日本が1.25%へ31年ぶりの水準に上げました。日米の政策金利差は2.625ポイントで縮まらず、円安と原油高が物価を押し上げています。監視する数字は、日本10年国債利回り(約2.99%)と米10年国債利回り(5%前後)の2本です。
金利の軸で調べる価値があるのは三菱UFJと東京海上の2社、原油の軸にいるINPEXは今回は落としました。答え合わせは2026年10月30日の日銀会合と、11月中旬の決算です。数字が出たら、第5章のプロンプトで前提を点検してみてください。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するもの、または投資助言を目的とするものではありません。記載した数値は本文中に示した時点(主に2026年9月18日終値・9月19日取得)のものであり、その後変動している場合があります。AIの出力には誤りが含まれる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
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