JX金属が日経平均に採用されたって聞いて、朝から見てたんです。でも寄り付きが一番高くて、そこからずっと下げてて…。良いニュースだったはずなのに、なんでですか?
私も同じ画面を見ていました。9時6分に3,800円で寄り付いて、その1分後に3,845円。そこから10時43分の3,645円まで、1時間半で200円落ちています。「良いニュース」で上がったのに続かない。これ、けっこう気持ちが揺れる動きなんですよね。
指数採用は「誰が株を持つか」を変えるニュースであって、「会社がいくら稼ぐか」を変えるニュースではないんです。だから私は今日、何もしませんでした。
✅ この記事の結論(先に要点だけ)
- 1日経平均は66,399.84円(前週末比+1,378.90円・+2.12%)と大幅続伸。ただし値下がり銘柄が56.9%と過半で、指数だけが半導体2銘柄に持ち上げられた日でした
- 2JX金属は日経平均採用が決まりましたが、実際のパッシブ買いが来るのは2026年10月1日の適用と9月29日付の係数変更のとき。今日の売買はその先回りの資金です
- 3私は保有継続のまま、買い増しも利益確定もしていません。判断を変えるのは2026年11月の第2四半期決算で、半導体材料と情報通信材料の利益比率が上がったときだけです
PART1 今日の相場全体感と主要ニュース
まず全体から見ていきます。今日の東京市場は、数字だけ見るととても強い1日でした。
📊 株価ハイライト(2026年9月7日)
| 指数・レート | 終値 | 前営業日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,399.84円 | +1,378.90円(+2.12%) |
| TOPIX | 4,128.53pt | +25.30pt(+0.62%) |
| NYダウ(9月4日終値) | 53,414.25ドル | −271.86ドル |
| ナスダック総合(9月4日終値) | 26,506.99 | −77.07 |
| SOX指数(9月4日終値) | 11,735.26 | +383.13(+3.37%) |
| ドル円(9月7日14時4分) | 155.81円 | −0.44円(−0.28%) |
| COMEX銅(9月7日) | 1ポンド6.56ドル | −0.04ドル(−0.57%) |
出典:日経平均・売買代金はフィスコ「日経平均は大幅続伸、買い一巡後は高値圏でもみ合う展開」2026年9月7日配信(Investing.com掲載)/TOPIXはInvesting.com「TOPIX 過去データ」2026年9月7日取得/NYダウ・ナスダックはダイヤモンド・ザイ「強弱材料 9/7」/SOX指数は株探US日足/ドル円はフィスコ「東京為替:ドル・円は戻りが鈍い、156円台は維持」2026年9月7日14時4分配信/COMEX銅はmetalcharts.org 2026年9月7日取得
指数は+2.12%、でも値下がり銘柄のほうが多い日
ここがまず、今日いちばん大事なところです。日経平均は1,378円90銭も上がりました。ところが東証プライムの値上がり銘柄比率は40.7%、値下がりは56.9%。つまり上がった銘柄より下がった銘柄のほうが多かったんですよね。
TOPIXの伸びが+0.62%にとどまったのも同じ理由です。TOPIXは時価総額で市場全体をならした指数なので、幅広く買われていないとここまで差がつきません。日経平均だけが跳ねた、と読むのが素直だと思ってます。
実際、フィスコの寄与度ランキング(2026年9月7日大引け配信)によると、ソフトバンクグループとアドバンテストの2銘柄だけで日経平均を約839円押し上げています。上げ幅1,378円90銭のうち、6割がこの2社です。日経平均は株価の高い銘柄ほど効く「株価平均型」の指数なので、こういうことが起きるんですね。
動いたセクター
上昇率上位(33業種)
海運業+3.06%/ガラス・土石製品+2.49%/電気機器+2.14%/非鉄金属+2.01%/情報・通信業+1.94%
下落率上位
水産・農林業−1.36%/医薬品−1.27%/銀行業−1.17%/サービス業−1.05%/その他製品−1.02%
出典:フィスコ「東証業種別ランキング:海運業が上昇率トップ」2026年9月7日配信(Investing.com掲載)
電気機器+2.14%、非鉄金属+2.01%と、AI半導体まわりはきれいに上位です。一方で銀行業−1.17%、医薬品−1.27%。景気敏感で外需寄りのところに資金が寄って、内需とディフェンシブから抜けた形ですね。
今日の主要ニュース
- 1JX金属が日経平均に採用。2026年9月4日の会社リリースで公表。適用開始は2026年10月1日です(出典:JX金属「日経平均株価を構成する225銘柄への採用に関するお知らせ」2026年9月4日)
- 2米SOX指数が9月4日に+3.37%。サンディスクが+11.90%とメモリー関連が急伸しました。NYダウとナスダック総合は下げていて、半導体だけが逆行高です(出典:株探US、LIMO 2026年9月7日配信)
- 3キオクシアホールディングス59,530円(+9.31%)、レーザーテック+7.26%。米メモリー株高がそのまま波及しました(出典:フィスコ「本日の注目個別銘柄」2026年9月7日配信)
- 4日経平均から除外が決まったコニカミノルタは621.3円(−5.65%)。採用組と除外組で反応が真逆に出た日でもあります(出典:同上)
- 5米国とカナダはレイバーデーで休場。今夜の米国市場はお休みです。8月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比16.2万人増と、予想の5.6万人増を大きく上回りました(出典:外為どっとコム マネ育チャンネル 2026年9月7日7時16分配信)
📅 今週(2026年9月7日〜11日)の主要イベント
9月8日(火) 日本:4〜6月期GDP改定値/米国:NFIB中小企業楽観指数、3年債入札
9月9日(水) 中国:消費者物価指数・生産者物価指数/米国:10年債入札
9月10日(木) 日本:増日銀審議委員の発言/ユーロ圏:ECB理事会とラガルド総裁会見/米国:生産者物価指数、30年債入札
9月11日(金) 米国:消費者物価指数、ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
出典:ザイFX!「【9月7日~の週】為替相場の注目材料スケジュールと焦点」2026年9月5日配信
週の山は9月11日の米消費者物価指数です。8月の雇用統計が予想の3倍近い伸びだったので、ここでインフレが強いと出ると、米金利がもう一段上がる可能性があります。私はそこだけ気にしながら今週を過ごすつもりです。
PART2 JX金属の「日経平均採用」を需給とチャートから読む
ここからが今日の本題です。切り口は需給・チャート。会社の中身の話ではなく、「誰がどれだけ買って、どれだけ売ったか」の話をします。
📌 JX金属(5016)の当日データ
| 項目 | 9月7日(前場引け 11時30分) | 9月4日(終値) |
|---|---|---|
| 株価 | 3,653円(+34円・+0.93%) | 3,619円(+85円・+2.41%) |
| 始値 | 3,800円(9時6分) | 3,586円 |
| 高値 | 3,845円(9時7分) | 3,641円 |
| 安値 | 3,645円(10時43分) | 3,550円 |
| 出来高 | 16,433,100株 | 12,260,400株 |
| 売買代金 | 616億300万円 | 442億200万円 |
出典:野村證券 株価情報および松井証券 マーケット情報(いずれも2026年9月7日取得)。年初来高値は5,828円(2026年5月11日)、年初来安値は1,984円(2026年1月5日)。※要確認:9月7日の大引け値は執筆時点で複数の証券会社サイトが前場引けの値で止まっており、確認が取れませんでした。本記事の数値はすべて前場引け(11時30分)時点のものです。
数字を並べただけで、けっこう異様なのが伝わると思います。前場だけの出来高16,433,100株が、9月4日1日ぶんの12,260,400株を34%も上回っているんですよね。売買代金も前場で616億円。「たくさんの人が、短い時間で、激しく売り買いした」という状態です。
なぜ5回:良いニュースの株が、1時間半で200円落ちたのはなぜか
ここから深掘りします。事実として裏が取れているところと、私の推測でしかないところを、はっきり分けて書きますね。
- 1Why1 そもそも何が起きたか(事実)2026年9月4日の取引終了後に、JX金属が日経平均採用のリリースを出しました。適用は2026年10月1日から。同時に採用されたのがKOKUSAI ELECTRICとカプコン、除外がArchion・コニカミノルタ・カナデビアの3社です(出典:JX金属リリース2026年9月4日、およびBigGoファイナンス配信の入れ替え記事)。夜間のPTSでは3,720円まで買われていました(出典:Yahoo!ファイナンス、9月4日時点)。
- 2Why2 朝の値動きはどうだったか(事実)9時6分の始値が3,800円。前日終値3,619円に対して+181円、率にして+5.00%のギャップアップです。その1分後の9時7分に高値3,845円(+6.24%)。ところが10時43分には安値3,645円まで落ちています。高値からの下げ幅は200円、率にして−5.20%。上げた分をほぼ全部返した計算になります。
- 3Why3 指数連動の買いは今日来ていたのか(事実)ここが分かれ目です。日経平均に連動するファンドが実際に買わなければいけないのは、指数の入れ替えが効力を持つときです。今回の適用開始は2026年10月1日、株価換算係数の変更は2026年9月29日付とされています(出典:BigGoファイナンス「日経225指数、10月に入れ替え」2026年9月4日配信)。つまり本当のパッシブ買いは、今日ではなく9月末に来ます。
- 4Why4 では今日の買いは誰の買いだったのか(推論)ここからは私の推測ですが、今日の朝の買いは「9月末のパッシブ買いを先回りしたい短期資金」だったと読んでいます。根拠は3つあります。ひとつ目は、上の3で見たとおり実需の買いはまだ来ていないこと。ふたつ目は、前場だけで通常の1日ぶんを超える出来高が出ていること。3つ目は、採用候補としてのJX金属の名前が2026年7月24日の段階ですでに報道に出ていたことです(出典:株探ニュース「秋の日経平均入れ替え:国内大手証券はコクサイエレ、JX金属、F&LCの新規採用を予想」2026年7月24日)。つまり、先回りしていた人はもっと前から仕込めていた可能性があります。
- 5Why5 だから投資判断としてどう扱うか(結論)私はこの値動きを、買い増しの根拠にしません。指数採用は「この株を誰が持つか」を変えるイベントであって、「この会社がいくら稼ぐか」を1円も変えないからです。会社の通期予想は営業利益2,320億円・最終利益1,410億円のまま、今日も変わっていません。ただし利益確定もしません。保有は続けます。今日の売りは需給の反動であって、事業が悪くなったわけでもないからです。私が判断を変えるのは、2026年11月の第2四半期決算で、半導体材料と情報通信材料を足した営業利益の比率が第1四半期の約34%から切り上がったときだけです。
⚠️ この見立てが外れるとしたら:日経平均に採用されると、指数連動ファンドが「常に持ち続ける」株になります。売らない株主が一定量できるので、下値が構造的に固くなる可能性はあります。その場合、今日の下げは単なる一時的な利益確定で、9月末に向けてじりじり上がる展開もありえます。見分け方はシンプルで、2026年10月1日の適用後、非鉄金属セクターが下げる日にJX金属の下げがセクターより小さくなるかどうか。ここを見ています。
除外されたコニカミノルタが−5.65%だったこと
今日おもしろかったのが、採用組と除外組の反応の差です。除外が決まったコニカミノルタは621.3円で−5.65%。素直に売られています。一方で採用されたJX金属は、寄り天からの前場引けで+0.93%。
この非対称、私は「売る理由のほうが分かりやすいから」だと読んでいます。ここも推測ですが、除外は「持っているファンドが必ず売る」という確定した事実なので、先回りの売りが素直に出る。逆に採用は「9月末に買いが来る」という予定でしかないので、どこまで買うかは人によってバラバラになる。だから採用組のほうが値動きが荒れやすいんですよね。
私がこの型で一度やられている話
正直に書きます。私は昔、SOXL(米半導体3倍ETF)で資産を80%近く溶かしたことがあります。あのとき何を間違えたかというと、「人気になっていること」と「稼いでいること」を同じものだと思っていたことでした。
半導体が話題で、みんなが買っていて、チャートが右肩上がり。だから正しいはずだ、と。でも人気は需給の話で、稼ぎは業績の話です。需給は数週間で反転しますが、業績は数四半期かけてしか変わりません。この2つの時間の長さが違うことに、当時の私は気づいていませんでした。
今日のJX金属も、構造としては同じ形をしています。「日経平均に入る」は需給のニュース。「半導体材料の利益が増える」は業績のニュース。前者で買った分は前者の理由で剥がれます。だから私は今日、注文画面を開いていません。ここは崩さずいきます。
📎 業績側の前提(今日も変わっていない数字)
2027年3月期第1四半期(2026年8月6日発表):売上高2,606億円、営業利益814億円、最終利益531億円。セグメント別営業利益は半導体材料144億円・情報通信材料131億円・基礎材料568億円。
通期予想:売上高1兆250億円、営業利益2,320億円、最終利益1,410億円。前提は期中平均1ドル159円、LME銅1ポンド6.04ドル。
今日のドル円は155.81円で会社前提より約3.2円の円高、COMEX銅は6.56ドルで前提より約8.6%高。円建ての電気銅建値は2026年9月3日改定の1トン2,370,000円のままです。
出典:JX金属「2027年3月期第1四半期決算短信」「通期業績予想の修正に関するお知らせ」2026年8月6日/JX金属 銅建値ページ2026年9月7日取得。時価総額3兆4,351億円(9月4日終値ベース・松井証券)から株数を逆算し、前場引け3,653円で置き直すと予想PERは約24.6倍になります(筆者試算)。
PART3 AIで「需給の材料」と「業績の材料」を仕分けるプロンプト
今日みたいな日に効くAIの使い方をひとつ紹介します。ニュースを読んで「これは買い増しの理由になるのか、ならないのか」を毎回自分で悩むと、判断がブレるんですよね。そこを仕分けさせます。
あなたは株式アナリストです。 以下のニュースを、投資判断のために仕分けしてください。 【銘柄】 (銘柄名・証券コード) 【ニュース本文】 (ニュース記事の本文をここに貼り付け) 【会社の業績前提】 (直近決算の売上・営業利益・通期予想・為替や商品市況の前提を貼り付け) 【出力してほしい内容】 1. このニュースは「需給の材料」か「業績の材料」か。 どちらとも言える場合は、その割合を%で示す 2. 需給の材料と判定した場合 ・実際に売買が発生するのはいつか(日付があれば明記) ・その売買が終わったあと、株価に残る影響は何か 3. 業績の材料と判定した場合 ・売上と営業利益のどの科目に、いくら影響するか ・影響が数字に出るのはどの決算期か 4. この材料だけを根拠に買い増しを判断してよいか、 よくないとすればその理由を3行で 渡したデータのみを使用してください。 株価の予想や、記載のない数値の補完はしないでください。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力してください。
今日これに日経平均採用のリリースを食べさせたら、「需給9割・業績0割」「売買が発生するのは2026年9月29日の係数変更と10月1日の適用」「終わったあとに残るのは保有主体の構成変化のみ」と返ってきました。私が手で考えた結論とほぼ同じで、しかも30秒でした。
もうひとつ、その日の指数と個別株のズレを言語化させるプロンプトも置いておきます。
以下は同じ日の市場データです。 指数と個別株の動きにズレがある箇所を指摘してください。 【指数】 日経平均:(終値・前日比・騰落率) TOPIX:(終値・前日比・騰落率) 値上がり銘柄比率/値下がり銘柄比率:(%) 【業種別騰落率】 (上昇上位5業種と下落上位5業種) 【保有銘柄】 (銘柄名・始値・高値・安値・現在値・出来高) 【出力してほしい内容】 1. 指数の上昇(下落)が広く支持されたものか、 一部の銘柄に偏ったものかを、値上がり比率から判定する 2. 保有銘柄の動きは、所属業種と同じ方向か逆方向か 3. 1と2から言える「今日の値動きの性格」を1行で 4. この日のデータだけでは判断できないことを2つ挙げる 渡したデータのみを使用してください。 今後の株価予想はしないでください。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力してください。
⚠️ 注意ポイント:AIは株価や指数の最新値を正確には持っていません。数値は必ず自分で証券会社アプリや一次情報から転記して渡してください。今日みたいにデータ配信が遅れている日は、AIが古い数値で答えることもあります。出てきた答えは「整理」として受け取って、判断はご自身で。
よくある質問
Q. 日経平均に採用されると、株価は必ず上がるんですか?
A. 必ずではありません。指数連動ファンドの買いが入るのは事実ですが、その買いを見越した先回りが発表前から入っていることも多く、正式発表後に利益確定売りへ転じるケースがあると指摘されています(出典:デイトレ.jp「日経平均秋入れ替え候補3社、採用観測と短期需給リスクを読み解く」)。今日のJX金属は、まさにその形に見えました。
Q. 日経平均が+2.12%なのに、値下がり銘柄のほうが多いのはなぜですか?
A. 日経平均は「株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きい」株価平均型の指数だからです。今日はソフトバンクグループとアドバンテストの2銘柄だけで約839円ぶん、上げ幅の6割を作っています。市場全体の温度を見たいときは、時価総額で加重するTOPIXと、値上がり銘柄比率をあわせて見るのがおすすめです。
Q. 今日の記事に大引けの株価が載っていないのはなぜですか?
A. 執筆時点で、複数の証券会社サイトのJX金属の株価表示が前場引け(11時30分)で止まっており、大引け値の裏が取れませんでした。裏の取れない数値は書かない方針なので、確認できた前場引けの数値だけを使っています。大引け値は翌営業日の記事で補足します。
まとめ
今日は「良いニュースが出た株を、どう扱うか」の練習になる日でした。日経平均採用は、たしかに嬉しいニュースです。流動性が評価されたということでもありますし、指数に入れば注目度も上がります。
でも、それで会社の稼ぎが増えるわけではないんですよね。営業利益2,320億円という通期予想は、今日も1円も動いていません。動いたのは株価と出来高だけです。
だから私の結論は変わりません。保有は続ける、買い増しはしない、利益確定もしない。次に判断を変えるのは2026年11月の第2四半期決算で、半導体材料と情報通信材料の利益比率が第1四半期の約34%から切り上がったときです。ここだけ見ています。
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