円安の影響の出し方|Claudeに決算資料から1円あたりの利益を計算させる手順

円安の影響の出し方|Claudeに決算資料から1円あたりの利益を計算させる手順

AIに聞いても一般論しか返らない人へ

円安って、結局いくら利益が増えるの?AIに聞いたら一般論だけ返ってきた

読む資料3ページ
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Claudeで逆算プロンプト4本
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出る答え1円=約262億円

「円安は輸出企業にプラスです」。この一文を、私も何回AIに返されたか分かりません。

知りたいのは向きではなく金額です。1円の円安で、持ち株の利益は何億円増えるのか。この記事では、会社の決算資料から「1円あたり○億円」を逆算する手順を、プロンプト4本と実際の出力で通しでお見せします。題材はトヨタ自動車の2027年3月期 第2四半期決算 説明資料(2026年11月5日公表)です。

この会社は1円あたりの金額を資料に書いていません。それでも、資料に載っている2つの数字を割り算するだけで出せます。読み終わったあと、手元の1銘柄で同じ計算が5分でできる状態を目指します。

この記事の位置づけ

こんな人に向けて書きました

  • 為替のニュースを見ても、持ち株にいくら効くのか分からない人
  • AIに為替の影響を聞いて、金額のない答えが返ってきた人
  • 決算資料を開いたけれど、どのページを見ればいいか迷っている人

読むと分かること

  • 「為替変動の影響額 ÷ 為替レートの差」で1円あたりの金額が出る、という式1本
  • 決算資料のどのページから、その2つの数字を拾うか
  • いまの実勢レートとの差を当てて、営業利益への上乗せ額を%まで出す手順

書かないこと

  • この会社を買うべきか、売るべきか
  • 株価がいくらになるか、円がこのあとどちらに動くか

01

目次

この記事の手順は、3行で終わります

1決算資料から2つの数字を抜く為替変動の影響額(通貨別)と、為替レートの差。どちらも決算説明資料に載っています
2割って「1円あたり」にする影響額 ÷ レート差。これで1円の円安が利益を何億円動かすかが出ます
3いまのレートとの差を掛ける想定レートと実勢レートの差を掛けて、通期の営業利益への上乗せ額と比率を出します
為替の影響額決算資料から
÷
レートの差決算資料から
=
1円あたりの金額これが欲しい答え
株ちゃんのアイコン株ちゃんのひとこと

為替の話は「円安だから有利」で止めると、持ち株の判断には使えません。億円に直すところまでやると、はじめて他の数字と並べて比べられます。

02

用意するものは、Claudeと決算資料3ページだけです

使うもの

AIClaude(Anthropic)この記事の出力は、2026年11月7日にClaudeで実行したものです。資料が長いときだけ、2回に分けて貼ります。
PDF決算説明資料会社のIR(投資家向け情報)ページで公開されています。使うのは3ページだけです。
¥いまの為替レート日付が書いてあるページで自分で調べます。AIに探させません。

資料のどこを開くか

決算説明資料のうち、見るのは次の3種類のページだけです。会社によってページ番号は違いますが、名前はだいたい同じです。

  • 連結決算要約のページ。実績の為替レートと、前年同期の為替レートが並んでいます
  • 営業利益の増減要因のページ。棒グラフで「為替変動の影響」が何億円かが出ています
  • 通期の見通しのページ。通期の想定為替レートと、営業利益の予想額が載っています

今回の資料では、6か月累計の要約が6ページ、増減要因が7ページ、通期の見通しが12ページでした(出典は記事末尾)。この3ページをPDFから切り出して、Claudeに貼ります。

03

手順1:資料の数字だけを抜き出させます

最初のプロンプトは、計算をさせません。資料に書いてある数字を、書いてあるまま表にさせるだけです。ここで推測を許すと、あとの計算が全部ずれます。

コピーして使うプロンプト 1

あなたは決算資料を読む補助役です。これから渡す決算説明資料のページから、次の4つだけを抜き出して表にしてください。推測や補完はせず、資料に書いてある数字だけを使ってください。書いていない項目は「記載なし」と書いてください。

1. 通期の想定為替レート(対米ドル)
2. 上期(6か月累計)の実績の為替レートと、その前年同期の為替レート(対米ドル)
3. 上期の営業利益の増減要因のうち「為替変動の影響」の金額と、その通貨別の内訳
4. 通期の営業利益の予想額

表には「どのページに書いてあったか」の列を付けてください。
最後に「この資料に1円あたりの為替感応度は書かれているか」を、はい/いいえで答えてください。

【資料】
(ここに決算説明資料の該当ページを貼る)
実際の出力

項目 資料の数字 ページ
通期の想定為替レート(対米ドル) 157円(前回見通し160円、3円の円高) 12
上期の実績レート(対米ドル) 159円 6
前年同期の為替レート(対米ドル) 146円(13円の円安) 6
上期「為替変動の影響」 +6,850億円 7
└ 輸出入等の外貨取引分 +5,900億円(米ドル+3,400/ユーロ+850/その他通貨+1,650) 7
└ 海外子会社の営業利益換算差ほか +950億円 7
通期の営業利益予想 39,000億円(3.9兆円) 12

1円あたりの為替感応度の記載:いいえ。この資料に、対米ドル1円あたりの営業利益の影響額は書かれていません。

Claude(2026年11月7日に実行)。入力した資料:トヨタ自動車「2027年3月期 第2四半期決算」説明資料(2026年11月5日公表)6・7・12ページ。2026年11月7日に取得

ここで「記載なし」が返ってきたのが、この記事の出発点です。会社が1円あたりの金額を出していないので、自分で逆算します。

04

手順2:割り算1回で「1円あたり」が出ます

使う数字は2つだけです。通貨別の内訳の米ドル分(+3,400億円)と、為替レートの差(13円)。合計の+6,850億円ではありません。理由は後ろの「うまくいかない時」で説明します。

コピーして使うプロンプト 2

さきほど抜き出した数字を使って、1円の円安が営業利益をいくら動かすかを逆算してください。条件は次の3つです。

・使う式は「為替変動の影響額 ÷ 為替レートの差 = 1円あたりの金額」
・通貨別の内訳があるときは、対米ドル分だけで計算する
・その金額が何か月分なのかを必ず書く

計算の途中式をすべて見せてから、結論を1行で書いてください。四捨五入した桁も書いてください。
実際の出力

途中式

1. 為替レートの差=159円−146円=13円(円安方向)
2. 対米ドル分の影響額=+3,400億円(上期6か月分)
3. 1円あたり=3,400億円 ÷ 13円=261.53…億円
4. 億円の小数第1位を四捨五入=約262億円

結論:対米ドルで1円の円安が、6か月で営業利益を約262億円押し上げる計算になります(上期実績からの逆算、億円単位で四捨五入)。

Claude(2026年11月7日に実行)。入力した数字は手順1で抜き出したもの。出典はトヨタ自動車「2027年3月期 第2四半期決算」説明資料(2026年11月5日公表)6・7ページ。2026年11月7日に取得

手順2の画面(入力したプロンプトと、返ってきた計算)

1円あたりの金額を逆算する作業のClaudeの画面

これが欲しかった1行です。「円安が追い風」ではなく、1円で約262億円。6か月分という単位も一緒に覚えます。

上期の「為替変動の影響」+6,850億円の中身(単位:億円)

米ドル +3,400億円 米ドル 3,400 ユーロ +850億円 ユーロ 850 その他通貨 +1,650億円 その他通貨 1,650 海外子会社の換算差ほか +950億円 海外子会社の 換算差ほか 950 計算に使う(米ドル) 使わない

出典:トヨタ自動車「2027年3月期 第2四半期決算」説明資料(2026年11月5日公表)7ページ。2026年11月7日に取得

05

手順3:いまのレートとの差を掛けて、%まで出します

ここで初めて外から数字を1つ持ってきます。いまの実勢レートは、自分で調べて日付つきで渡します。AIに探させると、古いレートや根拠のない数字が混ざります。

今回は1米ドル158.109円(2026年11月6日、OANDA。日足の始値と終値の平均)を使いました。会社の想定は157円なので、実勢のほうが円安です。

1円あたりの金額は、四捨五入する前の261.5億円をそのまま渡します。約262億円で計算しても結論は約0.7%で変わりませんが、途中の桁を揃えておくと数字が合わせやすくなります。

コピーして使うプロンプト 3

通期の想定為替レートと、いまの実勢レートの差を使って、通期の営業利益への上乗せ額を出してください。

・通期の想定為替レート:157円
・いまの実勢レート:158.109円(2026年11月6日時点)
・1円あたりの金額:261.5億円(6か月分)
・通期の営業利益予想:39,000億円

出す数字は3つです。
1. レートの差(円、小数第1位まで)
2. 上乗せ額(億円)と、それが何か月分か
3. 通期の営業利益予想に対する比率(%、小数第1位まで)

最後に、この計算が外れる条件を3つ挙げてください。
実際の出力

1. レートの差=158.109円−157円=1.109円 → 約1.1円の円安
2. 上乗せ額=261.5億円 × 1.109円=290.0億円 → 約290億円(6か月分)
3. 比率=290億円 ÷ 39,000億円=0.00743… → 約0.7%

この計算が外れる条件

① 下期の為替が想定より円高に戻った場合。差が縮むか、逆向きになります
② 会社が販売価格や仕入れを見直した場合。同じレートでも利益の動き方が変わります
③ 1円あたりの金額が上期実績からの逆算である点。会社が公表した感応度ではないため、実際の数字とずれます

Claude(2026年11月7日に実行)。入力した数字の出典:想定レート・営業利益予想はトヨタ自動車「2027年3月期 第2四半期決算」説明資料(2026年11月5日公表)12ページ。実勢レートはOANDA(2026年11月6日、158.109円)。いずれも2026年11月7日に取得

手順3の画面(レートの差から上乗せ額と比率を出したところ)

営業利益への上乗せ額を計算する作業のClaudeの画面

営業利益予想3.9兆円に対して約0.7%。「円安が追い風」の中身は、この資料の数字で計算するとこのくらいの大きさでした。大きいとも小さいとも言いませんが、ニュースの印象より小さいと感じた方は多いと思います。

157円会社の通期の想定レート
158.109円実勢(2026年11月6日)
約262億円1円あたり(6か月分)
約0.7%営業利益予想への上乗せ

06

手順4:あとで見返せるメモ1枚にして終わります

ここまでの数字を、6行のメモにして残します。次の決算で同じ計算をやり直すとき、前回の値がないと比べられません。

コピーして使うプロンプト 4

ここまでの計算を、あとで自分が見返せるメモ1枚にしてください。形式は次の6行だけです。余計な解説は書かないでください。

1行目:会社名と資料名、資料の日付
2行目:通期の想定為替レート
3行目:1円あたりの金額(何か月分かも書く)
4行目:いまの実勢レートと、その取得日
5行目:上乗せ額と、営業利益予想に対する比率
6行目:次にこの数字を見直す日。次の四半期決算の発表予定日が資料に書いてあればその日付、書いていなければ「会社のIRカレンダーで確認」と書く
実際の出力

1. トヨタ自動車/2027年3月期 第2四半期決算 説明資料/2026年11月5日
2. 通期の想定為替レート:1米ドル157円
3. 1円あたり:約262億円(6か月分・上期実績からの逆算)
4. 実勢レート:158.109円(2026年11月6日時点)
5. 上乗せ:約290億円/営業利益予想3.9兆円の約0.7%
6. 次に見直す日:会社のIRカレンダーで確認(この資料に次回発表予定日の記載なし)

Claude(2026年11月7日に実行)。数字の出典は手順1〜3と同じ

この6行をメモアプリに置いておけば、次の決算の日に想定レートだけ入れ替えて、同じ割り算をやり直せます。所要時間は2回目から3分ほどです。

07

うまくいかない時は、プロンプトの3か所を直します

最初にやった失敗:資料を渡さずに聞きました

最初は資料を貼らずに、こう聞いてしまいました。返ってきたのがこれです。

うまくいかなかったプロンプト

円安になるとトヨタの業績にはどんな影響がありますか?
うまくいかなかった出力

円安は一般に輸出企業の業績にプラスに働きます。海外で販売した車の売上を円に換算するときに金額が増えるためです。一方で、原材料や部品を輸入している分についてはコストが上昇します。したがって、円安が業績にどう効くかは、輸出と輸入のバランスによって決まります。

Claude(2026年11月7日に実行)

間違ったことは書いていません。でも金額がゼロです。持ち株の判断には1円も使えません。

直す前

円安になるとトヨタの業績にはどんな影響がありますか?

直したあと(3か所)

① 資料を貼る(決算説明資料の6・7・12ページ)
② 式を指定する(影響額 ÷ レート差)
③ 「推測せず資料の数字だけ」と書く

この3か所を足しただけで、手順1の表が返ってきました。AIを賢くする必要はなくて、渡す資料と式を決めるのが仕事でした。

よくある失敗3つ

1合計の金額で割ってしまう「為替変動の影響」の合計(+6,850億円)で割ると、1円あたりが約527億円に膨らみます。合計には海外子会社の換算差ほか(+950億円)など、為替レートの差だけでは説明できない分が混ざります。通貨別の内訳の米ドル分(+3,400億円)で割ります
26か月分を1年分として使う上期の資料から逆算した金額は6か月分です。そのまま通期の数字と並べると、効き方を小さく見積もります。プロンプトに「何か月分なのかを必ず書く」と入れておくと、AIが単位を落としません
3実勢レートをAIに探させる「いまのドル円は?」と聞くと、日付のはっきりしないレートが返ることがあります。レートは自分で調べて、日付と出どころを付けて渡します。渡す数字が1つ増えるだけで、答えの再現性が変わります

会社が1円あたりの感応度を資料に書いている場合は、逆算よりそちらを使ってください。この手順は「書いていない会社でも出せる」ための代わりの道です。

08

AIに任せてはいけないのは、ここから先です

やめる線

  • 1円あたりの金額を「会社が出した感応度」として扱うこと。これは上期実績からの逆算です。会社の公表値ではありません
  • 利益の上乗せ額から、株価がいくらになるかを計算させること。利益と株価の間には人気度(PER)が入ります
  • 買う・売るの判断をAIに決めさせること。出した数字は、他の数字と並べて自分で判断するための材料です

私はこの計算を「為替のニュースを見たときに動揺しないため」に使っています。約0.7%と分かっていれば、円が1円動いた日のニュースで持ち株を触らなくなります。

09

次にやる作業

為替の次は、同じ決算資料から別の数字を出す作業です。資料を1回落としたら、まとめてやってしまうと早く終わります。

FAQ

よくある質問

重い処理が必要ですか?
計算そのものは割り算1回と掛け算1回なので、重い処理はありません。資料のページ数が多いと1回で貼りきれないことがあるので、そのときは手順1の資料だけを2回に分けて貼ってください。使えるプランや添付できるファイルの条件は変わることがあるので、使う前に公式の料金ページで確認してください。
会社が1円あたりの感応度を公表していたら、どちらを使いますか?
会社の公表値を使ってください。会社は自社の輸出入の金額と通貨の内訳を持っているので、精度が違います。この記事の逆算は、公表していない会社でも手を止めないための代わりの方法です。公表値がある場合は、手順2を飛ばして手順3から始められます。
円高のときも同じ計算でいいですか?
同じ式が使えます。実勢レートが想定より円高なら、レートの差がマイナスになり、上乗せ額もマイナスで出ます。符号が変わるだけで、割り算と掛け算の形は変わりません。ただし会社が価格や仕入れを見直すと効き方が変わるので、次の決算で1円あたりの金額を出し直してください。

SUMMARY

まとめ

1式は1本だけ為替変動の影響額 ÷ 為替レートの差 = 1円あたりの金額。割り算1回で出ます
2割る相手は通貨別の内訳合計ではなく米ドル分を使います。今回は+3,400億円 ÷ 13円=約262億円(6か月分)でした
3実勢レートは自分で渡す日付と出どころを付けて渡します。今回は158.109円(2026年11月6日)で、上乗せは約290億円・約0.7%でした

手元の1銘柄で、まずは「1円あたり○億円」を1つ出してみてください。出たら6行のメモにして、次の決算発表の日に同じ割り算をやり直す。この2つを決めておけば、円が1円動いた日に持ち株を触らなくなります。

この記事の手順を、動画で通しでやる講座

ChatGPT・Claudeで学ぶ株式投資分析 応用講座

決算資料から数字を抜き出してAIに計算させる作業は、講座のセクション「決算資料をAIに読ませる」で、画面を録りながら最初から最後まで通しでやっています。

講座の中身を見る(Udemy)

どの講座が合うか3問で診断する

株ちゃんのアイコン
株ちゃん投資情報 管理人。AIで投資の作業を手順にして、自作のスキルとアプリで毎日回しています。YouTube登録者12,000人

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SOURCE

出典

  • トヨタ自動車株式会社「2027年3月期 第2四半期決算」説明資料(2026年11月5日公表)6・7・12ページ。global.toyota 2026年11月7日に取得
  • OANDA「2026年11月6日のUSD/JPY(米ドル/日本円)為替レート」158.109円(同ページの記載により、日足の始値と終値の平均で算出)。oanda.jp 2026年11月7日に取得
  • Claudeの出力はすべて2026年11月7日に実行したもの

この記事は、AIを使った作業の手順を紹介するものです。特定の銘柄の売買を勧めるものではなく、投資助言にも当たりません。記事に出てくる会社名と数字は、手順を説明するための例として扱っています。投資の判断は、ご自身で資料を確認したうえで行ってください。

また、AIの出力には誤りが含まれることがあります。記事に載せた出力も、数字の出どころを資料で確かめたうえで使ってください。AIが出した数値をそのまま判断に使わないようお願いします。

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