
「2026年7月のSOXLのチャート、2024年の夏と形がそっくりじゃないか?」
半導体ブル3倍ETF・SOXLの長期チャートを開くと、放物線を描いて駆け上がり、頂点から一気に崩れる——あの2024年夏と同じ形が、いま再び現れています。私はその2024年の暴落で、SOXLに賭けた資産の8割を失いました。この記事では、その経験者の目で「2024年と2026年のチャートはどこが相関しているのか」、そして「決定的に違うのはどこか」を、半導体サイクルの視点から整理します。
📖 本記事は続編です。今回の暴落が「なぜ起きたか」(下げの三重構造)を解説した前編:【2026年7月】AI・半導体株はなぜ暴落したのか を先に読むと、この記事の理解が深まります。
まず結論:チャートの「形」は相関している。でも「中身」は別物
1 2024年も2026年も「拡張期の最終盤にパラボリック上昇→急落」という同じ形。これは半導体サイクルと人間心理が生む再現パターン
2 ただし上昇の規模・業績の裏付け・金利の向きという3点で、2026年は2024年と決定的に違う
3 形が似ていても同じ結末は約束されない。似た形の前で問うべきは「次はどっちだ」ではなく「自分はどこまで耐えられる設計か」
※本記事は2026年7月25日時点のチャート・公開情報に基づく個人的な整理と過去の投資記録であり、特定銘柄・ETFの売買を推奨するものではありません。価格は変動するため最新値は必ずご自身でご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
2024年と同じ形なら、また9割下がるってこと…?それとも押し目?
PART 1 2024年に何が起きたか──私が資産の8割を失った夏
──高値約70ドルからの転落
このパートの要点:SOXLは2024年7月の高値約70ドルから8月に約20ドル台まで急落。翌2025年4月には関税ショックで8ドル台となり、高値から約9割の下落に。私はこの局面でレバレッジ全力・撤退線なしのまま巻き込まれた。
まず2024年を正確に思い出しましょう。AIブームに乗ったSOXLは2024年7月に約70ドルの高値をつけました。ところが直後の8月、日銀の利上げをきっかけとした円キャリー取引の巻き戻しと米景気減速懸念が重なり、わずか1か月ほどで約20ドル台へ、率にして約6〜7割の急落。その後いったん戻したものの、2025年4月には関税ショックが追い打ちとなり8ドル台まで沈み、2024年7月の高値から約9割安という水準に達しました。
当時の私は、この下げをまともに食らった側です。3倍レバレッジに資産を集中させ、撤退線を決めておらず、「戻るはず」と祈りながらナンピンし、最後は動けなくなりました。結果が−80%。このとき学んだことの詳細は前編と書籍に譲りますが、1つだけ先に言えるのは、私を退場寸前に追い込んだのはチャートの形ではなく、自分の設計ミスだったということです。
PART 2 2026年のいま──約300ドルから半値以下、そして「同じ形」
──7/24終値136.81ドル(−13.14%)
このパートの要点:2025年の安値8ドル前後から2026年7月の高値約300ドルまで駆け上がったSOXLは、足元136ドル台と高値から半値以下。「拡張期の最終盤にパラボリック→急落」という形は2024年と相関している。
そして2026年。SOXLは2025年の安値8ドル前後を底に、AI・メモリ相場を追い風として2026年7月には約300ドルの高値まで駆け上がりました。底からは実に30倍超という、2024年をはるかに超える急騰です。しかし7月半ばからの調整で状況は一変。直近の金曜だけで−13.14%の136.81ドルと、高値からわずか数週間で半値以下になっています。
長期チャートを並べると、相関ははっきり見えます。①拡張期の最終盤に上昇角度がどんどん立っていき、放物線(パラボリック)になる。②出来高と熱狂がピークに達したところで、③きっかけとなる外部材料(2024年は円キャリー巻き戻し、2026年はメモリ競争懸念・金利上昇・AI過剰投資懸念)が刺さり、④レバレッジの投げを巻き込んで数週間で急落する。形の設計図はほぼ同じです。前編で書いた「下げの三重構造」は、この④の中身の分解でした。
形が似るのは偶然じゃない。半導体には「サイクル」という設計図があるからだよ。
PART 3 なぜ形が繰り返すのか──半導体サイクルという設計図
──拡張期と収縮・回復期の往復運動
このパートの要点:半導体は「拡張期→収縮・回復期」を数年周期で繰り返すシリコンサイクルの産業。SOXLの長期チャートはこの往復運動の3倍増幅版。急落は「拡張期の中の調整」か「収縮期入りの合図」かが常に論点になる。
半導体は、需要の急拡大→各社の一斉増産→供給過剰→価格下落→減産→需給改善→また需要拡大、という数年周期の循環(シリコンサイクル)を宿命として抱える産業です。SOXLの2016年からの長期チャートにこの区分を重ねると、コロナショックを挟んだ収縮・回復期→2021年までの拡張期→2022年の大暴落と収縮・回復期→2024年7月へ向かう拡張期→2024〜25年の収縮・回復期→そして2025年から現在まで続く拡張期、と同じ往復運動がきれいに繰り返されているのが分かります。SOXLは3倍レバレッジなので、この波が3倍に増幅されて描かれます。
つまり2024年と2026年の形が似るのは偶然ではなく、同じサイクル構造の同じ局面(拡張期の過熱→冷却)を見ているから。だからこそ本当の論点は「形が似ているか」ではありません。「今回の急落は、拡張期の中の一時的な調整なのか、それとも2024年のように収縮期入りの合図なのか」。それを見極めるには、形ではなく中身——2024年との違いを見る必要があります。
PART 4 ここが本題──2024年と2026年の「3つの決定的な違い」
──形は同じ、中身は別物
このパートの要点:①上昇の規模が桁違い(数倍vs30倍超)②業績の裏付けの有無(期待先行vs受注残という実弾)③金利の向き(利下げ期待vs利上げ観測)。似た形でも、力学は同じではない。
上昇の規模とスピードが桁違い
2024年の拡張期は10ドル台→約70ドルへの数倍の上昇でした。今回は8ドル前後→約300ドル、30倍超。積み上がった含み益と信用・レバレッジの残高が桁違いに大きい分、巻き戻しのエネルギーも大きくなります。高値から半値になってもなお、1年前の水準よりはるか上——「割安に見えて割安ではない」高度にいるのが今回です。
業績の裏付けが「期待」から「実弾」に変わった
2024年は「AIで儲かるはず」という期待が先行した相場でした。2026年は違います。直近のGoogle決算はクラウドが+82%成長、AI関連の受注残は約4,881億ドル、そしてAI設備投資の年間計画は約2,000億ドル規模へ引き上げ。需要が受注残と設備投資という数字で確認できるのが今回です。稼ぐ力(EPS)は実際に伸びており、下げの主体は高すぎた期待(PER)の冷却——前編で書いた「期待の剥落型」の構図が、2024年より鮮明です。ただし、メモリの競争激化と「投資しすぎでは」という過剰投資懸念という、2024年にはなかった火種も抱えています。
金利の向きが逆
2024年の急落後、米国は利下げ局面へ向かい、それが回復の追い風になりました。2026年のいまは逆で、堅調な雇用を背景にFRBの年内「利上げ」観測が上昇している金利上昇・インフレ局面。将来の利益を先取りする高PER株ほど割引の重力が強くかかります。つまり今回は、2024年に回復を後押しした「利下げ」というセーフティネットを、当面は期待しにくい。この一点は、2026年の方が明確に厳しい条件です。
まとめると——似ているのは「形」と、それを作る人間の心理。違うのは「業績の実在」と「金利の向き」。業績が実在する分だけ2024年より底堅い展開もあり得るし、金利が逆風な分だけ回復に時間がかかるシナリオもあり得る。だから「2024年と同じだからまた9割下がる」も「今回は本物だから押し目買い一択」も、どちらも根拠の半分しか見ていない意見だと私は思います。
2024年の私は「どっちに動くか」を当てようとして、外れて8割を失いました。2026年の私は当てにいきません。レバレッジではなく現物、一括ではなく段階買い、そして買う前に撤退線と現金比率を決めておく。チャートの相関に気づけること自体は武器です。でもその武器は、「予想の精度を上げる」ためではなく、「どちらに転んでも生き残れる設計を組む」ために使うものだと、高い授業料を払って学びました。
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まとめ:形は繰り返す。でも、結末はコピーされない
① SOXLの2024年と2026年は「拡張期末期のパラボリック上昇→急落」という同じ形。半導体サイクルと人間心理が生む再現パターン
② ただし中身は別物。上昇規模は数倍vs30倍超、業績は期待先行vs受注残の実弾、金利は利下げ期待vs利上げ観測と、条件が大きく異なる
③ 似た形の前でやるべきは方向当てではなく設計。現物・段階買い・撤退線・現金比率——どちらに転んでも退場しない形を先に作る
2024年の暴落を経験した人ほど、いまのチャートに既視感と恐怖を覚えているはずです。その感覚は間違っていません。ただ、恐怖のまま全部投げるのも、「今回は違う」と全力で買い向かうのも、2024年の私と同じ「感情の投資」です。形の相関から学び、中身の違いを冷静に見て、あとは自分のルールに従う。失った8割は戻りませんが、この教訓はこうして誰かの役に立てられます。
よくある質問
チャートの形は繰り返す。結末はコピーされない。
当てるための相関ではなく、備えるための相関。
8割失った私が言えるのは、それだけです。
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注意
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
