「木曜まで戻して、金曜に全部返した。JX金属の今週は、まさに”往って来い”だった。」
2026年7月第4週(7/21〜7/24)、JX金属(5016)は週末終値3,770円(金曜は−176円・−4.46%)。週前半の続伸で3,900円台まで戻したものの、GoogleとテスラのAI決算をきっかけに世界の半導体株が急落し、金曜に振り出しへ戻されました。この記事では今週の値動きを振り返りながら、「業績は絶好調なのに、なぜ株は売られたのか」を分かりやすく整理し、FOMC・日銀が控える来週の見通しまでまとめます。
まず結論:業績×設備投資は追い風。売られた理由は「金利」と「投資回収への不安」
1 JX金属は週間ほぼ往って来いの3,770円。三角持ち合いは崩れておらず、方向は依然未確定
2 Google・テスラ決算の共通点は「稼ぐ以上にAIへ投資」。設備投資の拡大は素材のJXに中長期の追い風
3 短期の敵は金利上昇。来週はFOMC・日銀・巨大テック決算が集中するイベント週で、荒れる前提で構える
※本記事は2026年7月25日時点のチャート・公開情報・各社発表に基づく個人的な整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価・指標は変動するため、最新値は必ずご自身でご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
PART 1 今週のJX金属──3,900円台まで戻して、金曜に往って来い
──2026年7月21日〜24日
このパートの要点:週前半は続伸して木曜に3,946円まで回復。しかし金曜に−4.46%の急反落で3,770円へ。三角持ち合いの内側での往復にとどまり、方向はまだ出ていない。
JX金属(5016)2026/7/24 週末終値
3,770円
金曜 前日比 −176円(−4.46%)/週間ではほぼ横ばい
金曜 始値3,876・高値3,934・安値3,707/25日線3,839・75日線4,027/RSI 45前後
今週の流れを追うと、火曜・水曜と続伸して水曜終値は3,771円(+2.89%)。木曜には3,946円まで戻し、心理的節目の4,000円と75日移動平均線(4,027円近辺)まであと一歩に迫りました。ところが金曜、後述する米国発の急落を受けて−4.46%。25日線(3,839円近辺)も割り込み、結局は週初の水準へ逆戻りです。
ただし、チャートの大きな構図は変わっていません。5月高値5,828円から切り下がる上値抵抗線と、2025年から続く長期上昇トレンドラインが作る三角持ち合いの内側での往復であり、金曜安値3,707円でも下限のトレンドラインは維持。RSIも45前後の中立圏で、「上にも下にも放れていない」のが今週の結論です。
そしてもう一つ、今週は会社側から見逃せない発表がありました。JX金属は韓国JX金属において、半導体用スパッタリングターゲットの加工能力を約40億円の設備投資で2025年度比約2倍に引き上げると発表。スパッタリングターゲットは半導体の配線形成に使う中核材料で、後述する巨大テックの投資拡大を、素材メーカーの現場が能力増強で受け止めにいく動きです。株価が需給で往復する裏で、事業は着実に前へ進んでいます。
PART 2 Google決算を分かりやすく──絶好調なのに、史上初のFCFマイナス
──Alphabet 2026年4-6月期
このパートの要点:売上・利益とも文句なしの好決算。それでも売られたのは、AI設備投資の年間計画を約2,000億ドル規模へ引き上げ、稼ぐ現金より投資が上回る「FCFマイナス」に踏み込んだから。
数字だけ見れば、完璧な決算でした。
・総売上1,198億ドル(前年比+24%)、12四半期連続の2桁成長
・Google Cloudは248億ドルで+82%と急加速。受注残(RPO)は約4,881億ドル超
・Gemini EnterpriseはFortune 100企業の約9割が採用、GeminiアプリはMAU9.5億人
・営業利益407.7億ドル(+30%)・営業利益率34%、EPSは9.11ドル(+294%)
それでも株は売られました。理由は業績ではなく設備投資(CapEx)です。GoogleはAIインフラ投資の年間計画を1,950〜2,050億ドルへ引き上げました。日本円で約30兆円規模。その結果、史上初めてフリーキャッシュフロー(FCF)がマイナスに転じています。
PART 3 テスラ決算を分かりやすく──売上は過去最高、利益はAI投資で急減
──Tesla 2026年4-6月期
このパートの要点:売上282億ドルで過去最高。しかし設備投資が前年の2.4倍に膨らみ、営業利益は−57%、FCFは約2年ぶりの赤字。Googleと同じ「稼ぐ以上に投資」の構図。
282.4億ドル(+26%)で四半期の過去最高。納車48.0万台(+25%)、エネルギー貯蔵13.5GWh(+41%)も過去最高級で、市場予想を約27億ドル上回った。
営業利益3.98億ドル(−57%)・営業利益率1.4%。調整後EPS0.33ドルは予想0.49ドルを大幅未達。株価は決算後、時間外まで含めて下落した。
設備投資57.9億ドルで前年の2.4倍。FCFは約2年ぶりの赤字(−10.9億ドル)。通期の設備投資は250億ドル超の計画で、自動運転・ロボットなどAI領域へ全力投資中。
お気づきでしょうか。GoogleとテスラはEV・広告と本業こそ違えど、「目先の利益や現金を削ってでも、AIインフラに過去最大級の投資をする」という同じ判断をしています。株主目線では短期的に不安。しかしサプライヤー目線では、これほど確度の高い需要の裏付けはありません。半導体を作れば作るほど必要になる材料——JX金属のスパッタリングターゲットは、まさにその川上に位置します。
PART 4 金曜の急落を分解する──「金利上昇」がAI株の重石になった
──日経平均は−1,811円の64,611円
このパートの要点:木曜のNYはダウ−506ドル・ナスダック−553。AI過剰投資懸念に加え、堅調な雇用指標でFRBの年内「利上げ」観測が上昇。中東緊迫の原油高も重なり、金曜の東京は全面安に。
金曜の日経平均は1,811円安の64,611円と大幅反落。半導体・AI関連が売りの中心で、韓国KOSPIも一時6%を超える急落となりました。引き金は木曜の米国市場です。ダウは506ドル安、ナスダックは553ポイント安。Google・テスラ決算でAI過剰投資懸念が再燃したところに、堅調な雇用関連指標でFRBが年内に「利上げ」へ動く確率が上昇し、さらに中東情勢の緊迫で原油まで急騰。悪材料が三重に重なりました。金曜のNYでも半導体指数は一時3%超安、メモリ関連ではサンディスクが8%超、マイクロンやSKハイニックスが6%超下げるなど、AI周辺の下げが目立っています。
金利上昇がなぜAI株に効くのか。理屈はシンプルで、金利が上がるほど「遠い将来の利益」の現在価値が割り引かれるからです。AI投資は回収が数年先。その「数年先」の価値が、金利上昇とインフレで目減りして見える。だからこそ、FCFをマイナスにしてまで投資を積み増すというニュースが、金利上昇局面ではいつも以上に警戒されたわけです。半導体ブル3倍ETFのSOXLが7月の高値約300ドルから足元136ドル台まで急落しているのは、この巻き戻しの激しさを象徴しています。
PART 5 来週の見通し──FOMC・日銀・巨大テック決算が一週間に集中
──7月27日〜31日
このパートの要点:水曜FOMC+マイクロソフト・メタ決算、木曜アップル・アマゾン決算と米GDP、金曜は日銀会合の結果と展望レポート。方向が決まるとすれば、この一週間の可能性が高い。
7/29(水):FOMC政策金利発表・FRB議長会見(年内利上げを示唆するかが最大の焦点)/マイクロソフト・メタ・アーム・クアルコム決算/国内は日立製作所など
7/30(木):アップル・アマゾン決算/米4-6月期GDP速報・PCEデフレーター/日銀会合初日/東京エレクトロン決算
7/31(金):日銀会合の結果発表・展望レポート・総裁会見/キオクシア決算/東京都区部CPI/月末最終売買日
ポイントは2つ。1つ目は「設備投資の答え合わせ」。マイクロソフト・メタ・アマゾンがGoogle同様にCapExを積み増すなら、AIインフラ需要の裏付けはさらに厚くなります。素材・電力側には追い風、ただし発表直後は「過剰投資」と受け止められて売られる展開も今週と同様にあり得ます。2つ目は「金利の答え合わせ」。FOMCが利上げに前のめりなら短期は逆風、日銀の展望レポート次第では円金利と為替も動きます。市場では来週の日経平均を62,000〜66,000円と広めに見るレンジ予想も出ており、上下どちらにも振れる前提で構えるべき一週間です。
JX金属に引き付けると、注目水準は明確です。上は25日線(3,839円近辺)を回復できるか、その先の4,000円と75日線(4,027円近辺)の壁。下は金曜安値3,707円と長期上昇トレンドライン。三角持ち合いの先端が近づくなか、このイベント週が放れのきっかけになる可能性は十分あります。私自身は、7/22に実行した段階買いの第1弾から動いていません。第2弾は、8月上旬に控える同社の四半期決算とイベント通過後の株価水準を見てから判断する計画で、「高ければ減らす・安ければ条件を再点検する」という条件分岐をあらかじめ決めています。予想で動かず、計画で動く。それだけです。
📊 イベント通過後に「自分ならいくらで買うか」を数字で決めたい方は、EPS×PER目標株価計算機(無料)をどうぞ。弱気・基本・強気の3シナリオで水準の目安を作れます。
まとめ:需要は本物、値動きは荒い。だから計画で守る
① JX金属は週間往って来いの3,770円。三角持ち合い継続で、25日線と4,000円・75日線が上値、トレンドラインが下値の目安
② Google(CapEx約2,000億ドル計画・史上初FCFマイナス)もテスラ(投資2.4倍でFCF赤字)も「稼ぐ以上にAIへ投資」。この投資は素材メーカーの受注に流れ込み、JX自身も韓国で能力2倍の増強を決めた
③ 短期の重石は金利上昇と回収不安。来週はFOMC・日銀・巨大テック決算が集中し、方向が出やすい一週間。買い増しも撤退も、条件は先に決めておく
今週のような「業績は良いのに株が下がる」局面は、初心者の方ほど混乱すると思います。でも整理すればシンプルです。長期の需要(AI設備投資)と、短期の需給(金利・持ち高調整)は、別々に動く。長期の前提が崩れていないなら計画を続け、短期の乱高下には撤退線とキャッシュで備える。かつて−80%を経験した私が学んだのは、この2つを混ぜないことでした。来週も、予想ではなく計画で臨みます。
需要を疑う前に、決算の中身を見る。
値動きに怯える前に、自分の計画を見る。
イベント週こそ、ルールが資産を守る。
株ちゃん
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注意
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
