結論から言うと、変わっていません。会社が銅を売る値段も、会社が出している今期の利益予想も、この8営業日で一度も動いていないんです。動いていたのはPER、つまり「同じ利益にいくら払うか」のほうだけでした。今日はそこを分けて見ていきます。
✅ この記事の結論(先に要点だけ)
- 1日経平均は65,270.95円(+128.17円・+0.20%)で3日ぶり反発。ただし中身は総入れ替えで、非鉄金属が−3.63%の下落率トップ、証券・商品先物取引業+2.45%と銀行業+1.95%が上位に来ました
- 2JX金属は3,812円(−2.48%)。電気銅建値は9月7日改定の1トン235万円のまま3営業日据え置きです。稼ぐ前提が動いていないのに、PERだけが24.8倍→26.3倍→25.7倍と往復しました
- 3私はこのPERの往復を売買の根拠にしません。動くのは分母(会社の利益)が変わる日で、次の機会は2026年11月の第2四半期決算です
PART1 2026年9月10日の相場全体感と主要ニュース
まず今日の数字を並べます。朝の時点では悪い材料が揃っていました。シカゴ日経平均先物は64,175円(前日比−1,085円)で、1,000円級の下落から始まってもおかしくない位置です。それが引けてみれば128円高の高値引けでした。
📊 2026年9月10日の株価ハイライト
| 指標 | 終値 | 前日比 | 取得時点・出典 |
|---|---|---|---|
| 日経平均 | 65,270.95円 | +128.17円(+0.20%) | 9月10日大引け・フィスコ |
| TOPIX | 4,054.58pt | +7.94pt(+0.20%) | 9月10日大引け・フィスコ |
| プライム売買代金 | 8兆3,803億円 | 売買高21億6,817万株 | 9月10日大引け・フィスコ |
| NYダウ | 52,380.66ドル | −405.41ドル(−0.77%) | 9月9日終値・フィスコ |
| ナスダック総合 | 26,253.33 | −168.07(−0.64%) | 9月9日終値・フィスコ |
| SOX指数 | 11,931.32 | +43.45(+0.37%) | 9月9日終値・株探US日足 |
| JX金属(5016) | 3,812円 | −97円(−2.48%) | 9月10日大引け・野村證券 |
| WTI原油 | 97.03ドル | +1.02% | 9月9日・フィスコ |
※JX金属の日中値は始値3,870円(09:00)・高値3,938円(09:03)・安値3,738円(10:37)・出来高16,408,600株・売買代金625億9,800万円(出典: 野村證券 2026年9月10日15:30時点)
動いたセクター:資金が前日と真逆に流れた日
今日は指数の数字より、業種別の並びのほうがずっと雄弁でした。上昇16業種・下落17業種と、ほぼ半々。ところが上下の顔ぶれが、前日とまるっきり入れ替わっているんです。
| 上昇率上位 | 騰落率 | 下落率上位 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| 証券・商品先物取引業 | +2.45% | 非鉄金属 | −3.63% |
| サービス業 | +2.14% | その他製品 | −2.81% |
| 銀行業 | +1.95% | 建設業 | −2.33% |
| 保険業 | +1.20% | 機械 | −1.32% |
| 鉄鋼 | +0.94% | ガラス・土石製品 | −1.28% |
出典: 東証業種別ランキング(フィスコ配信、2026年9月10日大引け時点)
前日の9月9日は、非鉄金属が+6.88%で33業種の上昇率トップでした。それが翌日には−3.63%で下落率トップです。1営業日で首位と最下位が入れ替わりました。逆に9月9日に−2.31%で下落率トップだった証券・商品先物取引業が、今日は+2.45%で上昇率トップ。きれいに裏返っています。
この並びは、金利が上がった日の典型です。証券・銀行・保険は、金利が上がると運用や貸出の利ざやが広がりやすい業種。一方の非鉄金属や機械は、資金調達コストと将来利益の割引率の両方が重くなります。
今日の主要ニュース
- 1TSMCの8月売上高が過去最高。5,148億台湾ドル(約163億5,000万米ドル)で前年同月比+53.3%、前月比+10.1%。1〜8月累計は3兆3,800億台湾ドルで前年同期比+39.3%(2026年9月10日発表・出典: Investing.com)
- 2米10年債利回りが一時4.85%台へ上昇。2023年11月以来の高水準です(2026年9月9日海外市場・出典: 外為どっとコム 9月10日配信)
- 3米財務省の国債買い戻しが期待未満。買い戻し規模は最大60億ドルで、増額そのものは発表されたものの市場の期待に届かず、長期金利上昇の引き金になりました(同上)
- 4原油高が続く。WTI原油が97.03ドル(+1.02%)、北海ブレント原油先物は一時1バレル100ドルを突破しました(2026年9月9日・出典: フィスコ、外為どっとコム)
- 5SOX指数は3日続伸。NYダウ−0.77%・ナスダック−0.64%と主要指数が下げるなかで、SOX指数だけが11,931.32(+0.37%)と上げています(2026年9月9日終値・出典: 株探US日足)
ここで注意したいのが、1番目と5番目のニュースです。TSMCの月次で+53.3%というのは、AIチップの受託生産が実際に積み上がっている証拠ですし、SOXも3日続けて上げています。にもかかわらず、JX金属が属する非鉄金属は下落率トップでした。この食い違いを、次のPARTで掘ります。
PART2 建値が3日動いていないのに、株価だけが往復した理由
今日はバリュエーション、つまりPERの話をします。といっても「25倍だから割安/割高」という話ではありません。PERを分母と分子に割って、この8営業日でどちらが動いたのかを確かめるという作業です。
まず、8営業日の並びを見てください
| 日付 | JX金属 終値 | 前日比 | PER(自前試算) |
|---|---|---|---|
| 9月1日 | 3,842円 | +1.85% | 25.9倍 |
| 9月2日 | 3,660円 | −4.73% | 24.6倍 |
| 9月3日 | 3,534円 | −3.44% | 23.8倍 |
| 9月4日 | 3,619円 | +2.41% | 24.4倍 |
| 9月7日 | 3,685円 | +1.82% | 24.8倍 |
| 9月8日 | 3,726円 | +1.11% | 25.1倍 |
| 9月9日 | 3,909円 | +4.91% | 26.3倍 |
| 9月10日 | 3,812円 | −2.48% | 25.7倍 |
出典: 終値はYahoo!ファイナンス株価時系列(9月1日〜9月9日)および野村證券(9月10日15:30時点)。PERは「株価÷1株あたり利益」の自前試算で、会社予想の当期純利益1,410億円(2026年8月6日発表の通期修正値)と発行済株式数約9億4,918万株から求めたEPS約148.6円を使っています
8営業日の始点が3,842円、終点が3,812円。差は30円、率にして−0.78%です。ところが1日あたりの値動きを絶対値で平均すると2.84%あります。足し算すると動いていないのに、毎日は動いている。これが今のJX金属の姿です。
途中では、9月3日の3,534円から9月9日の3,909円まで4営業日で375円(+10.61%)上がっています。その上げ幅の4分の1強を、今日1日で返した形です。
なぜ5回:建値が据え置きなのに、PERが往復したのはなぜか
深掘りの対象は1本に絞ります。「電気銅建値が9月7日から3営業日据え置きなのに、JX金属の株価が+6.08%から−2.48%まで往復したのはなぜか」。ここを5段で掘ります。事実と推測は毎回はっきり分けます。
- 1 Why1 分母は動いていない【事実】 会社予想の当期純利益1,410億円は、2026年8月6日の上方修正で置かれた数字です。それ以降、修正のリリースは出ていません。直近のリリースは9月8日の「台湾日鉱金属における風力由来電力の導入について」で、業績予想に触れる内容ではありません(出典: JX金属ニュースリリース一覧、2026年9月10日確認)。つまりPERの分母は、この8営業日で1円も動いていないんです。
- 2 Why2 稼ぐ前提も動いていない【事実】 JX金属が公表している電気銅建値は、2026年9月7日改定の1トン2,350,000円のまま、9月10日時点も据え置きです(出典: JX金属「銅建値」ページ、2026年9月10日確認)。会社の通期前提は1ドル159円・LME銅604セント。1トン=2,204.62ポンドで換算すると、前提の円建て価格は約2,117,000円です。実際の建値235万円は、これを約11.0%うわ回っています。この上振れ幅は、9月7日から今日まで3営業日ずっと同じ数字です。
- 3 Why3 なのに株価は6.08%上げて2.48%戻した【事実】 9月7日の3,685円から9月9日の3,909円まで+224円(+6.08%)。そこから今日3,812円へ−97円(−2.48%)。PERに直すと24.8倍→26.3倍→25.7倍です。分母も稼ぐ前提も固定されている以上、この間に動いたのはPERだけということになります。言い換えると「同じ1,410億円の利益に、市場がいくら払うか」の値札だけが上下していました。
- 4 Why4 値札を動かしたのは会社の外側【ここからは私の推測ですが】 ここからは私の推測ですが、値札を動かしたのは金利だと読んでいます。9月9日の海外市場で米10年債利回りが一時4.85%台、2023年11月以来の高さまで上がりました。PERは「将来の利益をいまの価値に割り引いた結果」なので、割引率にあたる金利が上がれば、同じ利益でも払える値段は下がります。その裏付けが今日の業種別の並びです。非鉄金属−3.63%が下落率トップで、証券・商品先物取引業+2.45%・銀行業+1.95%・保険業+1.20%が上位。金利で得をする業種が上がり、金利で損をする業種が下がる。教科書どおりの順番でした。ただし、これは並びが説明と合っているというだけで、因果を証明したわけではありません。
- 5 Why5 だから投資判断としてどう扱うか 私の結論は保有継続、買い増しなし、利益確定もなしです。理由は単純で、この8営業日にJX金属が稼ぐ力の情報が1つも増えていないからです。増えたのは値札の上下だけ。値札の上下で買い増すと、次に金利が動いた日にまた同じ幅で戻されます。私が保有を動かすのは分母が変わる日で、次にその機会が来るのは2026年11月の第2四半期決算です。見るのは1点、半導体材料と情報通信材料を足した営業利益の比率が、第1四半期の約34%から切り上がっているかどうかです。34%というのは、半導体材料144億円と情報通信材料131億円を足して、全体の営業利益814億円で割った数字ですね。ここが35%、40%と上がっていくなら、JX金属の利益は銅の値段より半導体の需要で決まる会社に変わっていきます。そのときは買い増しを検討します。
⚠️ この見立てが外れるとしたら:PERのレンジそのものが下に切り下がる場合です。いまの23.8〜26.3倍という振れ幅は「往復」ですが、銅もドル円も今の水準のままなのにPERが24倍を割り込んで戻らなくなったら、それは往復ではなく水準の訂正になります。市場が利益の持続性を疑い始めたサインなので、そのときは往復とは別の話として扱います。
私がこの分け方にこだわる理由
なんでそこまで分母にこだわるの?って話なんですが、過去に一度、値動きの大きさを材料の強さと取り違えて大やけどをしたからです。私はSOXL、米国の半導体指数を3倍で追いかけるETFで、資産を8割減らした経験があります。
当時の私は、毎日5%、10%と動く値動きを見て「それだけ強い材料が出ている」と思い込んでいました。実際に動いていたのはレバレッジと金利観測だけで、半導体各社が稼ぐ金額は日々そこまで変わっていなかったんです。値幅と材料は別物でした。
だから今は、株価が動いた日ほど「分母は動いたのか」を先に確かめます。今日のように分母が動いていないなら、私にとっては何も起きていない日です。9月9日の+4.91%も、今日の−2.48%も、同じ扱いにします。
TSMCの+53.3%は、どこに効くのか
では、今日出たTSMCの8月売上高+53.3%はどう扱えばいいのか。これは分母を動かしうる材料です。ただし効く場所が限られます。JX金属の第1四半期の営業利益814億円のうち、基礎材料(銅)が568億円で約70%。TSMCの生産増が直接効くのは、スパッタリングターゲットが入る半導体材料144億円と、インジウムリン基板が入る情報通信材料131億円のほう、つまり残りの約34%です。
ここからは私の推測ですが、月次の売上が1カ月増えても、材料メーカーの四半期利益がその月のうちに増えるわけではありません。材料の発注は生産計画に沿って先に決まっているからです。TSMCの8月分が数字として見えるのは、早くても2026年11月の第2四半期決算だと考えています。今日の株価に効かなかったのは、市場も同じ時間差を織り込んでいるからだと読んでいます。
PART3 AI投資活用プロンプト:値動きを分母と分子に割る
今日やった作業は、そのままAIに任せられます。数値はこちらが渡して、AIには仕分けだけさせるのがコツです。株価や指標をAIに聞くと古い数字が返ってくるので、そこは自分で証券会社アプリから転記してください。
あなたは株式アナリストです。 以下の1銘柄について、直近の値動きの原因を「分母」と「分子」に仕分けてください。 【銘柄】 (銘柄名・証券コード) 【株価データ】 (直近5〜10営業日の日付と終値・前日比を貼り付け) 【会社が出している数字】 (通期の売上・営業利益・当期純利益の予想と、その発表日) (会社が置いている前提: 為替レート、原材料価格など) 【外部環境の数字】 (実勢の為替、原材料価格、長期金利など。日付を付けて貼り付け) 【出力してほしい内容】 1. 期間中に「分母(会社の利益予想)」が変わった日があるか。 変わっていないなら、その旨をはっきり書く 2. 期間中の値動きを、分母の変化・前提条件の変化・ それ以外(PERの変化)の3つに割り振る 3. PERの変化で説明される部分について、 考えられる外部要因を3つまで挙げる。ただし断定はしない 4. 「次に分母が動くのはいつか」を、 決算発表日など具体的な日付で示す 渡したデータのみを使用してください。 最新株価や未提供の数値を推測して補わないでください。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力してください。
実際に今日のJX金属のデータを入れてみたところ、出力の1番目は「期間中に利益予想の修正は確認できない」で、値動きの大半を3つ目のPER変化に割り振ってきました。挙がった外部要因は米長期金利・原油価格・為替の3つ。ただしAIは「銅建値が9月7日から据え置き」という事実を自分では拾えません。そこは私が数字を渡したから出てきています。
以下は東証の業種別騰落率です。2日分を比較してください。 【前営業日】 (日付と、上昇率上位5業種・下落率上位5業種を騰落率つきで) 【当日】 (同上) 【出力してほしい内容】 1. 2日間で順位が大きく入れ替わった業種を挙げる 2. 当日の上位業種に共通する性質を1行でまとめる (例: 金利上昇で利ざやが広がる業種、など) 3. その性質から、当日の資金移動を説明する仮説を2つ立てる 4. それぞれの仮説について、 「この仮説が正しいなら、翌日以降に何が観測されるはずか」を1行で書く 渡したデータのみを使用してください。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力してください。
⚠️ 注意ポイント:AIが出した仮説は、あくまで渡したデータの範囲でのつじつま合わせです。特に「金利が上がったから非鉄が下がった」のような説明は、順番が合っているだけで因果の証明にはなりません。私は必ず4番目の「翌日以降に何が観測されるはずか」まで出させて、次の日にそれが起きたかを自分で確かめるようにしています。ここを飛ばすと、もっともらしい話を信じ込んで終わります。
よくある質問
Q. 記事のPERが証券会社アプリの数字と違うのはなぜですか?
A. 本記事のPERは、会社予想の当期純利益1,410億円と発行済株式数約9億4,918万株から自分で計算した数字です。証券会社によってはアナリスト予想を使っていたり、株価の更新時刻がずれていたりして値が変わります。私は時価総額を会社予想の最終利益で割る方法に統一しています。同じ計算方法をずっと使うほうが、日をまたいだ比較が効くからです。
Q. 電気銅建値はどこで見られますか?
A. JX金属の公式サイトに「銅建値」のページがあり、改定のたびに更新されます。2026年9月10日時点では9月7日改定の1トン2,350,000円が最新です。会社が実際に銅を売る値段なので、LME銅やCOMEX銅のドル建て価格より、日本の非鉄株の収益に近い数字だと考えています。
Q. 毎日2.8%動く銘柄は、短期売買のほうが向いていませんか?
A. その手はあると思います。ただ私はやりません。この8営業日の値動きを事前に当てるには、米長期金利・原油・ドル円・銅の4つを毎日先読みする必要があって、私にはできないからです。どちらを選ぶにしても、自分が何を当てにいっているのかを言葉にしておくと、外したときの検証がしやすくなります。
まとめ
2026年9月10日、日経平均は65,270.95円(+128.17円)で3日ぶりに反発しました。ただし中身は前日と真逆で、非鉄金属−3.63%が下落率トップ、証券・商品先物取引業+2.45%が上昇率トップ。米10年債利回りが一時4.85%台まで上がったことへの、素直な反応でした。
JX金属は3,812円(−2.48%)。電気銅建値は9月7日改定の1トン235万円のまま3営業日据え置きで、会社予想の当期純利益1,410億円も8月6日から変わっていません。稼ぐ前提も利益予想も動いていないのに、PERだけが24.8倍から26.3倍へ行って25.7倍に戻った。それが今日までの3営業日でした。
だから私は、今日も何もしません。保有は続けます。次に手を動かすのは2026年11月の第2四半期決算で、半導体材料と情報通信材料を足した営業利益の比率が第1四半期の約34%から切り上がっているかを見ます。ここは崩さずいきます。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。特定銘柄の売買を推奨するものでもありません。記載した数値は各出典の公表時点のものであり、その後変動します。AIの出力には誤りが含まれる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

