この記事のメインキーワードは「銅 不足 なぜ」です。2026年9月24日の東京市場は、日経平均が495円高なのに、値下がり銘柄の方が多い日でした。銀行株は売られ、住友電工は大きく上がり、JX金属は日経平均への採用を1週間後に控えています。バラバラに見えるこの4つ、実は「金利」と「銅」の2本の線でつながっているんですよね。
✅ この記事の結論(先に要点だけ)
- 1銀行株が下がったのは、日銀の1.25%への利上げ(9月18日)で「材料出尽くし」になったうえ、米国の追加利上げ観測で金融株に売りが出たから
- 2住友電工が上がったのは、メタ・NECと組む米仏7,000kmの海底ケーブル「Petal」の発表(9月22日)を、連休明けの9月24日に初めて織り込んだから。ただし受注額は非開示
- 3銅が足りないのは、関税の駆け込みではなく「鉱石が足りない」から。だからJX金属には、銅高のプラスと、製錬の採算悪化というマイナスが同時に効く
🎁 この記事で得られること
判断材料:銅価格の「1ポンド5.20ドル(1トン約1万1,464ドル)」という線。JX金属が期初(2026年5月11日)に置いた銅価格の前提です。足元の最高値1万4,779ドルはこの線の約1.29倍。
→ 銅価格のニュースを見たら、この線から何%上か下かを10秒で計算できるようになります
判定ポイント:①2026年9月30日の大引け(日経平均のリバランス)、②2026年10月1日(JX金属が日経平均に入る日)、③2026年10月下旬(住友電工の決算予定)。
→ この3日付をカレンダーに入れれば、今日の見立てを自分で答え合わせできます
答えないこと:「銀行株の底値はいくら」「JX金属・住友電工は買いか」には答えません。目標株価も出しません。
→ 代わりに「どの数字が崩れたら見立てを捨てるか」を章ごとに書きます
2026年9月24日の東京市場|日経平均は495円高、でも値下がり銘柄の方が多かった
まず今日の数字からいきますね。東京市場は9月19日から23日まで5連休で、24日は6日ぶりの取引でした。連休中の米国株は、AI関連への期待で買われた日と、利上げ観測で売られた日が交互に来ていました。
📊 2026年9月24日(木)の主要データ
| 項目 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| 日経平均 | 65,513.99円 | 前日比+495.04円(+0.76%)。取引時間中の高値は66,249.11円 |
| 東証プライム売買代金 | 約9兆2,038億円 | 売買高は24億9,306万株 |
| 値上がり/値下がり銘柄 | 43.3%/53.9% | 指数は上げたのに、下げた銘柄の方が多い |
| 上昇業種 | ゴム製品・精密機器・電気機器 | 半導体・電子部品が中心 |
| 下落業種 | サービス業・電気・ガス業・保険業 | 金融関連に売り |
| NYダウ(9月23日) | 51,511.59ドル | 前日比−352.10ドル |
| ナスダック(9月23日) | 26,936.04 | 前日比−308.24ポイント |
出典:日本経済新聞 マーケットデータ、株探ニュース、財経新聞(2026年9月24日大引け時点)
ここで見てほしいのは「値上がり43.3%」のところです。日経平均が上がった日なのに、上がった銘柄は半分もないんですよね。なんでこうなるの?って話なんですが、答えは寄与度です。
日経平均の上げ幅495円のうち、アドバンテストが約244円、イビデンが約191円。この2銘柄だけで約434円を押し上げていました(財経新聞・日経平均寄与度ランキング、2026年9月24日大引け)。日経平均は株価の高い銘柄の影響が大きい指数なので、AI半導体の数銘柄が上がるだけで、全体が上がったように見えるんです。
逆に、売られたのは金融・電力・サービスでした。ここが次の章のテーマです。そして寄与度ランキングの9番目に、住友電工(寄与+16円)が入っています。今日は「AI半導体」「金融」「電線・非鉄」の3つを分けて見ると、全部の値動きの説明がつきます。
| グループ | 今日の動き | 動かした材料 |
|---|---|---|
| AI半導体(アドバンテスト・イビデン等) | 大きく上昇 | 連休中の米国でAI関連が買われた流れ |
| 金融(銀行・保険) | 下落 | 日銀利上げ後の出尽くし+米追加利上げ観測 |
| 電線・非鉄(住友電工等) | 上昇 | 海底ケーブル「Petal」の発表、銅高 |
銀行株はなぜ下がった?「利上げで買い」が効かなくなった3つの理由
そう思いますよね。私も最初はそうでした。実際、銀行の業績はすごく良いんです。三菱UFJフィナンシャル・グループの2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の純利益は8,094億円で、前年同期比48.2%増。3大メガバンクの2026年3月期の純利益は合計で約5.3兆円と、3期連続の過去最高益でした(出典:Yahoo!ファイナンス決算要約、松井証券マネーサテライト、2026年9月24日確認)。
業績は最高、なのに株は下がる。理由は3つに分けられます。
理由① 日銀の利上げが「予想どおり」だった(2026年9月18日)
日銀は9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%上げて1.25%にしました。ただ、メガバンク株はこの利上げを先回りして買われていたんですよね。だから決定が出た瞬間に「もう知ってた」となって、利益確定売りが出ました。9月18日の三菱UFJは、一時66円(1.80%)安の3,586円まで売られています(出典:日本経済新聞、2026年9月18日)。
株は「良いニュース」ではなく「予想より良いニュース」で上がります。予想どおりの利上げは、株価にとっては材料出尽くしなんです。
理由② 米国の追加利上げ観測(FRBは2026年9月16日に利上げ)
米国では、FRBが9月16日までのFOMC(米国の金融政策を決める会合)で0.25%の利上げを決め、政策金利は3.75〜4.00%になりました。利上げは2023年以来、約3年ぶりです。しかも参加者18人中16人が「年内にあと1回の追加利上げ」を予想しています(出典:外為どっとコム、2026年9月17日)。
米国の10年債利回りも、9月15日に一時5.041%まで上がり、2007年7月以来の高さになりました(出典:財経新聞、2026年9月16日)。今日の東京市場でも、米国の追加利上げ観測を背景に金融関連に売りが出ています(出典:株探ニュース、2026年9月24日)。連休中の9月23日には、米国で取引される日本株ADR(日本株を米国で売買できるようにした証券)でも、メガバンクが下げていました(出典:日本経済新聞、2026年9月24日)。
理由③ 資金がAI半導体に戻った
今日の日経平均を押し上げたのはアドバンテストとイビデンでした。9月7日にも、AI・半導体株が買われる日にバリュー株(割安株)の銀行が売られる動きが報じられています(出典:日本経済新聞、2026年9月7日)。投資家のお金は1つなので、AIに戻れば銀行から抜けます。シーソーの関係なんですよね。
🔍 なぜ5回:銀行株はなぜ下がった?
①9月24日、金融関連に売りが出た 事実
業種別の下落上位に保険業、金融関連に米追加利上げ観測を背景とした売り(株探ニュース、2026年9月24日)。
②日銀の利上げは先回りで織り込まれていた 事実
9月18日に1.25%への利上げが決まり、メガバンク株は材料出尽くしで利益確定売り(日本経済新聞、2026年9月18日)。
③米国の金利が19年ぶりの高さまで上がった 事実
FRBは9月16日に利上げし、年内もう1回が多数派。米10年債は一時5.041%。
④ここからは私の推測ですが、金利が「上がりすぎ」の領域に入った 推論
金利上昇が景気の強さではなくインフレ不安から来ると、銀行にとっては利ざや改善より、借り手の返済が苦しくなる心配や、保有する債券の値下がりの心配が勝ちます。8月19日にも「世界的金利上昇で景気懸念」という声で銀行株が売られていました(日本経済新聞、2026年8月19日)。
⑤だから投資判断としては「利上げ=銀行株買い」を1回捨てる 推論
私は銀行株を、日銀の利上げ回数ではなく「長期金利が上がる理由」で見分けます。景気が強くて上がるなら保有継続、インフレ不安で上がるなら様子見。中間決算で与信関係費用(貸し倒れに備えるお金)が増えていないかを確認してから動きます。
🔄 反証(見立てが外れる条件):この見立てが外れるとしたら、米10年債利回りが5%を下回って落ち着き、景気の指標も崩れないケースです。その場合、48.2%増益という好業績が素直に評価されて、銀行株は戻ると思っています。
住友電工はなぜ上がった?メタ・NECと組む海底ケーブル「Petal」
次は住友電工です。今日の住友電工は大幅続伸で、日経平均の寄与度ランキングでは前日比120円高の2,200.5円(財経新聞、2026年9月24日大引け)。前日比で計算すると約5.8%高です。日経電子版では、午前11時29分時点で東証プライムの値上がり率8位に入っていました。
なんで今日なの?というと、日付がポイントです。材料が出たのは9月22日。この日、東京市場は連休中で閉まっていました。つまり、9月24日は発表後の最初の取引日だったんです。
Petalってどんな計画?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 参加企業と役割 | メタ(所有・運用)、NEC(システム全体の設計・構築)、住友電工(2コア光ファイバの供給) |
| 区間と長さ | 米国〜フランス、総延長約7,000km(大西洋横断) |
| 運用開始 | 2029年予定 |
| 技術のポイント | 1本の光ファイバに光の通り道を2本つくる「2コアのマルチコアファイバ」。24ファイバペア(48心)すべてに使い、48コアペア構成にする |
| 容量 | 同じ3社で作った「Anjana」の2倍。世界初のペタビット級(毎秒1ペタビット)を目指す |
出典:NECプレスリリース(2026年9月22日)、住友電工プレスリリース(2026年9月22日)、Meta Engineering Blog(2026年9月21日)。
例えるなら、道路の本数はそのままで、1本の道路を2車線にした感じです。海底ケーブルは一度沈めたら交換が大変なので、ファイバの本数を増やさずに容量を2倍にできるのは大きいんですよね。メタは住友電工のファイバについて、2コアなのに1コアとほぼ同じ光学性能だと評価しています。
注意したいのは「受注額が書かれていない」こと
ここ、大事なので覚えてください。発表には、住友電工がいくら受注したのか、利益にいくら効くのかが書かれていません。フィスコの記事でも「業績へのインパクトを期待する動きが先行」という書き方になっています(財経新聞掲載、2026年9月24日)。
つまり今日の上げは「期待」の値段です。住友電工の発行済株式数は約31億7,576万株(日本経済新聞、2026年9月24日時点)。1株120円の値上がりは、時価総額にすると約3,800億円増えた計算になります。1本の海底ケーブルのファイバだけで、それだけ利益が増えるわけではないと私は見ています。市場が買ったのは「AIのデータ通信で、住友電工のファイバが世界の標準になるかも」という将来の話なんですよね。
じつは住友電工も「銅」の会社
もう1つ、見落としがちな点があります。住友電工の2027年3月期第1四半期は、売上高が1兆3,306億円(前年同期比15.9%増)、営業利益が970億円(同61.0%増)。その追い風として、情報通信の好調に加えて「円安・銅価格上昇」が挙げられています(出典:Yahoo!ファイナンス決算要約、2026年7月31日発表分)。電線の会社なので、銅の値段が売値に乗るんです。ここで次の章の「銅」につながります。
⚠️ 注意ポイント:住友電工は2026年7月1日に1株を4株に分割しています。分割前の株価(例:2026年4月1日の9,064円)と今の株価をそのまま比べないようにしてください。分割後に直すと約2,266円です。
銅が足りないのはなぜ?関税では説明できない値上がり
ここが今日いちばん見てほしいところです。銅の国際価格は、米国時間の2026年9月8日に過去最高値を更新しました。ロンドン金属取引所(LME)の3カ月物が1トン1万4,779ドル、ニューヨークの銅先物は1ポンド6.78ドルです。2026年初めから約24%、2026年9月11日までの12カ月では約51%上がっていて、米国の大型ハイテク株7社(マグニフィセント・セブン)より上昇率が高いんです(出典:Forbes JAPAN、2026年9月)。
いい質問です。ニュースでもよくそう説明されますよね。米商務省は精製銅の輸入に、2027年から15%、2028年から30%の関税をかける案を出しています。2026年7月の米国の銅輸入は22万5,094トンで過去最高でした。ここまでは「駆け込み」説のとおりです。
でも、数字を1つ見ると話が変わります。もし関税を見越した買いなら、ニューヨークの価格がロンドンより高くなるはずなんです。関税分を上乗せしないと採算が合わないので。実際、2025年7月にはNYがロンドンより平均約23%高くなりました。
ところが2026年1月から9月11日までの上乗せ幅は、平均でたった約1%。9月11日時点の差も1トン約148ドルしかありません(出典:Forbes JAPAN、2026年9月)。価格は5割上がったのに、関税で開くはずの差は開いていない。だから「関税以外の何か」が値段を押し上げている、という話になるんですよね。
その「何か」は、鉱石が足りないこと
答えは鉱山側にあります。銅は、鉱山で掘った鉱石(銅精鉱)を製錬所で溶かして、純度の高い銅地金にします。この上流の鉱山で問題が続いています。
- 1鉱山の事故:2025年9月、世界第2位の銅鉱山であるインドネシアのGrasberg鉱山で、坑内に大量の土砂・泥が流れ込む事故が起きました。完全復旧は2027年になる見込みです(出典:住友商事グローバルリサーチ)
- 2品位の低下:主要な産地で、鉱石に含まれる銅の割合が下がっています。同じ量を掘っても取れる銅が減ります(同上)
- 3生産量の減少:世界の銅鉱山の生産量は、2017年以来はじめて年間で減る可能性が出ています(出典:Forbes JAPAN、2026年9月)
- 4製錬所は逆に増えた:中国が製錬能力を急速に増やした結果、少ない鉱石を製錬所どうしで奪い合う形になりました(出典:住友商事グローバルリサーチ)
最後の④が大事です。鉱石が足りないのに、それを溶かす工場は増えている。すると、製錬所が鉱山からもらう加工賃「TC/RC」(溶錬費・精錬費。鉱石を銅にする手間賃)がどんどん下がります。2025年の年次契約では日本の主要製錬所のTCが1トン25ドルまで下がり(丸紅経済研究所、2026年4月28日)、スポット取引ではマイナスが常態化しています。
TC/RCがマイナスということは、製錬所が「お金を払ってでも鉱石を加工させてください」とお願いしている状態です。料理で例えると、食材が足りないので、レストランが八百屋に手数料を払って野菜を売ってもらっているようなものなんですよね。
🔍 なぜ5回:銅はなぜ足りない?
①銅の国際価格が過去最高値 事実
LME3カ月物が2026年9月8日に1トン1万4,779ドル。12カ月で約51%上昇(Forbes JAPAN)。
②関税の駆け込みだけでは説明できない 事実
関税目当てならNY価格がロンドンを上回るはずだが、2026年1〜9月の上乗せ幅は平均約1%(同上)。
③鉱山から出てくる鉱石が減っている 事実
Grasberg鉱山事故の完全復旧は2027年見込み。鉱山生産は2017年以来の年間減少の可能性。
④製錬所が増えて、鉱石の奪い合いになった 事実
中国の製錬能力増強で、加工賃TC/RCのマイナスが常態化(住友商事グローバルリサーチ)。
⑤だから投資判断としては「銅関連」をひとまとめにしない 推論
ここからは私の推測ですが、足りないのは「地金」より「鉱石」です。鉱山の権益を持つ会社には追い風、製錬で稼ぐ部分には逆風、銅を材料に使う電線会社は売値に転嫁できるかどうか。私は銅関連株を見るとき、利益が「鉱山・製錬・加工」のどこから出ているかを決算資料で分けてから判断します。
🔄 反証(見立てが外れる条件):この見立てが外れるとしたら、①米国の関税が確定して駆け込み需要が一気になくなる、②原油高が世界の景気を冷やして銅の需要が落ちる、のどちらかです。②は市場関係者も銅価格のリスクとして挙げています(出典:bloomingbit、2026年9月9日)。
私はSOXL(米国半導体株の3倍レバレッジETF)で−80%を経験しています。そのときに学んだのは、「テーマが正しくても、どこで利益が出るかを分けずに買うと、テーマが続いている最中でも大きく負ける」ということでした。銅も同じで、「銅が足りない」が正しくても、銅関連株が全部上がるとは限りません。次の章のJX金属が、まさにその例なんです。
JX金属には銅高がプラスにもマイナスにも効く
JX金属は、半導体用スパッタリングターゲット(半導体の配線をつくる材料)が有名ですが、事業は3つに分かれています。「半導体材料」「情報通信材料」(圧延銅箔・チタン銅など)、そして「基礎材料」(リサイクル・電気銅の製錬・貴金属など)です(出典:Yahoo!ファイナンス決算情報)。銅高はこの基礎材料に効きます。ただ、効き方がプラスとマイナスの両方なんですよね。
| プラスに効く点 | マイナスに効く点 | |
|---|---|---|
| 銅価格 | 期初の前提は1ポンド5.20ドル(520セント)。足元の最高値6.78ドルは約1.3倍で、上振れ余地になる | 値動きが大きく、利益の振れも大きくなる。先物ヘッジでも急変時は吸収しきれない |
| 鉱石の不足 | 鉱山の権益(チリの銅鉱山への出資など)からの利益が増えやすい | 製錬所の加工賃TC/RCが下がり、製錬の採算が悪化。2026年5月11日の決算短信で「製錬所で減産措置を実施する方向で検討」と開示 |
| 株価の見られ方 | 銅高の日に「銅株」として買われる日がある | 半導体材料の会社として見てほしいのに、銅価格で株価が上下して軸がぶれる |
出典:JX金属 2026年3月期決算短信(2026年5月11日)、同社2027年3月期第1四半期決算(2026年8月6日)、Yahoo!ファイナンス。
プラス側:業績はしっかり上がっている
2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は、売上高2,606億円(前年同期比36.2%増)、営業利益814億円(同175.5%増)。理由は「円安・銅価上昇」と、スパッタリングターゲットや圧延銅箔といった主力製品の販売増です。通期予想も上方修正されました(出典:Yahoo!ファイナンス決算要約、2026年8月6日発表分)。
期初の前提は、銅価格1ポンド5.20ドル・為替1ドル150円でした。1ポンド5.20ドルを1トンに直すと約1万1,464ドルです(1トン=約2,204.6ポンド)。足元の最高値1万4,779ドルは、この線の約1.29倍。銅がこの線の上にいる限り、基礎材料には上振れ余地があると読めます。
⚠️ 注意ポイント:8月6日の上方修正で、為替と銅価格の前提は見直されています(為替前提の変化は当サイトの8月25日の記事で扱いました)。修正後の銅価格の前提値は、この記事では確認できていません。※要確認。最新の決算説明資料で前提値を確かめてから使ってください。
マイナス側:製錬の採算と、株価のブレ
一方で、鉱石が足りないことは、製錬所にとっては原料が高くなることを意味します。JX金属は2026年5月11日の決算短信で、銅精鉱の買鉱条件が著しく悪化しているとして、グループの製錬所で減産措置を実施する方向で検討していると書いています。銅の値段は上がっているのに、それを作る工場は減産を考えている。これが「銅高なのにマイナスもある」の中身です。
株価も、銅とまっすぐには連動していません。9月17日は国内の銅建値(国内取引の目安価格)が1トン7万円上がった日でしたが、JX金属の株価は3,500円まで下げて終わりました。9月11日の3,695円から5.3%安です。翌9月18日は3,574円(前日比+74円)でした(出典:日本経済新聞、Yahoo!ファイナンス、2026年9月18日終値)。9月24日の終値はこの記事の執筆時点で確認できていません。※要確認。
もう1つの材料:10月1日の日経平均採用
日本経済新聞社は9月4日、日経平均の定期見直しでJX金属・KOKUSAI ELECTRIC・カプコンを採用すると発表しました。10月1日の算出から反映されます(出典:日本経済新聞、JX金属ニュースリリース、2026年9月4日)。指数に連動するファンドの買いは、9月30日の大引けに集中するとみられています(SMBC日興証券の予想、みんかぶ、2026年7月24日)。
ただ、採用の発表は9月4日に出ていて、9月7日には大幅続伸で一度織り込まれています。私は、採用そのものよりも「9月30日の大引けで買いが入ったあと、10月1日以降に株価がどう動くか」を見ます。指数に入る前に上がって、入った日から下がる動きは珍しくないので、ここは冷静にいきたいところです。
| 日付 | 見ること | 判定の向き |
|---|---|---|
| 2026年9月30日(水)大引け | 日経平均リバランスの買いで出来高がどれだけ膨らむか | 出来高が普段の2倍以上で終値が上がれば、需給の買いは消化 |
| 2026年10月1日(木)以降 | 採用後の株価が9月30日終値を上回って推移するか | 下回り続けたら「採用で上がって入って下がる」型 |
| 次回決算(日付は未定) | ①基礎材料の営業利益 ②製錬所の減産を実施したか | ①が伸びても②が実施なら、銅高の恩恵は鉱山側だけ |
曜日は2026年のカレンダーで確認済みです。次回決算の日付は、JX金属からまだ発表されていません(Yahoo!ファイナンス、2026年9月18日時点)。
AIで「銅高で得する会社・損する会社」を洗い出すプロンプト
今日の話を自分で確かめるなら、決算短信をAIに読ませて、利益が銅のどの段階から出ているかを分けてもらうのがいちばん早いです。ChatGPTでもClaudeでも使えます。
- 1気になる会社の最新の決算短信(PDF)をダウンロードする
- 2下のプロンプトと一緒にAIへ渡す(PDFをそのまま添付でOK)
- 3出てきた表の「根拠の記載箇所」を開いて、元の文章を自分の目で確認する
あなたは非鉄金属と電線業界に詳しい証券アナリストです。 添付した決算短信を読み、この会社の利益に「銅価格の上昇」がどう効くかを分解してください。 【出力してほしい内容】 1. 利益の出どころを次の4つに分けた表 ・鉱山(銅鉱山の権益・持分法利益) ・製錬(銅精鉱から地金をつくる。加工賃TC/RCで稼ぐ) ・加工(電線・銅箔・合金など、銅を材料に製品をつくる) ・需要側(銅を使う最終製品) 各行に「銅高はプラスかマイナスか」「根拠の記載箇所(ページ・見出し)」を書く 2. 会社が置いている銅価格・為替の前提値(書かれていなければ「記載なし」) 3. 減産・買鉱条件・TC/RCに関する記載があれば、原文の要旨を2行で 4. 銅価格が前提から10%下がったときに、最も影響を受けそうなセグメント名 渡したデータのみを使用してください。記載がない数字は推測せず「記載なし」と書いてください。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力してください。
JX金属の2026年3月期決算短信で使うなら、基礎材料セグメントの説明にある「製錬所で減産措置を実施する方向で検討」の1文を、AIが③で拾えるかどうかが読み取りの確認になります。自分で読むと見落としやすい1文なので、ここを拾えていれば出力の信用度を一段上げてよいと私は考えています。
⚠️ 注意ポイント:AIは、書かれていない前提値を「それらしい数字」で埋めることがあります。表に出てきた数字は、必ず決算短信の該当ページを開いて確かめてください。とくに銅価格の前提は、期初と上方修正後で変わっていることが多いです。
よくある質問
Q. 銅価格はどこで確認すればいいですか?
A. 国際価格はLME(ロンドン金属取引所)の3カ月物、国内はJX金属が改定する「銅建値」が目安です。銅建値は日本経済新聞の商品市況欄で改定のたびに報じられます。記事の「1ポンド5.20ドル=1トン約1万1,464ドル」の線と比べてみてください。
Q. 銀行株はもう上がらないということですか?
A. そうは言っていません。業績は過去最高で、三菱UFJの第1四半期は純利益48.2%増です。下がった理由は「予想どおりの利上げ」と「米国金利の上がりすぎ」なので、米10年債利回りが5%を下回って落ち着けば、評価が戻る可能性はあります。
Q. 住友電工の海底ケーブルは、どれくらい業績に効きますか?
A. 2026年9月24日時点では分かりません。発表には受注額や利益への寄与額が書かれていないからです。2026年10月下旬に予定されている決算で、情報通信関連の受注や見通しの説明があるかを確認するのが確実です。
まとめ|今日の4つの値動きは「金利」と「銅」の2本でつながっていた
2026年9月24日の相場を、もう一度まとめますね。
| 銘柄・テーマ | 今日の動き | 理由 | 次に見る数字・日付 |
|---|---|---|---|
| 銀行株 | 下落 | 日銀1.25%で出尽くし+米追加利上げ観測 | 米10年債利回りが5%を下回るか |
| 住友電工 | 約5.8%高 | Petal発表を連休明けに初反映+銅高 | 2026年10月下旬の決算で受注の説明があるか |
| 銅 | 最高値圏 | 関税ではなく鉱石不足(NY・ロンドン差は約1%) | NY・ロンドンの価格差が開き始めるか |
| JX金属 | 材料が交錯 | 銅高のプラスと製錬採算悪化のマイナス | 9月30日大引け、10月1日以降、基礎材料の利益 |
「銅が足りない」は、しばらく続く話だと私は見ています。鉱山の事故の完全復旧が2027年見込みで、製錬所は逆に増えているからです。ただ、それで得をするのは鉱山を持つ側で、製錬で稼ぐ側はむしろ苦しくなります。銅関連の株を見るときは、まず利益の出どころを4つに分ける。ここは崩さずにいきます。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません(投資助言ではありません)。記載の数値は出典に示した時点のもので、その後変動している可能性があります。AIの出力には誤りが含まれる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

