2026年9月24日、古河電気工業(証券コード5801)は上期の最終利益予想を36%上方修正しました。ところがこの日の株価は前日比−94円(−2.41%)の3,807円で、ほぼ安値引けです(出典:松井証券・野村證券の株価ページ、2026年9月24日15:30時点の値、2026年9月25日取得)。同じ日の日経平均株価は495円高の65,513円で4日続伸、しかも買われていたのはAI・半導体関連でした(出典:株探・みんかぶ「日経平均24日大引け」2026年9月24日15:32配信)。
追い風の地合いで、AIデータセンター関連の本命株が、上方修正の日に売られた。この記事では、その理由を公表済みの数字だけで3つに整理します。
✅ この記事の結論(先に要点だけ)
- 1サプライズが小さかった。2026年8月6日に通期経常を43.0%上方修正した直後で、9月24日は上期だけの修正だった
- 2通期を据え置いたまま上期を上げると、引き算で出てくる下期の前提が625億円から472億円へ下がる計算になる
- 3株価はPER26.4倍・PBR6.35倍まで買われていた。前提を確認できない開示では、先に払った分を一度戻す動きが出やすい
🎯 この記事で得られること
判断材料:通期純利益予想1,050億円から上期予想を引いて、会社が下期に置いている金額を出す引き算。古河電工の場合は1,050億円−578億円=472億円。前は625億円でした。
→ どの銘柄でも、上方修正の発表当日に電卓1回でできます。
判定ポイント:2026年11月上旬に出る2027年3月期の中間決算(前年は2025年11月10日に発表)。通期の経常利益予想1,430億円が増額されるか、据え置かれるか。
→ カレンダーに入れておけば、この記事の見立ての答え合わせが自分でできます。
答えないこと:この記事は目標株価も、買うタイミングも、2026年9月25日以降の値動き予想も書きません。扱うのは「公表された数字から何が読めるか」だけです。
何が起きたのか──2026年9月24日の事実を数字で並べる
まず、推測を混ぜずに事実だけを置きます。この記事で使う数字は、すべて出典と取得時点を付けました。
この章で得られるもの:9月24日の株価4本値と、比較に使う日経平均の数字
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 2026年9月24日 終値 | 3,807円 |
| 前日比 | −94円(−2.41%) |
| 始値/高値/安値 | 3,931円/3,983円/3,806円 |
| 出来高/売買代金 | 19,858,900株/767億5,022万円 |
| 前営業日(9月18日)終値 | 3,901円 |
| 同日の日経平均株価 | 65,513円(+495円、4日続伸) |
出典は次のとおりです。株価4本値・出来高・売買代金は松井証券および野村證券の株価ページ(いずれも2026年9月24日15:30時点の値、2026年9月25日取得)。日経平均は株探・みんかぶ「日経平均24日大引け=4日続伸、495円高の6万5513円」(2026年9月24日15:32配信)。
カレンダーで確認すると、2026年9月21日(月)は敬老の日、9月22日(火)は国民の休日、9月23日(水)は秋分の日で、東京株式市場は3日間休場でした。つまり9月24日(木)は3連休明けの最初の取引日で、表にある「前営業日」は9月18日(金)にあたります。
ここで注目したいのは値幅です。高値3,983円から終値3,807円まで176円、率にして4.42%下げています。安値は3,806円ですから、終値はほぼ安値と同じ。一度上に買われてから、引けにかけて売り切られた1日だったことが分かります。
なお翌9月25日(金)は、9時01分時点で3,943円(前日比+136円、+3.57%)と買い戻されています(出典:Yahoo!ファイナンス、2026年9月25日9時01分時点)。同日の日経平均は850円高の66,364円で5日続伸、押し上げたのはAI・半導体関連でした(出典:日本経済新聞「東証大引け 日経平均は5日続伸」2026年9月25日)。
理由① 8月6日にすでに大きく上げていた
この章で得られるもの:8月6日の修正値8項目。9月24日の修正を比べる基準になります
9月24日の上方修正は、初めてではありません。古河電気工業は2026年8月6日に「2027年3月期第2四半期(中間期)および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」を開示しています。その中身がこちらです。
| 項目 | 修正前 | 修正後 | 前回比 |
|---|---|---|---|
| 中間 売上高 | 7,000億円 | 7,200億円 | +2.9% |
| 中間 営業利益 | 350億円 | 495億円 | +41.4% |
| 中間 経常利益 | 370億円 | 605億円 | +63.5% |
| 中間 純利益 | 250億円 | 425億円 | +70.0% |
| 通期 売上高 | 1兆4,600億円 | 1兆5,300億円 | +4.8% |
| 通期 営業利益 | 950億円 | 1,230億円 | +29.5% |
| 通期 経常利益 | 1,000億円 | 1,430億円 | +43.0% |
| 通期 純利益 | 820億円 | 1,050億円 | +28.0% |
出典:日本取引所グループの適時開示「2027年3月期第2四半期(中間期)および通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年8月6日開示、BigGoファイナンス掲載分で内容を確認、2026年9月25日取得)。会社が挙げた修正理由は「光ソリューション事業および情報コンポーネント事業において、データセンタ関連製品の需要増加」と持分法投資利益の増加です。
通期の経常利益を1,000億円から1,430億円へ、43.0%も引き上げた開示です。前期(2026年3月期)の経常利益実績は758億58百万円ですから(出典:2026年5月12日発表の決算短信、松井証券の決算ページで確認、2026年9月25日取得)、会社予想は前期比1.89倍まで来ていることになります。
つまり9月24日の時点で、市場はすでに「今期は大幅増益」という話を知っていました。そこに追加で来た上期の修正は、話の方向を変えるものではなく、既に知っている話の確認です。株価が反応しにくいのは、ここに理由の半分があります。
理由② 通期を据え置くと、下期の前提が625億円から472億円に下がる
この章で得られるもの:通期−上期=下期の引き算。数字は1,050−578=472(億円)
9月24日の開示について、株探の決算速報は「古河電気工業【5801】、上期最終を36%上方修正」と伝えています(2026年9月24日配信)。見出しが触れているのは上期だけで、通期の増額には言及がありません。
ここから計算します。8月6日時点の上期純利益予想は425億円でした。これを36%引き上げると、425億円×1.36=約578億円になります。※要確認:この578億円は株探の見出しにある「36%」からの逆算値で、開示資料の原文にあたって確定させた数字ではありません。投資判断に使う前に、ご自身で会社の開示資料をご確認ください。
そのうえで、通期の純利益予想1,050億円が据え置かれたと仮定して引き算します。
修正前(8月6日時点)
通期1,050億円 − 上期425億円 = 下期625億円
修正後(9月24日の36%増を反映・通期据え置きと仮定)
通期1,050億円 − 上期578億円 = 下期472億円
下期に置かれた金額が、引き算の結果として625億円から472億円へ、153億円減る形になります。下期が上期を下回る形になり、下期は上期の0.82倍という前提に変わる計算です。
これは「下期が悪くなる」という意味ではありません。会社が通期を保守的に置いたままにしている、という意味です。ただ株価を付ける側から見ると、上期の上振れが通期の増額として確定しないかぎり、上期に利益が前倒しで乗っただけなのか、通期がまるごと上振れるのか、区別がつきません。区別がつかない情報で株価を上げ続けるのは難しい。ここが売られた理由の核心だと考えています。
⚠️ 注意ポイント:上の引き算は「9月24日の開示が上期のみの修正で、通期は据え置かれた」という前提に立っています。もし同日に通期も増額されていれば、下期の前提は下がりません。株探の見出しが上期にしか触れていないことを根拠にした推論であり、確定した事実ではありません。
理由③ PER26.4倍・PBR6.35倍まで先に買われていた
この章で得られるもの:株価÷EPSの計算。3,807円÷149.25円=25.5倍という水準感
2026年9月25日9時01分時点のYahoo!ファイナンスによると、古河電気工業の指標はこうなっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| PER(会社予想) | 26.42倍 |
| PBR(実績) | 6.35倍 |
| EPS(会社予想) | 149.25円 |
| 時価総額 | 2兆7,863億9,700万円 |
| 1株配当(会社予想) | 22.00円(2027年3月期) |
| 配当利回り(会社予想) | 0.56% |
このEPS149.25円が何を見ているのか、逆算で確かめられます。8月6日修正後の通期純利益予想1,050億円を149.25円で割ると約7.04億株。時価総額2兆7,864億円を株価3,943円で割ると約7.07億株。ほぼ一致しますから、会社予想EPS149.25円は8月6日に増額した後の1,050億円ベースだと確認できます。
ここから株価の水準を出します。9月24日終値3,807円÷149.25円=PER25.51倍。9月25日9時01分の3,943円なら26.42倍です。前期実績のEPS103.02円で割ると36.9倍になりますが、会社予想ベースで25倍台というのが現在地です。
PERとPBRの読み方そのものに自信がない方は、PBRとは?1倍割れの意味と見方|ROE×PERで「割安」と「万年割安」を見分ける を先に読んでおくと、この先が理解しやすくなります。
PER25倍という数字は、「これから利益が増える」という前提を、株価が先に払っている状態です。前提を確認できる材料が出れば買われ、確認できない材料が出れば、払った分を一度戻す動きになります。9月24日は、出来高1,985万株・売買代金767億円と商いが膨らんだうえで安値引けでした。買う人も売る人も多かったなかで、売りが勝った1日だったと言えます。
なぜ5回──構造まで掘る
この章で得られるもの:5段の各行に[事実]か[推論]のラベル。どこから先が推測かが分かります
課題は1つ。「上方修正を出した2026年9月24日に、古河電工の株価が−2.41%で安値引けしたのはなぜか」です。
なぜ① 上方修正なのに、なぜ下げたのか
事実日中は高値3,983円まで買われたが、終値3,807円は安値3,806円とほぼ同じ。買いが先行したあと、引けにかけて売り切られた。
なぜ② なぜ買いが続かなかったのか
事実2026年8月6日に通期経常を43.0%上方修正済み。9月24日の株探見出しは「上期最終を36%上方修正」で、通期の増額には触れていない。
なぜ③ なぜ「上期だけ」だと買われにくいのか
推論通期を据え置いたまま上期を上げると、引き算で出る下期が625億円から472億円へ下がる。上期に前倒しで乗っただけなのか、通期が上振れるのか、開示からは区別できない。
なぜ④ なぜ区別がつかないと売りが出るのか
事実株価は会社予想EPS149.25円に対しPER25.5倍、PBR6.35倍まで買われている(2026年9月25日9時01分時点、Yahoo!ファイナンス)。
なぜ⑤ なぜ高いPERだと売りが出やすいのか
推論PERは将来の増益を先に払っている数字。払った前提を確認できない開示では、確認できるまで一度回収する動きが出る。
結論
見るべきは株価ではなく、通期経常利益予想1,430億円が増額されるかどうか。判定できるのは2026年11月上旬の中間決算です。それまでは日々の値動きで判断しない、と決めておきます。
次に見る数字と、その日付
この章で得られるもの:見る数字3つと、確認できる日付(2026年11月上旬)
- 1通期の経常利益予想1,430億円が増額されるか。据え置きなら、下期を保守的に置いたままという読みが続きます。増額されれば、上期の上振れが通期に効いたことになります。
- 2上期の純利益実績が、修正後予想(約578億円 ※要確認)を上回るか。上回れば、会社の見積もりがまだ追いついていないことの裏付けになります。
- 3株価が終値で3,983円(2026年9月24日の高値)を超えられるか。上方修正の日に付けた高値を終値で抜けるかどうかは、売り圧力が消化されたかの目印になります。
確認できる日付:2027年3月期の中間決算発表。前年は2025年11月10日に2026年3月期の中間決算短信が出ていますので、2026年11月上旬が目安です。※要確認:2026年時点の正式な発表予定日は本記事執筆時点で確認できていません。会社のIRサイトでご確認ください。
やめる線──この見立てが外れたと分かる条件
この記事の見立ては「通期の増額が確認できるまで、株価は上値を追いにくい」というものです。外れたと判断する条件を先に3つ置いておきます。
- 2026年11月上旬の中間決算で、通期経常予想1,430億円が据え置き、または下方修正されたとき。この場合、下期の前提が保守的だったのではなく実態だった可能性が出ます。
- 株価が終値で3,806円(2026年9月24日の安値)を割り込み、5営業日以内に戻せないとき。需給の整理が一時的ではなかったことになります。
- 会社の説明が「データセンタ関連製品の需要増加」から後退したとき。8月6日の修正理由そのものが崩れます。
逆に、上値を追う根拠が強まるのは、通期経常が1,430億円から増額され、かつ会社がデータセンター向けの説明を維持したときです。データセンター需要が電線・光ファイバー各社の売上と利益にどう乗ってくるのかは、電力不足で伸びる銘柄3選【2026年9月版】AI相場の次の主役を「株価2倍の式」で検証 で整理しています。同業の見方は 住友電工はどんな会社?JX金属との違いと投資戦略をAIで整理 もあわせてどうぞ。
同じ作業をAIにやらせるプロンプト
この章で得られるもの:通期−上期=下期の引き算をAIに任せる定型文。1銘柄あたり3分
この記事でやったのは、要するに引き算1本と割り算2本です。数字さえ手元に集めれば、整理はAIに任せられます。株価や業績の数値は必ず自分で証券会社アプリや会社の開示資料から転記してください。AIに数字を取りに行かせると、古い値や誤った値が混ざります。
あなたは決算資料を読み慣れた証券アナリストです。 以下のデータだけを使って、「上方修正が出たのに株価が下がった理由」を整理してください。 【銘柄データ】 ・銘柄名/証券コード: ・発表日と発表内容(上期のみの修正か、通期も修正か): ・上期予想(修正前 → 修正後):売上高/営業利益/経常利益/純利益 ・通期予想(修正前 → 修正後):売上高/営業利益/経常利益/純利益 ・発表日の株価:始値/高値/安値/終値/前日比/出来高 ・同日の日経平均の前日比: ・会社予想EPS/PER/PBR: 【出力してほしい内容】 1. 通期予想 − 上期予想 = 下期の含み を、修正前と修正後の両方で計算して並べる 2. 下期の含みが増えたか減ったかを1行で述べる 3. 株価 ÷ 会社予想EPS を計算し、PERが何倍かを示す 4. 「上期への前倒し」と「通期の上振れ」のどちらとも読める点があれば指摘する 5. 次の決算で確認すべき数字を3つ、それぞれ1行で 渡したデータのみを使用し、最新株価や未提供の数値を推測しないこと。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力すること。 断定できない箇所には「開示未確認」と明記すること。
⚠️ 注意ポイント:AIは渡した数字を並べ替えるのは得意ですが、開示資料に何が書いてあったかを知りません。「通期が据え置かれたかどうか」のような事実は、必ず会社のIRサイトか適時開示の原文で確認してください。この記事の578億円のように、逆算した数字は逆算だと明示しておくと、あとで自分が混乱しません。
よくある質問
Q. 上方修正が出たのに下がるのは、よくあることですか?
A. 珍しくありません。株価はすでに知られている話を先に織り込むため、発表そのものより「発表が前提をどれだけ変えたか」で動きます。今回のように直前の修正から1か月半しか経っていない場合、追加の修正は前提を大きく変えないことが多いです。
Q. 578億円という数字は、どこから出たものですか?
A. 株探の見出し「上期最終を36%上方修正」から逆算した値です。8月6日時点の上期純利益予想425億円に1.36を掛けています。開示資料の原文で確定させた数字ではないため、本文でも「※要確認」を付けました。正確な値は会社のIRサイトでご確認ください。
Q. 9月24日は3連休明けだったのですか?
A. はい。2026年9月21日(月)が敬老の日、9月22日(火)が国民の休日、9月23日(水)が秋分の日で東京株式市場は休場でした。そのため9月24日(木)の「前日終値」は、9月18日(金)の終値3,901円にあたります。
まとめ
2026年9月24日、古河電気工業は上期の最終利益予想を36%引き上げながら、株価は−2.41%の3,807円で安値引けしました。日経平均が495円高でAI・半導体関連が買われていた日です。
理由は3つに整理できます。8月6日にすでに通期経常を43.0%上方修正していてサプライズが小さかったこと。通期を据え置いたまま上期を上げると、引き算で出る下期が625億円から472億円へ下がる計算になること。そして株価がPER25倍台・PBR6.35倍まで先に買われていたことです。
持ち帰っていただきたい作業は1つだけです。通期予想から上期予想を引いて、会社が下期に置いている金額を出す。上方修正のニュースを見たら、その日のうちに電卓を1回叩く。それだけで「良い決算なのになぜ下がるのか」の半分は説明がつきます。答え合わせは2026年11月上旬の中間決算で。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資助言ではありません。AIの出力には誤りが含まれる場合があります。記載した数値は出典と取得時点を明記していますが、最新の値は必ずご自身で一次情報をご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

