はい、ありました。しかも今週いちばん大きな出来事です。ウォーシュFRB議長がジャクソンホール会議の講演で「追加利上げが必要になる可能性」に触れ、米国の半導体株指数(SOX指数)が1日で−3.47%。エヌビディア決算のお祭りムードは、たった2日で終わりました。
✅ 今週の結論(先に要点だけ)
- 1今週の主役はエヌビディアではなくFRBでした。最高決算の祝賀ムードは、金曜夜の議長講演「やるべきことがある」で一変し、SOX指数は−3.47%
- 2JX金属は週間+6.10%と日経平均(+0.59%)を大きく上回りました。ただしチャートは3,800円前後の三角保ち合いのままで、上放れはしていません
- 3週明けは先物620円安の窓開けスタートを想定。私は保有継続で売買なし。次の分岐点は9月4日(金)の米雇用統計です
PART1|今週の相場全体感:業績の祭りが、金利の講演で終わった
まず1週間の騰落を数字で押さえておきます。金曜終値どうし(8月21日終値→8月28日終値)の比較です。
📊 今週の騰落サマリー(8月21日終値→8月28日終値)
| 指数・銘柄 | 8/21終値 | 8/28終値 | 週間騰落率 |
|---|---|---|---|
| 日経平均 | 66,016.36円 | 66,405.56円 | +0.59% |
| TOPIX | 4,067.29pt | 4,146.71pt | +1.95% |
| NYダウ | 53,277.01ドル | 53,559.99ドル | +0.53% |
| S&P500 | 7,674.37 | 7,711.76 | +0.49% |
| ナスダック総合 | 26,180.46 | 26,402.42 | +0.85% |
| SOX指数(米半導体) | 11,740.37 | 11,469.66 | −2.31% |
| JX金属(5016) | 3,591円 | 3,810円 | +6.10% |
日本株は2026年8月28日15:30終値(出典: 株探ニュース・松井証券マーケット情報)、米国株は2026年8月28日終値(出典: 野村證券「ニューヨーク株式市況」・株探米国株 日足時系列)。前週値は2026年8月21日終値。
流れを一言でいうと、「水曜のエヌビディア決算までは慎重、木曜に祝賀、金曜夜に冷や水」の1週間でした。
月曜(8月25日)は半導体が売られる中でJX金属だけが+5.43%と逆行高。火曜も非鉄金属が業種上位に残りました。水曜(8月27日)の日本時間朝にエヌビディア決算が出て、売上高は前年同期比106%増と過去最高。これを受けた木曜のニューヨークでエヌビディアは+8.74%、SOX指数は+2.33%と素直に買われ、金曜(8月28日)の日経平均も+273.58円と反発して引けました。ここまでは「業績が主役」のきれいな流れなんですよね。
ところが金曜の日本時間23時。ジャクソンホール会議でウォーシュFRB議長が就任後初の講演に立ちます。序盤は「PCEインフレ率の2%目標はしっかりと固定された目標だ」との発言が好感され、S&P500は一時前日比+0.52%まで上昇しました。空気が変わったのはその後です。「インフレが目標の2%に向かっていると確信できなければ、われわれにはやるべきことがある」。この一言が「追加利上げの可能性」と受け止められ、米長期金利は一時4.69%台へ上昇。正午前から半導体を中心に売りが広がりました(出典: 野村證券「ニューヨーク株式市況」2026年8月28日、ロイター2026年8月28日23:26配信)。
🌙 金曜夜〜土曜朝に起きたこと(2026年8月28日〜29日)
- SOX指数は11,469.66へ−412.51(−3.47%)の急落。木曜の上げ(+2.33%)を1日で打ち消しました(8月28日終値・出典: 株探米国株)
- ダウ−0.02%・S&P500−0.25%・ナスダック−0.53%。指数全体は小幅安で、売られたのはほぼ半導体です(同上)
- 米金利先物市場では9月FOMCでの利上げ観測が4割弱まで上昇(FedWatch・出典: 外為どっとコム2026年8月29日配信)
- ドル円は一時159.91円と160円目前まで円安が進行(出典: みんかぶFX 2026年8月29日)
- 大阪取引所の夜間取引で日経平均先物9月物は65,830円(前日清算値比−620円)で引け(8月29日早朝・出典: 日本経済新聞)
「なんか先物が下がってる」の正体はこれです。米国とイランを巡る地政学ニュースではなく、FRB議長の口から出た「利上げ」の2文字。週明け月曜は、この620円安の窓を埋めにいくのか、それとも窓を開けたまま下を試すのかの確認から始まります。
🗓 来週の主要イベント(2026年8月31日〜9月4日)
- 8月31日(月): 日本7月鉱工業生産、中国8月製造業PMI
- 9月1日(火): 日本4〜6月期法人企業統計、米8月ISM製造業景況指数、米7月JOLTS求人件数
- 9月2日(水): 米8月ADP雇用統計
- 9月3日(木): 米地区連銀経済報告(ベージュブック)、ブロードコム決算
- 9月4日(金): 米8月雇用統計(今週最大の分岐点)
出典: ザイ・オンライン2026年8月29日配信、外為どっとコム2026年8月29日配信
PART2|JX金属:週間+6.10%でも、チャートは三角形の中のまま
今週のJX金属は3,591円→3,810円の週間+6.10%。日経平均の+0.59%を10倍以上うわ回りました。じゃあ強かったのかというと、私の見方は少し違うんですよね。上げの中身は月曜の+5.43%にほぼ集中していて、その後の4日間は3,800円前後で足踏みだったからです。しかも水曜・木曜と2日連続で「高く寄って垂れる」寄り天。金曜も高値3,888円から3,810円まで押し戻されました。
日足チャートを引いて見ると、この足踏みには形があります。4月の高値5,700円台から高値は切り下がり、6月の安値3,200円台から安値は切り上がる。いわゆる三角保ち合い(対称トライアングル)です。8月29日8:15時点のチャートでは、株価3,810円は10日移動平均線(3,765円)のすぐ上、50日移動平均線(3,984円)の下。RSIは49と、買われすぎでも売られすぎでもないど真ん中にいます(出典: TradingView 2026年8月29日8:15時点の日足チャート)。三角形の頂点は9月〜10月に近づいており、どちらかに放れる時期が迫っているのは確かです。
三角保ち合いというと「エネルギーを溜めている」と言われがちですが、私はもう少し具体的に、「買う理由と売る理由が同じ強さで綱引きしている状態」だと思ってます。買う側の理由は銅です。LME銅は会社の通期前提(1ポンド604セント)を1割以上うわ回る高値圏にあります。売る側の理由は金利と半導体。半導体材料の利益比率がまだ約34%にとどまる中で、米金利上昇がAI半導体セクター全体を押し下げる。この綱引きが崩れない限り、三角形は抜けません。そして金曜夜、売る側のロープに「FRBの利上げ観測」という新しい引き手が加わりました。
なぜ5回|議長が「利上げの可能性」を口にしただけで、SOXが−3.47%も下げたのはなぜか
- 1【事実】なぜ売られた? 講演の「インフレが2%に向かうと確信できなければ、やるべきことがある」が追加利上げの示唆と受け止められ、9月FOMCでの利上げ観測が高まったからです(出典: ロイター2026年8月28日)。FedWatchの利上げ確率は4割弱まで上昇しました(出典: 外為どっとコム2026年8月29日)。
- 2【事実】なぜ利上げ観測で半導体が真っ先に売られる? 利上げ観測は長期金利を押し上げます(米10年債利回りは一時4.69%台・出典: フィスコ2026年8月28日配信)。金利は「将来の利益を今の価値に引き直す割引率」なので、利益の大半がこれから先にあるAI半導体株ほど、計算上の価値が大きく目減りするからです。
- 3【事実】なぜFRBはいまさら利上げ側に傾く? インフレが粘っているからです。7月のコアPCEは前年比+3.3%で、3%超えは8カ月連続(出典: Investing.com掲載のUBS見解・2026年8月28日)。7月FOMCの票決も9対3と、約20年ぶりの大きな意見対立でした(出典: Gate News 2026年8月24日)。
- 4【推論】なぜ市場は業績より金利に過敏だった? ここからは私の推測ですが、水曜のエヌビディア決算で「需要は満点」がすでに確認済みだったからだと思います。業績の不安が消えた分、残る不確実性は「その成長を何%の金利で割り引くか」だけになっていた。だから業績ニュースには鈍く、金利ニュースにだけ過敏に反応する地合いができていたと読んでいます。
- 5【投資判断】だから私はどう扱うか。 今回の下げは「AIの需要が崩れた」のではなく「割引率が上がった」下げです。JX金属の業績前提(銅価格・為替159円)は金曜夜に何も変わっていません。だから私は売りません。ただし買い増しもしません。金利が主役の間は三角保ち合いの上放れを期待せず、下限を守れるかだけを見ます。撤退検討ラインは先週から変えず、8月27日安値3,722円を出来高を伴って割れたときです。
🔄 この見立てが外れるとしたら:9月4日の米雇用統計が弱く、利上げ観測がしぼんだ場合です。金利低下でAI半導体がまとめて買い直され、JX金属も「金利要因」で三角形を上に抜ける展開がありえます。見分け方は、上放れした日に米長期金利が下がっているかどうか。金利低下を伴う上放れなら本物として扱い、金利上昇のまま上げているなら私は追いかけません。
こういう「金利が主役の週」に、私は過去に高い授業料を払っています。SOXLで−80%を経験したときも、下げの理由が金利だったのに「業績は良いんだから」と買い向かって傷を深くしました。業績の下げは業績で反論できますが、金利の下げは業績では反論できない。あのときの教訓があるので、今回のような週末は「何もしない」を選べるようになりました。動かないのも判断のうちです。
PART3|AI活用:週末10分の「週次レビュー」をAIにやらせるプロンプト
今回の記事のような週間の振り返り、実は自分の保有銘柄でもAIにやらせると10分で終わります。私も毎週土曜の朝、この記事を書く前の下ごしらえとして使っているプロンプトを置いておきますね。ポイントは、騰落データを自分で転記して渡すことです。
あなたは相場解説が得意なアナリストです。 以下の今週のデータをもとに、週次レビューを作成してください。 【今週のデータ】 ・主要指数の週間騰落率:(日経平均・TOPIX・ダウ・ナスダック・SOXなどを転記) ・保有銘柄の週間騰落率:(銘柄名と金曜終値どうしの騰落率を転記) ・今週あった主要ニュース:(3〜5本を1行ずつ転記) 【出力してほしい内容】 1. 今週の相場を一言で表すと何か(20字以内) 2. 指数と保有銘柄の騰落差から読み取れること 3. 来週に持ち越された「未解決の論点」を3つ 4. 保有銘柄について「売る理由」と「持つ理由」を各3行で併記 渡したデータのみを使用してください。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力してください。
今週これを回したら、4番の出力で「売る理由:金利上昇局面でセクター全体の逆風」「持つ理由:業績前提の銅・為替は無傷」ときれいに並びました。売る理由と持つ理由を同じ分量で書かせるのがコツで、片方だけ読んで安心するのを防げます。
⚠️ 注意ポイント:AIに「今週の日経平均は?」と直接聞くのはNGです。AIは最新の株価を正確に持っておらず、古い数値を答えることがあります。数値は必ず証券会社アプリなどから自分で転記し、AIには整理と解釈だけを任せましょう。出力の要点も、最後は一次情報で裏取りするのが基本です。
よくある質問
Q. 先物が620円安なら、週明けの寄り付きで売って逃げるべきですか?
A. 私はしません。今回の下げは需要の崩れではなく金利の織り込みで、9月4日の米雇用統計しだいで巻き戻る可能性がある種類の下げだからです。ただし、これは私の場合の話です。信用取引で余力が薄い方や、下げ幅に眠れなくなる方は、ポジションを軽くすること自体は間違いではないと思います。
Q. 米国が利上げなら、日本株には何が効いてきますか?
A. 経路は2つあります。ひとつは米金利上昇→米ハイテク安→日本のAI半導体株安という連想売り。もうひとつは日米金利差の拡大による円安で、ドル円は一時159.91円と160円目前まで進みました(出典: みんかぶFX 2026年8月29日)。円安は輸出企業やJX金属のような外貨建て収益の会社には追い風なので、下げ一色にはなりにくい構図です。
Q. JX金属の三角保ち合いは、いつごろ決着しそうですか?
A. チャート上の頂点は9月〜10月に近づいています。ただ「いつ」より「どちらに、何を理由に」のほうが大事です。私が本物の上放れとして扱う条件は、出来高の増加と金利低下を伴うこと。逆に8月27日安値3,722円を出来高を伴って割れたら、買い増し検討は止める予定です。
まとめ:主役交代の週。次の台本は9月4日に配られる
エヌビディアが最高の答案を出し、その2日後にFRBが採点基準を変えにきた。今週はそういう1週間でした。業績の祭りは金利の講演で終わり、週明けは620円安の窓開けから始まります。
それでも私が動かないのは、JX金属を持つ理由(銅高・円安・半導体材料の増産投資)が金曜夜に1ミリも変わっていないからです。変わったのは市場が使う割引率だけ。次にその割引率を動かすのは9月4日(金)の米雇用統計です。台本が配られるまで、私はポジションも撤退ラインもそのままで待ちます。ここは崩さずいきます。
\ 次はこれ! /
日次相場レポート JX金属+0.47%|アドバンテストが+660円だった日に、私が見ていたのは25倍と38倍の差でした » 週末の急落前夜、金曜の東京市場で何が起きていたかを1日単位で振り返るUdemy講座【ゼロから始めるAI投資】応用講座 暴落対応編
暴落対応・決算分析・ポートフォリオ管理をChatGPTとClaudeで実践する動画講座です。まずは紹介動画から。
▶ 紹介動画を見る
※Udemyの講座ページに移動します。価格は決済画面でご確認ください
※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言や特定銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の数値は各出典の取得時点のものです。AIの出力には誤りが含まれる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
関連する投稿はありません。

