配当が高い会社を見つけた。でも、その配当は続くの?
配当利回りが高い会社を見つけて、ChatGPTやClaudeに「この株どう思う?」と聞いたことはありませんか。返ってくるのは「配当性向に注意しましょう」「業績の安定性を確認しましょう」という、どの会社にも当てはまる文章だと思います。
この記事では、決算短信の1ページ目にある4つの数字だけをClaudeに渡して、配当が続きそうかを項目ごとに〇△×で判定させる手順を書きます。私が2026年11月2日に実際に回したプロンプトと、そのときの出力をそのまま載せています。
読み終わると、候補の会社を1社5分で判定する表が手元に残ります。
こんな人に向けて書きました
- 配当利回りの高い会社を見つけたけれど、減配が怖くて手が止まっている人
- AIに銘柄のことを聞くと、教科書みたいな答えしか返ってこない人
- 決算短信を開いたことはあるけれど、どの行を見ればいいか分からない人
読むと分かること
- Claudeに判定表を作らせるプロンプト(コピーしてそのまま使えます)
- 決算短信のサマリーから写す4つの数字と、その見る場所
- 1社ぶんの判定にかかる時間の目安は5分です
書かないこと
- どの銘柄を買うか、売るか
- 将来の株価や配当利回りの予想
- 記事で例に使った会社の、投資としての評価
この記事の手順を1行ずつで言うと
AIに「どう思う?」と聞くと一般論が返ります。先に判定表を作らせて、次にその表へ数字を入れる。この2段に分けるだけで、答えが自分の会社の話になります。
01
使う道具はClaudeの無料プランと、決算短信の1ページ目だけです
準備するものは3つです。
| 用意するもの | 中身 |
|---|---|
| Claude | 無料プランで足ります。文章のやりとりだけで、ファイルの読み込みは使いません(Anthropic公式の料金ページ・2026年11月2日確認) |
| 決算短信 | 調べたい会社の最新の決算短信。1ページ目のサマリーだけ使います |
| 業種の名前 | 「リース」「食品」など。これを書かないと判定がずれます(理由は04章) |
決算短信はどこで手に入りますか
会社の公式サイトのIR情報のページか、日本取引所グループの適時開示情報閲覧サービス(TDnet)で読めます。どちらも無料です。
この記事では例として、三菱HCキャピタル株式会社(8593)の決算短信を使います。手順を見せるための例で、買う・買わないの話ではありません。
02
まずClaudeに「見る場所と合格ライン」の判定表を作らせます
いきなり会社の数字を渡してはいけません。先に、ものさしを作らせます。
あなたは配当を出す会社の財務を確認する担当者です。 高配当株の候補を「配当が続きそうか」で絞るための判定表を作ってください。 条件: - 決算短信の1ページ目(サマリー)だけで確認できる項目にする - 項目は4つまで - 各項目に「見る場所」「合格ライン」「不合格のときに起きていること」を書く - 業種によって合格ラインが変わる項目には、その業種名を書く - 表の形で出し、最後に注意点を3行で書く 渡したデータのみを使用し、売買の推奨ではなく 判断材料の整理として出力してください。
実際の出力 / Claude(2026年11月2日に実行)
| 見る項目 | 見る場所と合格ライン | 不合格のとき起きていること |
|---|---|---|
| 配当性向(実績) | 「配当の状況」の配当性向。30〜50% | 80%を超えると、利益のほとんどを配当に回している |
| 配当性向(来期予想) | 同じ表の予想の行。実績と同じか下がれば〇、+1〜+10ポイントなら△ | +10ポイントを超えると不合格。利益が減る前提で配当を据え置いている |
| 1株当たり当期純利益(来期予想) | 「連結業績予想」の行。前期の実績以上 | 配当の元になる稼ぎが減る。配当性向だけ上がる |
| 自己資本比率 | 「連結財政状態」の行。製造業・小売は40%以上、リース・銀行・保険・不動産は10%以上 | 借入に頼っている。金利が上がると配当より返済が先になる |
注意点:〇は手を止めない、△は次の決算でもう一度見る、×は候補から外す、という使い方をしてください。配当利回りは株価で毎日変わるので、この4つには入れていません。会社が配当方針(「配当性向40%を目安」など)を公表していれば、それを合格ラインに差し替えてください。4つが全部〇でも、減配しない保証にはなりません。
ここで大事なのは、合格ラインをAIに先に言わせておくことです。数字を渡した後で基準を作らせると、目の前の会社に合わせた甘い基準が出てきます。
03
決算短信から4つの数字を写して、表に当てはめさせます
決算短信の1ページ目から写すのは、次の4つです。
出典:三菱HCキャピタル株式会社「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月15日開示)、同「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月7日開示)。2026年11月2日に確認。
次の数字は、決算短信のサマリーから写したものです。 さきほどの判定表に当てはめて、項目ごとに〇/△/×で判定してください。 会社:三菱HCキャピタル(8593)/業種:リース(金融) ・1株当たり年間配当金 実績46円00銭 → 予想51円00銭 ・1株当たり当期純利益 実績112円98銭 → 予想111円43銭 ・配当性向 実績40.7% → 予想45.8% ・自己資本比率 15.2% → 15.1% ・第1四半期の純利益 316億900万円(前年同期比 −44.8%)/通期予想 1,600億円 ルール: - 計算した数字は式も書く - 渡した数字に無いことは「データなし」と書き、推測しない - 業種の特性で合格ラインが変わる項目は、その理由を1行で書く - 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力する
Claude(2026年11月2日に実行)の出力を、記事用に見やすく並べ直したものです。数字は出典の決算短信から写しています。
出力の中身を1つずつ見ます
配当性向の実績は40.7%でした。式は46円00銭 ÷ 112円98銭 = 40.7%です。合格ラインの30〜50%に入っています。
来期の予想は45.8%です。式は51円00銭 ÷ 111円43銭 = 45.8%。実績から+5.1ポイント上がるので、判定は△になりました。
上がった理由は、2つの数字が逆を向いているからです。配当は46円00銭から51円00銭へ+5円00銭(+10.9%)。1株の稼ぎは112円98銭から111円43銭へ−1円55銭(−1.4%)。配当を増やしながら、稼ぎは減る予想です。
配当と1株の稼ぎが逆を向いた結果、配当性向が上がる
出典:三菱HCキャピタル株式会社「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月15日開示)。2026年11月2日に確認。棒の高さは0からの比例で、左と右で目盛りが違います。
自己資本比率は15.1%でした。製造業なら低すぎる数字ですが、リースは資産を借入でまかなう商売です。ここは業種を書いたので、Claudeも「製造業の40%とは比べません」と答えています。
4項目の下に、参考として第1四半期の進捗も出ました。式は316億900万円 ÷ 1,600億円 = 19.8%。1年を4で割った25%より低い数字です。
04
一般論しか返らないときは、見る資料と列の名前を指定します
同じことを雑に聞くと、こうなります。
高配当株の選び方を教えて
実際の出力 / Claude(2026年11月2日に実行・抜粋)
高配当株を選ぶときは、次の点に注意しましょう。
1. 配当利回りの高さだけで判断しない
2. 配当性向が高すぎないか確認する
3. 業績が安定しているか確認する
4. 財務の健全性を確認する
5. 連続増配の実績があるか見る
いずれも長期的な視点で判断することが大切です。
間違ってはいません。でも「どの資料の、どの行を、いくつなら合格か」が1つも書いていないので、明日の作業が1ミリも進みません。
1本目のプロンプトとの違いは3か所です。
よくある失敗3つと、直し方
業種を書かずに自己資本比率15.1%を渡すと、「財務が弱い」と判定されます。リース・銀行・保険・不動産は、この数字が低いのが普通です。
直し方:会社名の後ろに「/業種:リース(金融)」と1行足します。
株価や配当利回りを一緒に渡すと、AIが「割安」「狙える水準」といった売買の話を始めます。
直し方:株価は渡しません。配当金・1株の稼ぎ・配当性向・自己資本比率の4つだけにします。
数字を貼るだけだと、計算結果しか返らず、合っているか確かめられません。
直し方:「計算した数字は式も書く」の1行を入れます。これで46 ÷ 112.98 = 40.7%まで出るので、電卓で検算できます。
05
合格ラインの決定と、最後の買う・買わないはAIに渡しません
- 合格ラインそのものを信じきること。AIが出した30〜50%は一般的な目安で、会社が公表している配当方針が優先です
- 数字の転記。決算短信から写すのは自分の手でやり、写し間違いがないか1回だけ見直します
- 買う・買わないの判断。この手順で出るのは〇△×の4項目だけで、結論ではありません
私はこの判定を、候補を3社くらいに減らすための足切りに使っています。〇が多い会社をさらに調べる、という順番です。
06
次は、絞った会社の目標株価をEPS×PERで出します
配当が続きそうかで候補を減らしたら、次は1社ずつ中身を見ます。同じ柱の記事を2本置いておきます。
FAQ
よくある質問に3つ答えます
ChatGPTやGeminiでも同じことができますか
できます。この記事のプロンプトはツールに依存していません。私がClaudeで回した出力を載せているので、文面や表の形は変わります。
配当利回りはどこで見ればいいですか
証券会社のアプリや会社四季報で見られます。ただし株価で毎日変わるので、この判定表には入れていません。利回りは「候補を探すとき」に使い、続くかどうかは短信の4つの数字で見ます。
1社あたりどれくらい時間がかかりますか
決算短信のサマリーから4つの数字を写すのに3分、Claudeの返答を読むのに2分で、合わせて5分くらいです。判定表は1回作れば使い回せます。
SUMMARY
この記事でやったことは3つです
例に使った三菱HCキャピタルでは、4項目のうち〇が2つ、△が1つ、×が1つでした。配当が+10.9%増える予想の裏で、1株の稼ぎは−1.4%になる予想です。この2つが逆を向いているかどうかを、まず見てください。
私も昔は「この株どう?」とAIに聞いていました。返ってくるのは、どの会社にも当てはまる文章でした。表を作らせてから数字を入れる。順番を変えただけで、同じAIが別人のように答えます。
この記事の手順を、動画で通しでやる講座
ChatGPT・Claudeではじめる株式投資 応用講座(Udemy)
この記事の「判定表を作らせてから数字を入れる」2段の組み立ては、講座のプロンプト設計のセクションで、画面を映しながら通しで実演しています。
講座の中身を見る(Udemy) どの講座が合うか3問で診断する出典
この記事で使った数字の出どころ
・三菱HCキャピタル株式会社「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月15日開示)。1株当たり年間配当金46円00銭、1株当たり当期純利益112円98銭、配当性向40.7%、自己資本比率15.2%、2027年3月期の配当予想51円00銭・1株当たり当期純利益予想111円43銭・配当性向予想45.8%。2026年11月2日に確認
・三菱HCキャピタル株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月7日開示)。第1四半期の親会社株主に帰属する四半期純利益316億900万円(前年同四半期比 −44.8%)、自己資本比率15.1%、通期予想1,600億円。2026年11月2日に確認
・Anthropic「Claude 料金プラン」https://claude.com/pricing。無料プラン(Free)の提供を2026年11月2日に確認
・記事内のClaudeの出力は、いずれも2026年11月2日に私が実行したものです
※この記事は投資助言ではありません。特定の銘柄の売買を勧めるものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。記事で取り上げた会社は、手順を説明するための例です。
※AIの出力には誤りが含まれることがあります。数字は必ず決算短信などの一次資料でご自身で確認してください。

