【2026年4-6月期】決算総論──業績は強かった。強すぎて、株価がついていけなかった

「決算めっちゃ良かったって聞くけど、じゃあなんで7月あんなに下げたの?

これ、今回の決算シーズンの核心なんだよね。答えを先に言うと、業績と株価が逆方向に動いた四半期だったから。
この記事では2026年4〜6月期の決算を①全体の業績傾向 ②セクター間のパワーバランス ③株価の現在地 ④8月見通しの4本立てで総ざらいするよ。「誰が勝って、誰が置いていかれたのか」を数字で並べていくね。

📖 前編:この決算シーズンの震源になった米クラウド大手4社の決算はこちら → ハイパースケーラー4社決算まとめ(全社2桁増収なのに株価が割れた理由)

📖 シリーズ第1弾:7月の暴落の構造は → 【2026年7月】AI・半導体株はなぜ暴落したのか

まず結論:業績は強い。強すぎて、株価がついていけなかった

1 事前コンセンサスは営業利益+30.2%という高いハードル。主力どころはおおむねクリアした

2 パワーバランスは「メモリ一強」から「裾野の拡大」へ。金融は金利と相場の二重取りで静かに勝った

3 教訓は「46倍でも未達なら売られる」。良い決算かではなく、期待をどれだけ超えたかで見る局面

※本記事は2026年8月1日時点で公表・報道されている情報に基づく整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。日本企業の決算発表は8月上旬にピークを迎えるため、本稿の集計値は暫定的なものです。株価・為替は変動するため、最新値は必ずご自身でご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。

読者

半導体ばっかり話題だけど、他のセクターって実際どうだったの?次の主役はどこ?

PART 1 総論──業績と株価が、逆方向に動いた四半期

──この現象自体が、いまの相場の性格を示している

このパートの要点:日経は上期39%上昇して6/25に最高値72,366円。7/31終値は64,362円で、高値から約11.1%安。ただしこの下落は業績悪化ではなく、過熱の解消とレバレッジの巻き戻しで起きた。

この決算シーズンを一行でまとめると、こうなる。
業績は市場の想定どおり、あるいはそれ以上に強かった。にもかかわらず株価は7月に大きく崩れ、月末にようやく反発した。

つまり4〜6月期は業績と株価が逆方向に動いた四半期だったの。これって、いまの相場の性格をそのまま表してる。株価を動かしてるのは業績の水準じゃなくて、業績と期待の差分、そして需給だってこと。

📉 数字で見る「現在地」

・2026年上期の日経平均上昇率:39%

・終値ベースの過去最高値:72,366円(6月25日)

・7月31日終値:64,362円(前日比+2,494円、+4%)

・高値からの下落率:約11.1%(当サイト計算)

この11%って、業績が悪化して起きたものじゃないの。過熱の解消と、レバレッジの巻き戻しで起きてる。ここを取り違えると、8月以降の判断を丸ごと間違えるから気をつけて。

PART 2 全体の業績傾向──増益の「質」は3層に分かれる

──同じ増益でも中身が全然ちがう

このパートの要点:7/1時点のコンセンサスは売上+8.1%・営業利益+30.2%。この高いハードルを主力どころはおおむねクリア。ただし増益の中身は「AI需要」「金利と相場」「値上げ・構造改革」の3層に分かれる。

まず事前のハードルから。7月1日時点の市場コンセンサス(ラッセル野村Large Cap、金融を除く)では、2026年4〜6月期は売上高が前年同期比+8.1%、営業利益が同+30.2%と見込まれてた。四半期で3割の営業増益って、平時ならまず出てこない数字だよ。

で、実際の決算はこの高いハードルを主力どころではおおむねクリアした。7月30日時点の集計だと、時価総額150億円以上で「増収かつ経常利益20%以上増」を達成した企業だけで53社がリストアップされてる。じゃあ中身を3層に分けて見ていくね。

第1層

AI・メモリ需要による構造的な爆発

いちばん極端なのがキオクシア。第1四半期の純利益は前年同期比46倍の8,421億円、売上収益は約5.2倍の1兆7,671億円。売上営業利益率は13.1%から71.9%へ跳ね上がった。上期累計の純利益予想も2兆1,121億円(36倍増)で、2期ぶりの上期最高益更新見通し。
半導体商社のトーメンデバイスも4〜6月期の経常利益が+1,055%と10倍超。半導体製造装置ではアドバンテストが経常+92.9%で、通期進捗率26.3%(四半期の標準25%をやや上回る滑り出し)。

第2層

金利上昇と市場活況による、金融の増益

ここ、見落とされがちだけどめちゃくちゃ大きい。三井住友トラストが経常+109%、ほくほくフィナンシャルグループが+59.1%
さらに強烈なのが証券会社で、岡三証券グループ+912%、いちよし証券+524%、東洋証券+519%、水戸証券+399%、丸三証券+208%と軒並み桁違い。上期に日経平均が39%上昇した相場そのものが、証券会社の収益になったってことだよね。

第3層

値上げ・構造改革・一時要因による増益

パナソニックHDが経常+108%で進捗率32.0%、NEC+76.1%、日立建機+123%、日本精工+199%、清水建設+201%。ソニーグループは今期の最終利益予想を4%上方修正して最高益予想を上乗せ、SBIホールディングスは4〜6月期の最終利益が75%増、ルネサスは上期最終が黒字浮上で着地したよ。

全部が良いわけじゃない

化学・素材の一角は減益。トクヤマの4〜6月期は営業利益が前年同期比▲22.9%。AI需要の恩恵が届いてない業種もある

ガイダンスで売られるケースも。ディスコは業績自体は好調だったけど、7〜9月期の連結純利益見通し395億円が市場予想平均473億円に届かず、それが売り材料になった

キオクシアですら「未達」。Q1純利益8,421億円は、会社計画8,690億円もQUICKコンセンサス9,687億円も下回ってる

つまりこの四半期の教訓はハッキリしてる。「実績の絶対値」じゃなく「期待との差」で株価が決まる局面に入ったってこと。46倍でも未達なら売られる水準まで期待が上がってた、ってことだよね。

PART 3 パワーバランス──誰が利益の主役になったか

──ここが今回いちばん重要なパート

このパートの要点:事前に想定されていたのは「電機・精密が筆頭、化学・鉄鋼非鉄(電線)が続き、金利上昇で金融も」という構図。実際の決算はおおむねこれをなぞった。そして裾野が広がった=次の物色対象が生まれつつある。

野村證券の事前分析では、4〜6月期に全体業績をけん引する業種として電機・精密が筆頭に挙げられてた。理由は、2025年初冬以降に生成AI関連投資が世界的に急拡大して、これまでAI関連としてはやや蚊帳の外だった日本の製造業にも恩恵が及び始めたこと。同様に化学、鉄鋼・非鉄(特に電線)もAI関連投資の恩恵で業績急拡大を見込む企業が増加。さらに金利上昇を受けて金融(銀行)も大きな増益寄与が見込まれてた。で、実際の決算はおおむねこの構図をなぞったの。

勢力 立ち位置 根拠となる数字
メモリ・半導体 圧倒的な主役。ただし株価は最も荒れた キオクシア純利益46倍・営業利益率71.9%/半導体商社+1,055%
半導体製造装置 主役の伴走者。堅調 アドバンテスト経常+92.9%、進捗率26.3%
金融・証券 静かな勝者。金利と相場の二重の追い風 証券各社が3〜9倍の増益/信託銀行+109%
電機・重電・電線 AI投資の裾野として業績拡大 パナHD+108%、NEC+76.1%
建設・機械 インフラ・データセンター需要を取り込み 清水建設+201%、日立建機+123%、日本精工+199%
化学・素材の一部 恩恵が届かず減益も トクヤマ営業利益▲22.9%
自動車・内需 この時点では出遅れ。8月上旬が本番 トヨタなど主力はこれから発表

ここから読み取れる構造変化3つ

変化1

AIの恩恵が「本丸」から「裾野」へ広がった

これまでAI相場の主役はメモリと製造装置に集中してた。でも今回は、電線・重電・建設・機械みたいなデータセンターを物理的に建てる側にも数字として恩恵が出てる。テーマの裾野が広がったってことは、次の物色対象が生まれつつあるってことだよね。

変化2

金融が「金利」と「相場」の二重取りをしている

日銀は6月会合で利上げを実施して、7月31日の会合では政策金利を1.0%で据え置いた。この金利水準は銀行にとって明確な追い風。さらに上期の相場活況が証券会社の収益を押し上げた。金融は、株が上がっても金利が上がっても儲かるポジションにいるの。
ただし証券の増益は相場依存だから、7月みたいな調整が続けば次の四半期には剥落する点は割り引いて見てね。

変化3

主役交代の可能性が語られ始めた

上期に39%上昇した相場を牽引したのはキオクシアだった。年初1万円台だった株価が半年で10倍超の11万円台まで駆け上がって、日本株全体を引っ張ったの。でも7月にその主役が高値から6割超下落したことで、次の主役は誰かという議論が始まってる
市場では、下期の主役は自動車・電機・IP(知的財産)といった出遅れ大型株に交代して、幅広く買われる全体底上げ型の上昇になるとの見方も出てるよ。

🏛️ 主要機関の年末見通し

・野村證券:2026年末の日経平均を68,000円(TOPIX 4,200)へ上方修正

・市場の一部:10月後半〜11月にかけて過去最高値72,366円への再トライを想定

複数の主要機関が年末に向けて現在値より上を見ているのが8月時点の状況。もちろん見通しは外れるものだから、「そういう前提の資金が入っている」という需給の材料として扱うのが正解だよ。

🌎 このパワーバランスの上流にあるのが、米クラウド大手の設備投資。「3社のガイダンス上限だけで約5,700億ドル」という規模感と、アマゾンが増額理由に挙げた「メモリコスト上昇」については ハイパースケーラー4社決算まとめ で詳しく解説してるよ。

PART 4 株価の現在地──指数・為替・金利

──11%の調整は、通常の範囲内

7月31日は一時3,400円超高となって、4営業日ぶりに6万5,000円台を回復。この日のストップ高は33銘柄、ストップ安は1銘柄だった。前場だけでアドバンテストと東京エレクトロンの2銘柄が日経平均を約1,700円押し上げてて、指数の半導体依存度の高さが改めて浮き彫りになったよ。

高値から11%の調整って、上昇率39%という上期の実績を踏まえれば通常の調整の範囲内と言える水準。ただし個別では、キオクシアが高値から6割超下落するなど、指数の下落率と個別株の下落率が大きく乖離してる点には注意してね。指数だけ見てると、自分のポートフォリオの傷を見誤るよ。

💱 為替と金利の前提条件

・為替:1ドル159円台まで円高進行、一時157円90銭台では通貨当局の介入観測も。円高は輸出関連に逆風で、8月上旬に決算を控える自動車などにはマイナス材料になり得る

・米金利:FOMCは7月28〜29日にFF金利を3.50〜3.75%で据え置き(5会合連続)。ただし3人が利上げを主張して反対票。9月の利上げ確率は6割程度

・日本金利:日銀は7月31日に政策金利を1.0%で据え置き。2026年度の成長率見通しはAI需要などを見込んで0.6%へ引き上げ

8月入りの前提条件

日米ともに「据え置きだが、方向は引き締め寄り」
金利という重力は、いま一時的に止まってるだけで、消えたわけじゃないよ。

PART 5 8月の見通し──夏枯れで、値幅が出やすい月

──日程・3シナリオ・チェックポイント

日付 イベント 注目点
8/3(月)キオクシア決算後 初取引「Q1未達」と「上期強気ガイダンス」のどちらを市場が採るか
8/6(木)JX金属 決算素材側から見たAI需要の実像
8/7(金)米雇用統計9月利上げ観測を左右する最大の指標
8月上旬日本の決算ピークトヨタなど主力の一角がこれから
8/12(水)米CPIインフレ再燃の有無
8/27〜ジャクソンホール会議ウォーシュFRB議長の発言が9月FOMCの手がかりに

8月って、多くの市場参加者が夏休みに入るから売買が細る「夏枯れ相場」になりやすいの。流動性が落ちると、小さなニュースでも株価が大きく振れる。7月にレバレッジの巻き戻しを経験した直後の8月は、上にも下にも値幅が出やすい月と考えておこ。

メイン

戻りを試すが、上値は重い

決算が全体として強く、下げの理由(AI投資の回収懸念・金利・メモリ供給過剰懸念)が3つとも弱まったからリバウンドは継続しやすい。ただし高値から11%下げただけの水準で、戻り待ちの売りも厚い。6万5,000円前後を挟んだ往来から、じり高というイメージ。

強気

主役交代を伴う全体底上げ

8月上旬の決算で自動車・内需にも好数字が出て、半導体一本足だった相場が幅を持つケース。米雇用統計が過度な利上げ観測を後退させれば加速する。この場合、秋に向けて高値再トライの道筋が見えてくる。

弱気

金利再燃と円高の二重苦

米CPIが上振れして9月利上げが確定的になり、同時に円高が進行するケース。輸出企業の業績見通しが下方修正され、7月の安値を試す展開もあり得る。ジャクソンホールでのタカ派発言も同じ方向に効く。

✅ 8月に見るべきチェックポイント5つ

1. 8月3日のキオクシアの反応 ― 46倍でも未達なら売る市場なのか、ガイダンスを買う市場なのかが判明する。相場全体の性格を測るリトマス試験紙

2. 主力企業の通期ガイダンス修正 ― 4〜6月期の好調を受けて通期予想を引き上げる企業がどれだけ出るか。進捗率25%超が並ぶか

3. 為替の方向 ― 円高が一方向に進むか、介入後に反転するか。輸出企業の下期見通しに直結

4. 半導体以外への物色の広がり ― 値上がり銘柄比率と、自動車・内需セクターの反応

5. 信用買い残の減少ペース ― 7月の巻き戻しが終わったかどうかの需給指標

📊 決算を受けて保有銘柄の妥当株価を出し直すなら、EPS×PER目標株価計算機(無料)をどうぞ。「進捗率から通期EPSを逆算して入れる」のが決算期のおすすめの使い方だよ。

まとめ:この四半期から持ち帰るべき5つのこと

1 業績は強かった。事前コンセンサスは営業増益30%という高水準で、主力どころはそれをおおむねクリアした

2 それでも株価は下げた。動かしてるのは業績の水準じゃなく、期待との差分と需給

3 パワーバランスは「メモリ一強」から「裾野の拡大」へ。金融は金利と相場の二重取りで静かに勝った

4 8月は夏枯れで値幅が出やすい。8/3キオクシア、8/7米雇用統計、8/27ジャクソンホールが節目

5 判断基準を固定する。46倍でも未達なら売られる相場では「期待をどれだけ超えたか」で見る

7月は「終わりだ」と思わせて、月末は「乗り遅れた」と思わせた。どっちの感情も、判断の材料としては同じくらい役に立たないんだよね。
決算という事実が出そろった今こそ、感情じゃなくて数字で立ち位置を決め直す時期だと思う。8月の値動きに振り回される前に、自分の基準を1個でも紙に書いておこ。

よくある質問

Q. 決算が良かったのに、なぜ株価は7月に下げたのですか?
A. 株価は業績の絶対水準ではなく、事前の期待との差で動くためです。4〜6月期は事前コンセンサスの時点で営業増益30%という非常に高いハードルが設定されており、それをクリアしても「想定内」で終わるケースが多くありました。加えて7月は信用取引の巻き戻しという需給要因が重なりました。日経平均の高値からの下落率は約11%で、上期の上昇率39%を踏まえれば通常の調整の範囲内です。
Q. 次の主役はどのセクターになりそうですか?
A. 断定はできませんが、今回の決算で数字が出始めたのは電線・重電・建設・機械といった「データセンターを物理的に建てる側」でした。市場では下期の主役が自動車・電機・IPなど出遅れ大型株へ交代するとの見方も出ています。ただし8月上旬に自動車を含む主力の決算がこれから出るため、判断はその内容を確認してからで十分間に合います。
Q. 8月は買い場ですか、それとも様子見ですか?
A. 一律の正解はありません。ただ8月は流動性が細り、上にも下にも値幅が出やすい月です。加えて8月上旬に日本の決算ピーク、8月7日に米雇用統計、8月27日からジャクソンホール会議と、判断材料が次々に出てきます。答え合わせの材料が出る前に大きく動くより、事前に決めた段階買いのルールに沿って動くほうが期待値は高いと考えます。
Q. 米国のクラウド大手の決算も知りたいです
A. マイクロソフト・アマゾン・アルファベット・メタの2026年4-6月期決算はハイパースケーラー4社決算まとめで数字を全部並べています。7月の暴落の構造はシリーズ第1弾、これから口座を作る方は初心者におすすめの証券口座も参考にしてください。

業績は強かった。強すぎて、株価がついていけなかった。
良い決算かではなく、期待をどれだけ超えたか。
基準が変わった四半期の記録として、残しておく。

暴落の構造と「負けない型」、そしてAIの使い方は書籍にまとめています。

AI・半導体バブルの暴落から学べ(Amazon) 前編:米クラウド4社の決算まとめ
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注意

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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この記事を書いた人

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