メモリ株の次に来るかもしれない銘柄3選と第2フェーズ

「NVIDIAの次はどの銘柄?」——AI相場でよく聞く問いですが、私はこの問いの立て方自体を変える時期に来ていると考えています。海外SNSでは今、「光 vs メモリ」という論争が盛り上がっています。GPUの外側で何が起きているのか。SOXLで資産の8割を失った経験を持つ私が、AIインフラの「次の主戦場」を整理します。

先に結論
  1. AI投資の次の主戦場は「GPUそのもの」ではなく「GPUの外側」に移っている
  2. GPUが速くなるほど、メモリ→通信→電力→パッケージ→冷却の順にボトルネックが玉突きで移動する
  3. だから見るべきは「次のNVIDIA」ではなく「次に詰まる場所」。私は短期のメモリ高騰より、参入障壁の高い光学・電力側を重視する
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨する投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。記事内の株価・数値は記載の取得時点のものです。
目次

PART1ボトルネック連鎖の正体

このパートの要点
ボトルネックとは「システム全体の性能を制限する一番遅い部分」。GPUを速くするほど、詰まる場所が次々と別の場所へ移動していきます。

まず「ボトルネック」という言葉を整理します。ボトルネックとは、システム全体の性能を制限してしまう、一番遅い部分のことです。

例えばGPUが2倍速く計算できるようになっても、メモリからデータを送る速度が変わらなければ、GPUはデータが届くまで「待ち」になります。高性能なGPUを買っても、性能の半分しか使えていない状態です。

私はこれを「巨大工場と道路」で考えています。GPUが超高速で仕事をする巨大工場だとしても、そこにつながる道路が1車線しかなければ、材料を十分に届けられません。工場を大きくすればするほど、道路の細さが目立ってくる。これがAIインフラで今起きていることです。

GPUを速くすると、何が起きるか

連鎖は次のように進みます。

GPU高速化メモリが追いつかない通信が追いつかない
電力が追いつかないパッケージ巨大化冷却が追いつかない

GPUが速くなると、まず「もっと高速なメモリ」が必要になります。メモリを高速化すると大量のデータが動くので、今度はGPU同士をつなぐ通信が足りなくなる。通信を高速化すると消費電力が増える。GPU自体も大量の電力を使うので、「どうやって大量の電力を効率良くサーバーまで運ぶのか」が問題になる。

さらにGPUとHBM(広帯域メモリ)を大量に搭載すると、半導体パッケージそのものが巨大化します。そして最後には発熱量が大きくなりすぎて、「どうやって冷やすのか」という問題にぶつかる。

この玉突きの連鎖こそが、今後5〜6年のAI投資を考えるうえで一番重要な構造だと私は考えています。

PART2数字で見る規模感——32倍のデータと7倍の電力

このパートの要点
ロードマップ上ではGPU+HBMモジュールの総帯域幅は32TB/s→1,024TB/sへ約32倍、モジュール消費電力は2.2kW→15.3kWへ約7倍に拡大するイメージです。

参考にしたAIインフラ・ロードマップの資料では、GPU+HBMモジュールの総帯域幅が32TB/s → 1,024TB/sまで拡大するイメージになっています。約32倍です。

※出典:AIインフラ・ロードマップ参考資料(2026年8月時点で入手した資料に基づく将来イメージであり、確定値ではありません)

「帯域幅」とは、1秒間にどれだけ大量のデータをやり取りできるかというデータ転送能力のことです。道路に例えると、帯域幅を増やすのは1車線→10車線→100車線と道路を広げるようなもの。だから「GPUの演算性能」だけでなく、GPUへデータを運ぶ道路=メモリ・通信も同時に高速化する必要があるわけです。

さらに注目すべきは電力です。同資料では、モジュール全体の消費電力は2.2kW → 15.3kW、約7倍に増える想定です。つまり2030年代に向けて、現在の約32倍のデータを動かしながら、約7倍の電力を扱う世界が想定されている。

これだけ規模が変われば、今と同じデータセンターの構造をそのまま使えるとは考えにくい。配電も、パッケージも、冷却も、全部作り直しになります。だからこそ「GPUの外側」に巨大な投資テーマが生まれるのです。

PART3海外で盛り上がる「光 vs メモリ」論争

このパートの要点
海外SNSでは「短期的にはメモリを売って光学をロングすべき」という主張が話題に。背景にはNVIDIAが光学接続(CPO)へ設計をシフトしている事実があります。

この構造変化を象徴するのが、海外SNSで盛り上がっている「光(オプティクス) vs メモリ」論争です。その中には「短期的にはメモリを売って光学をロングすべき」という主張もありました。

根拠とされているのは、NVIDIAの次世代設計の方向性です。実際にNVIDIAはRubin世代から、ラック間・クラスタ間の接続にCPO(コパッケージド・オプティクス=光学部品をスイッチ等に直接統合する技術)を本格採用する方針を打ち出しています。銅配線で電気信号を高速に飛ばすと信号劣化と消費電力が壁になるため、「銅で足りる所は銅、必要な所は光」という設計思想です。SNS上では「Rubin UltraはHBM性能を抑えて光学接続を優先した」という解釈も流れていますが、確実に言えるのは、単体性能だけでなく光学接続によってクラスタ全体で優位に立つ方向へ設計の重心が移っている、ということです。ボトルネックの解消先が、メモリから光学へ移りつつあるという読みですね。

コヒレント(COHR)の急騰と急落

光学部品大手のコヒレント(COHR)は、この論争の主役です。直近の値動きを整理すると——

・年初来で約+105%、直近1週間だけで約+44%という異常な急騰(8月10日時点)
・急騰の材料は、FCC(米連邦通信委員会)による中国製光トランシーバー規制案や、NVIDIAとの20億ドル規模の戦略提携報道など
・ところが8月10日(月)には一転、終値ベースで約▲14%の急落(報道により▲12〜14%)

※出典:Yahoo Finance・24/7 Wall St.等の報道(2026年8月12日取得)

私はこの急落を、悪材料が出たというより「急騰の反動+8月12日の決算を控えたポジション調整」だと見ています。実際、報道でも新たな悪材料は確認されておらず、決算前の利益確定と de-risking(リスク圧縮)が主因とされています。PERが150倍を超える水準まで買われていた以上、決算前に手仕舞う動きが出るのは自然です。

PART4私の見立て——メモリはシクリカル、光学はエコシステム

このパートの要点
メモリは標準化パーツで価格は需給だけで決まる。一方の光学は参入障壁が高く、NVIDIAとの共同設計で「設計標準」に組み込まれつつあります。

ここからは私の相場観です。私は、メモリ価格の高騰はそのうち落ち着くと考えています。

理由はシンプルで、メモリは標準化されたパーツだからです。規格が決まっている以上、価格は需給だけで決まる。そこに差別化要素はありません。増産が追いつけば、今のような利益が維持できないのは目に見えています。歴史的にもメモリはシクリカル(景気循環的)な商売で、好況と不況を何度も往復してきました。私が書いた『AI・半導体バブルの暴落から学べ』でも触れたとおり、「需給だけで決まる商売」は上げも下げも急です。

一方の光学部品は、性質が違うと見ています。

メモリ(HBM等)光学(CPO等)
製品の性質標準化されたパーツすり合わせ型・技術障壁が高い
価格の決まり方需給のみ設計への組み込み度合い
競争の形増産競争→価格下落エコシステムへの参加権争い
サイクル強いシクリカル設計標準化なら長期化しうる

光学部品は技術的な参入障壁が高く、さらにコヒレントはNVIDIAとの共同設計を通じてエコシステムに組み込まれていく。これは「データセンター設計の標準になる」ということです。単なる部品供給とは全く違うポジションになっていくと私は考えています。

ただし注意

「光学が有望」と「今の株価が安い」は別の話です。コヒレントは既にPER150倍超まで買われた後であり、決算をまたげば大きく上下します。テーマの正しさと、エントリー価格の妥当性は必ず分けて考えるべきです。私自身、テーマに惚れ込んで高値掴みし、SOXLで▲80%を経験しました。

PART5投資家はどう動くか——「次に詰まる場所」を監視する

このパートの要点
個別銘柄探しの前に、連鎖のどの段階が詰まっているかを監視する。メモリ→光学→電力→パッケージ→冷却、それぞれに観察ポイントがあります。

では具体的にどう動くか。私は「次のNVIDIA探し」ではなく、連鎖の各段階を定点観測することをおすすめします。

メモリ:HBM・DRAM価格の動向と各社の増産計画。増産が需要に追いついた瞬間がサイクルの転換点
光学・通信:CPOの採用スケジュールと、NVIDIAエコシステムに入るサプライヤーの顔ぶれ
電力:データセンターの電力契約・送電網投資。ここは変圧器・重電メーカーの受注残が先行指標
パッケージ・冷却:先端パッケージの生産能力と、液冷への移行ペース

ポイントは、これらが「順番に」主役になる可能性が高いことです。今はメモリと光学が話題の中心ですが、32倍のデータと7倍の電力という前提に立てば、電力と冷却の逼迫はほぼ確実に後から来ます。話題になってから買うのではなく、次に詰まる場所を先回りして観察しておく。これが連鎖構造を知っている投資家の優位性だと思います。

自分のポートフォリオがこの連鎖のどこに偏っているかを確認したい方は、ChatGPTでポートフォリオをAI診断する方法も参考にしてみてください。

まとめ

・AI投資の主戦場は「GPUそのもの」から「GPUの外側」へ移りつつある
・GPU高速化は、メモリ→通信→電力→パッケージ→冷却の順にボトルネックを玉突きさせる
・ロードマップ上は約32倍のデータ×約7倍の電力という世界。データセンターは作り直しになる
・メモリは標準化パーツでシクリカル。光学は参入障壁+エコシステム組み込みで質が違う
・ただしテーマの正しさと株価の妥当性は別問題。「次に詰まる場所」の定点観測が優位性になる

FAQ

Q. 光学が本命なら、今すぐコヒレントを買えばいい?

A. テーマとしての有望さと、現在の株価が割安かは別問題です。年初来+105%・PER150倍超まで買われた後であり、決算またぎの変動は非常に大きくなります。本記事は売買推奨ではありませんので、ご自身の資金管理ルールの中で判断してください。

Q. メモリ株はもうダメということ?

A. そうは言っていません。需給が締まっている間は利益が出続けますし、短期の業績は強いはずです。私が指摘しているのは「増産が追いついた後もこの利益率が続く前提で買うのは危険」という構造の話です。

Q. 電力や冷却はいつ主役になる?

A. 正確な時期は誰にも分かりませんが、連鎖の順番から言えばメモリ・通信の後です。受注残や政策動向を先行指標として観察するのが現実的だと思います。

ボトルネックは敵ではなく、次の投資テーマの予告編です。詰まる場所が見えている人だけが、話題になる前に準備できます。

AI・半導体相場の暴落構造をもっと深く知りたい方へ
2026年7月の急落を「下げの三重構造」で解説した記事も公開中です。

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注意

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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この記事を書いた人

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