AIが出した数字、
そのまま使っていいの?
ChatGPTに株価を聞いたら、証券会社のアプリと違う数字が返ってきた。そんな経験はありませんか。
私も何度もありました。しかも困るのは、AIがとても自信ありげに答えてくることです。
この記事では、AIの数字がずれる原因を3つに分けます。そのうえで、無料の公式サイトだけで数字を確かめる3ステップを紹介します。
根拠はOpenAIが公式ヘルプに書いている説明と、日本取引所グループ・金融庁・日本銀行が公開しているページです。どれも誰でも開けます。
読み終わるころには、「ここまではAIに任せる、ここからは自分で見る」という線が1本引けます。
- ChatGPTやClaudeに株価や決算を聞いて、投資の判断に使っている人
- AIの答えが証券アプリの数字と違って、どちらを信じるか迷った人
- 決算短信や適時開示を、まだ一度も開いたことがない人
- AIの数字がずれる3つの原因と、どの原因がいちばん多いか
- 株価・業績・日付それぞれの確認先(すべて無料の公式サイト)
- AIの答えを使わないと決める3つの線
- どのAIがいちばん優秀かという比較
- どの銘柄を買うべきかという話、将来の株価予想
まず3つの原因を1行ずつで言うと
読み方の軸はひとつだけです。AIは「読む係」、数字を決めるのは「資料」。この順番を入れ替えないかぎり、AIは投資の時間をいちばん短くしてくれる道具になります。
AIは株価の表示板ではなく、文章を続ける道具です
本題に入る前に、30秒だけAIの仕組みを確認させてください。ここが分かると、原因の3つがすっと入ります。
ChatGPTのような道具は、大量の文章を読んで「次に来そうな言葉」を選びながら答えを作ります。専門用語では大規模言語モデルと呼びます。以下では「AI」と書きます。
大事なのは、AIが株価のデータベースを直接見ているわけではないことです。証券取引所とつながった電光掲示板とは、まったく別の作りになっています。
図1 AIの答えは何でできているか
出典:OpenAIヘルプセンター「Does ChatGPT tell the truth?」(2026年10月1日取得)をもとに作成
つまりAIの答えは、「覚えていること」と「もっともらしい続き」の足し算です。
株価のように毎日変わる数字は、覚えていることの中にありません。だから足し算の右側、もっともらしさのほうで埋められてしまいます。
OpenAIも公式ヘルプで、こう案内しています。「ChatGPTは最初の下書きとして使い、最終的な情報源にはしないでください」。
02原因1:学習の締め切りより後の数字は、AIの中に存在しません
AIが読んだ文章には、必ず締め切りがあります。カットオフと呼ばれる日付です。
締め切りより後に起きたことは、AIの中に1文字もありません。検索機能を使わないかぎり、答えようがないのです。
図2 学習の締め切りと、今日のあいだ
出典:OpenAIヘルプセンター「Does ChatGPT tell the truth?」(2026年10月1日取得)。同ページは、モデルに知識の締め切りがあり、検索ツールを使わないかぎり締め切り後の出来事を取り込めないと説明しています
具体的に見てみましょう。2026年9月30日の日経平均株価の終値は66,753.72円でした。前日比では1,272.45円高、上昇率は1.94%です。
この数字は、2026年9月30日という日が来てはじめて確定します。締め切りが9月より前のAIに聞いても、出てくるはずがありません。
ところが実際に聞くと、何らかの数字が返ってくることがあります。覚えていないと言う代わりに、もっともらしい数字で埋めてしまうからです。
これが、証券アプリの数字と食い違う1つめの原因です。
03原因2:AIの自信の強さは、正しさの目印になりません
2つめの原因は、答え方のほうにあります。
OpenAIは公式ヘルプで、こう書いています。「モデルは、間違った答えに対しても高い確信を示すことがある」。
つまり「たしか3,486円でした」と言い切られても、言い切りの強さは何の保証にもなりません。言葉が自然につながっているだけです。
同じページには、事実と違う答えが出る現象の例も並んでいます。作られた引用、存在しない出典、そして自信のある誤答です。
| AIの書き方 | 読者が感じること | 実際 |
|---|---|---|
| 「終値は◯◯円です」 | 確定した数字だと思う | 要確認 |
| 「最新のデータでは」 | 今日の数字だと思う | 要確認 |
| 「決算資料によると」 | 資料を読んだと思う | 要確認 |
表1 AIの言い回しと、その実際。出典:OpenAIヘルプセンター「Does ChatGPT tell the truth?」(2026年10月1日取得)の記述をもとに整理
私はこの3つの言い回しを見つけたら、いったん手を止めるようにしています。
止めるだけで、取り違えた数字を信じて注文を出す失敗がかなり減りました。
04原因3:出どころを聞かないと、数字の住所は出てきません
3つめの原因は、こちらの頼み方にもあります。
AIは、聞かれていないことは書きません。「どの資料の何ページから取ったか」を書いてほしければ、そう頼む必要があります。
OpenAIも「引用、データ、技術的な情報、外部資料への参照は、つねに検証してください」と案内しています。検証できる形で出してもらうのが先です。
そこで私は、AIに数字を扱わせるときは必ず「資料の何ページ・どの行から取ったかを付けて」と添えています。
この一文があると、AIは資料に書かれていない数字を出しにくくなります。出どころを書けない数字は、そこで落ちてくれるからです。
- 原因1は時間のずれ。株価・指数・為替など毎日変わる数字で起きます
- 原因2は言い方の強さ。断定の文でも、正しさの保証にはなりません
- 原因3は頼み方。出どころを書かせないと、確かめようがありません
裏取りは3ステップ。全部、無料の公式サイトで終わります
ここからが本題です。AIが出した数字を使う前に、3つだけ確かめます。
どれも無料で、会員登録もいりません。慣れれば、スマートフォンでも短時間で回せます。
図3 AIの答えを使う前の3ステップ
公式の指数サイト
決算短信を開く
決算発表予定日
出典:日本取引所グループ、金融庁EDINET、日本経済新聞社「日経平均プロフィル」の各公開ページ(2026年10月1日取得)をもとに作成
STEP 1 株価と指数は、公式の指数サイトか証券アプリで見る
いちばん古くなりやすいのが株価と指数です。ここはAIに聞かず、最初から公式を見ます。
日経平均株価なら、日本経済新聞社が運営する「日経平均プロフィル」が公式サイトです。終値や過去の推移が無料で公開されています。
個別銘柄の株価は、自分が使っている証券会社のアプリがいちばん早いです。約定した値を表示しているので、取得時点も画面で分かります。
そして数字をAIに渡すときは、自分で確かめた値を貼り付けるのが基本です。聞くのではなく、渡す。これだけで原因1はほぼ消えます。
このステップ1は、証券口座のアプリがあるといちばん速く終わります。どこで開設するか迷っている方向けに、手数料・ツール・AIとの相性で比べた記事を用意しました。口座開設は無料で、スマートフォンから申し込めます。
STEP 2 業績の数字は、決算短信の本物を開く
売上や利益の数字は、会社が出した決算短信が正解です。AIの要約は、ここと突き合わせて使います。
決算短信は2か所で無料で読めます。会社のIRページと、東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)です。
TDnetには期限があります。日本取引所グループの説明では、開示情報が見られるのは開示日から31日間です。土日祝日も日数に入ります。
31日を過ぎた資料は、金融庁のEDINETか会社のIRページで探します。EDINETでは有価証券報告書や四半期報告書、大量保有報告書が公開されています。
突き合わせるときは、単位と期間を先に見てください。百万円か億円か、四半期か通期か、連結か単体か。AIが取り違えるのは、たいていこの4か所です。
STEP 3 日付は、決算発表予定日のページで確かめる
AIに「次の決算はいつ?」と聞くのも、原因1が出やすい質問です。予定は変わるからです。
日本取引所グループは「決算発表予定日」のページを無料で公開しています。3月期・9月期決算会社の翌営業日分を、毎営業日の午後5時ごろに更新しています。
同じページには注意書きもあります。載っていない会社が発表することもあり、予定が変わることもある、という趣旨です。最後は会社のIRカレンダーで確かめるのが確実です。
相場全体の日付なら、日本銀行の公表予定ページが使えます。2026年の金融政策決定会合は、10月29〜30日と12月17〜18日に開かれる予定です。
06優先順位は、古くなりやすい数字から確かめる
3ステップを全部やる時間がない日もあります。そのときは上から順に片付けてください。
そのうえで、AIに任せる仕事と自分でやる仕事を分けます。私はこの6つで線を引いています。
AIに任せていい3つ
- 長い資料を読んで、論点を並べる
- 自分が渡した数字を表に組み替える
- 次に調べる質問のリストを作る
自分でやる3つ
- 株価・指数・為替の値を取ってくる
- 業績の数字の単位と期間を見る
- 発表日を公式ページで確かめる
左側はAIが得意な作業です。読む量が多いほど、時間の差が大きくなります。
右側は、間違えたときに損につながる作業です。ここだけは自分の目を通します。
07次に見る日付は2つ、やめる線は3つです
毎日チェックする必要はありません。赤枠の日だけ、カレンダーに入れておけば十分です。
- 毎営業日
午後5時ごろ日本取引所グループの「決算発表予定日」が翌営業日分に更新されます - 2026年
10月29〜30日見る日①
日銀金融政策決定会合。相場全体の数字をAIに聞きたくなる日なので、値は公式ページで取る練習にちょうどいいタイミングです - 保有銘柄の
次の決算発表日見る日②
日本取引所グループのページか会社のIRカレンダーで調べて、今日のうちにカレンダーへ入れます - 2026年
11月10日10月の日銀会合の「主な意見」が公表される予定日 - 2026年
12月17〜18日年内最後の日銀金融政策決定会合
出典:日本取引所グループ「決算発表予定日」、日本銀行「金融政策決定会合の運営」(ともに2026年10月1日取得)
- 数字の出どころ(資料名・ページ)を聞いても出てこない
- 決算短信に書かれた数字と、1円でも違っている
- 「最新」と書いてあるのに、いつ時点の値かが書かれていない
3つのうち1つでも当てはまったら、その答えは捨てて公式資料に戻ります。直してもらうより、そのほうが速いです。
出どころを自己申告させるプロンプトを使う
原因3は、頼み方で防げます。私が決算短信を読ませるときに使っている形を置いておきます。
決算短信のPDFを添付するか、本文をコピーして貼り付けてから使ってください。
あなたは上場企業の開示資料を読む証券アナリストです。 添付(または下に貼り付けた)決算短信だけを読んでください。 【私が確かめた数字】 ・株価:(証券アプリで見た値)円(◯年◯月◯日 終値) ・確認先:(証券会社名 または 日経平均プロフィル) 【出してほしいもの】 1. 売上・営業利益・純利益・1株の稼ぎ(EPS)を表で 各数字の右に「資料の何ページ・どの行から取ったか」を必ず書く 2. 各数字の単位(百万円か億円か)と期間(四半期か通期か)を明記 3. 連結か単体かを明記 4. 会社の通期見通しに対する進み具合を%で(分母がどの数字かも書く) 5. 資料に書かれていない項目は「資料に記載なし」と書く 6. 次に答え合わせができる日付(資料に書かれている場合のみ) 渡したデータのみを使用し、書かれていない数字は推測しないこと。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力すること。
よくある質問
Q. 検索機能をオンにすれば、株価は正確になりますか?
A. 締め切りより後の情報を拾えるようになります。ただしOpenAIは「引用、データ、外部資料への参照はつねに検証してください」と案内しています。AIが拾ってきたページ自体が古い記事のこともあるので、いつ時点の値かを自分で見てください。
Q. 決算短信は、どこで無料で読めますか?
A. 会社のIRページと、東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)です。TDnetで見られるのは開示日から31日間(土日祝日を含む)です。それより前の資料は、金融庁のEDINETか会社のIRページで探します。
Q. AIの数字が1円だけ違うときは、どうすればいいですか?
A. 使いません。1円の差は、終値と始値、連結と単体、今期と前期のどれかを取り違えているサインです。差の大きさではなく、差があること自体を手がかりにして決算短信へ戻ってください。
まとめ:AIは読む係、数字を決めるのは資料です
私はAIに株価を聞くのをやめて、自分で取った値を渡す形に変えました。それだけで、答えの食い違いがほとんど出なくなりました。
今日やることは1つです。保有している銘柄の次の決算発表日を調べて、カレンダーに入れてください。所要時間は、だいたいお茶を1杯飲むあいだです。
\ 次はこれ! /
AI×株式投資テンバガー候補の探し方|AIプロンプト4本で「10倍株の型」から3社に絞る手順 »Udemy講座【ゼロから始めるAI投資】
この記事でやった「資料をAIに読ませて、数字を自分で裏取りする」手順を、ChatGPTとClaudeを操作しながら学べる動画講座です。
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OpenAIヘルプセンター「Does ChatGPT tell the truth?」(https://help.openai.com/en/articles/8313428-does-chatgpt-tell-the-truth)/日本経済新聞社「日経平均プロフィル」(https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index)/財経新聞「日経平均大引け:前日比1272.45円高の66753.72円」2026年9月30日(https://www.zaikei.co.jp/article/20260930/871782.html)/日本取引所グループ「TDnetの概要」(https://www.jpx.co.jp/equities/listing/disclosure/tdnet/index.html)/日本取引所グループ「決算発表予定日」(https://www.jpx.co.jp/listing/event-schedules/financial-announcement/index.html)/金融庁「EDINET」(https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/)/日本銀行「金融政策決定会合の運営」(https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/index.htm)
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資助言ではありません。AIの出力には誤りが含まれる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。


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