私はいま、ここから10月にかけて株式相場は下方向に振れやすいと考えています。理由は4つあり、その帰結として資金は銀行株と素材株に向かうと見ています。ただ、この見立ては仮説にすぎません。だから記事の後半では、あえて自分と反対の「上昇派」の言い分も同じ熱量で並べます。両方を置いてから、どちらが正しいかを判定する確認ポイントを決めるところまでやりますね。
✅ この記事の結論(先に要点だけ)
- 1下落を見る根拠は①中間選挙前のアノマリー②材料の出尽くしと薄商い③インフレと金利上昇④半導体の上値の重さ、の4つ
- 2金利が上がる局面で説明がつくのは銀行と素材。どちらも「金利上昇が本業の追い風になる」数少ないセクター
- 3ただし上昇派の根拠も強い。中間選挙後12カ月は1950年以降19回すべてプラスという統計がある
理由① 中間選挙前は、統計的にいちばん弱い時期
米国の中間選挙は2026年11月3日です。大統領の任期4年を「選挙翌年・中間年・選挙前年・選挙年」に分けると、株式が最も弱いのは中間年、つまり今年にあたります。
数字で見ると差ははっきりしています。1945年から2025年までで、中間選挙年のS&P500の平均上昇率は3.8%、他の3年は10.9%。年内の最大下落率は中間選挙年が平均18%で、他の3年の12.4%より明確に深いというデータがあります(出典:Chase「How Does the Stock Market Perform During Midterm Election Years?」CFRA・S&Pグローバル調べ、2025年12月末時点)。
そして私がいちばん気にしているのはここです。2026年はまだ、その深い下げが来ていません。年内の下落は3月のピークからボトムまで9%にとどまり、1961年以降の中間選挙年の平均19%を大きく下回っています。8月中旬時点でS&P500は年初来で約14%上昇しています(出典:Fidelity「How might midterm elections impact the stock market?」2026年8月中旬時点)。
つまり「今年は例年より下げていない」のではなく「まだ下げていない」のかもしれない、というのが4つの理由の一本目です。
理由② 最大の材料が出尽くした。しかも夏枯れの薄商い
2026年8月26日(米国時間)のエヌビディア決算は、売上高962億2,100万ドル・前年同期比106%増、次の四半期の見通しも約1,080億ドルと市場予想を上回る内容でした(出典:NVIDIA決算リリース 2026年8月26日)。それでも日本時間8月27日の東京市場で、AI半導体関連は素直に買われませんでした。
これは「材料が悪かった」のではなく「材料が良すぎて、もう次に出すものがない」状態です。相場を引っ張ってきた最大のイベントを通過してしまった。次に同じ規模のカタリストが来るのは11月の決算まで、およそ3カ月空きます。
加えて、8月の東証プライムの売買代金は4カ月ぶりに7兆円を割り込む日が出ています(2026年8月25日・26日、出典:株式新聞Web)。参加者が減った市場は、少ない売りで大きく下げます。夏枯れが本当に怖いのは下がるからではなく、下げ始めたときに受け止める買い手がいないからです。
理由③ インフレが残り、日米そろって金利が上がる方向
日本銀行は2026年6月に0.25%の利上げを実施し、政策金利は1.00%程度になりました。市場では9月17日・18日の金融政策決定会合で1.25%程度への追加利上げがあるとの見方が強まり、OIS市場の織り込みは8割に迫っています(出典:日本経済新聞 2026年8月12日、Bloomberg 2026年8月23日)。
米国も方向は同じです。7月28日・29日のFOMCは政策金利3.50〜3.75%の据え置きを決めましたが、採決は9対3で、3人が利上げを主張しました(出典:野村證券ウェルスタイル 2026年7月)。8月13日時点でFF金利先物が示す9月の利上げ確率は約40%です(出典:第一生命経済研究所レポート 2026年8月13日)。米10年債利回りは2026年8月27日時点で4.6465%です。
金利上昇が株式に効く経路はシンプルです。将来利益の割引率が上がるので、利益がまだ小さくて将来に期待している銘柄ほど評価が削られる。いまの相場でそれに該当するのは、AI関連の高PER銘柄です。
理由④ 半導体が、好材料に反応しなくなってきた
4つ目は数字ではなく値動きの質の話です。良い決算が出ても上げ幅が続かない、寄り付きが高値で終値が安い、といった動きが増えてきました。私の主力であるJX金属も、8月27日は3,900円で寄り付いたあと9時54分に3,722円まで売られ、終値は3,792円でした(出典:株探モバイル 2026年8月27日15時30分時点)。
好材料で上がらないのは、買いたい人がすでに買い終わっているサインです。需給が満たされた市場は、次に悪い材料が出たときにだけ素直に反応します。ここが「上値が重い」の正体だと考えています。
だから資金は銀行と素材に向かう、と考える理由
株が全体として下がるなら現金でいいはずですが、実際の資金は市場の外に出るより、同じ市場の中で移動することのほうが多いです。では金利が上がる局面で説明がつくのはどこか。私は銀行と素材だと考えています。
| セクター | 金利上昇がどう効くか | 崩れる条件 |
|---|---|---|
| 銀行 | 貸出金利が上がり預金金利の上昇が遅れるぶん、利ざやが広がって本業の利益が増える | 利上げが打ち止めになる/景気後退で貸倒れが増える |
| 素材(非鉄・銅など) | インフレ局面では現物の価格そのものが上がる。将来利益ではなく足元の市況で評価される | 世界景気の減速で実需が落ちる/在庫が積み上がる |
| 高PERグロース | 割引率上昇で評価が削られる。利益の実額が伸びても株価が追いつかない | (逆に金利低下で最も戻る) |
素材側の裏づけとして、銅は歴史的な高値圏にあります。COMEX銅は1ポンド6.7140ドル(1トン14,802ドル)で過去最高値を更新し、LME倉庫の在庫は7月末から14%以上減少しました。チリの減産とインドネシアの製錬トラブルが供給ひっ迫の要因とされています(出典:金属フォーカス 2026年8月16日)。金利上昇と供給不足が同時に来ているのが素材の強みで、これはインフレが続く限り効きます。
実際、8月下旬の東京市場では非鉄金属・銀行業・保険業・証券が業種別の上昇上位に並ぶ日が続きました(出典:株探 業種別ランキング 2026年8月25日・26日)。まだ資金移動の初動と呼べる程度ですが、方向としては私の見立てと矛盾しません。
対抗意見:それでも上がると見る人たちの言い分
ここからは、私と反対の立場の主張です。自分の説を守りたい気持ちを一度置いて、いちばん強い形で書きます。ここを潰せないうちは、私の見立ては仮説どまりです。
- 1選挙後のアノマリーのほうが強い。中間選挙後12カ月のS&P500は1950年以降19回すべてプラスで、平均は15%前後。下げるとしても、それは選挙直前までの短い期間にすぎない
- 2今年が「浅い年」である可能性。中間選挙年でも19回中11回は年間プラスで終わっている。3月に9%で済んだのは弱さの証拠ではなく、強い年だからかもしれない
- 3設備投資の実額が止まっていない。エヌビディアは決算説明会で2028年度の売上高を約70%増やす見通しを示した。事前の市場予想は44%前後で、需要は減速どころか加速している(出典:CNBC 2026年8月26日、LSEG集計)
- 4利上げは景気が強い証拠。不況で利上げはできない。企業収益が伸びている中での金利上昇なら、株価は業績の伸びで金利上昇を吸収できる
- 5銀行・素材へのローテーションは短命。金利上昇が理由で買われた銘柄は、利上げが打ち止めになった瞬間に理由を失う。乗り換えの往復で高値づかみになりやすい
5番目はとくに効く反論だと思っています。私の見立ては「金利が上がり続けること」に全面的に寄りかかっています。日銀が9月に利上げして「当面はここで様子見」と言った瞬間、銀行株の上昇の根拠は半分消えます。自分の説の弱点が、いちばん自信のある部分の真下にあるのは自覚しておきたいところです。
どちらが正しいかを判定する3つの確認ポイント
両論を並べたら、次は勝ち負けを判定する条件を先に決めます。あとから理屈をつけると、人はいくらでも自分に都合よく解釈できるからです。
- A9月17日・18日の日銀会合の「次」の示唆。利上げしても打ち止め感が出れば、銀行への資金移動は続かない。声明で追加利上げの余地に触れるかを見る
- B売買代金が戻るかどうか。東証プライムの売買代金が9月に入って恒常的に7兆円台後半へ戻るなら、夏枯れ要因は消える。細いままなら下落シナリオが優位
- C悪材料への反応。悪いニュースが出ても下げない日が続いたら、それは私の負けです。売り切った市場は悪材料を無視します
私自身の対応は、下落を当てにいくのではなく何もしない準備をしておくことです。半導体の買い増しは止め、下がったときに拾う候補と価格をノートに書いておく。それだけで、10月に慌てて投げる確率はかなり下がります。
相場観をAIに殴らせる:自分の説の穴を先に見つける
この記事でやった「自分の説を書く→反対意見を最強の形で書く→判定条件を決める」という流れは、AIにやらせるのがいちばん効率的です。自分ひとりだと、どうしても反対意見を弱く書いてしまいますから。
あなたは相場の反対意見を担当するアナリストです。 私の相場観を、できる限り強い形で否定してください。 【私の相場観】 (自分の見立てと、その根拠を箇条書きで貼り付け) 【前提データ】 (政策金利・長期金利・主要指数・注目セクターの数値と取得時点を貼り付け) 【出力してほしい内容】 1. 私の根拠のうち、事実と解釈が混ざっている箇所の指摘 2. 反対の立場から見た最も強い反論を5つ(弱い反論は書かない) 3. 私の見立てが崩れる具体的な条件を3つ、確認方法と時期つきで 4. 私の見立てと反対意見が「両方成り立つ」シナリオがあれば1つ 5. どちらが正しいかを判定できる観測指標を3つ、優先順位つきで 渡したデータのみを使用し、記載のない数値や最新株価の推測はしないこと。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力すること。
⚠️ 注意ポイント:アノマリー(季節性の経験則)は「そうなりやすい傾向」であって法則ではありません。中間選挙年の平均下落率18%も、19回の平均であって今年の予測値ではありません。AIに聞くと平均値をそのまま今年の見通しとして書いてくることがあるので、平均と予測は必ず分けて読んでください。
よくある質問
Q. 下がると思うなら、いま全部売ればいいのでは?
A. 私はそうしません。見立てが外れたときに戻れなくなるからです。売った株が上がると、人は買い直せません。私がやるのは新規の買い増しを止めることと、下がったときの買い候補を先に決めておくことの2つだけです。
Q. 銀行株と素材株は、どちらを先に見ればいいですか?
A. 効く理由が違うので、両方を別々に見るのがおすすめです。銀行は金利、素材は現物の需給。同時に効くこともありますが、金利が止まっても銅がひっ迫していれば素材だけ残る、という展開もありえます。ひとまとめに「ディフェンシブ」と扱わないほうが精度が上がります。
Q. アノマリーはどこまで信じていいですか?
A. 買う理由には使わず、身構える理由に使うのがちょうどいいと思っています。「10月は荒れやすいから現金を少し多めにしておく」はよくて、「10月だから買う」は根拠が薄いです。アノマリーどおりに動かないときこそ、相場に別の力が働いているサインとして注目します。
まとめ
私の見立ては「10月にかけて下方向、資金は銀行と素材へ」です。根拠は中間選挙前の季節性、材料の出尽くしと薄商い、日米の金利上昇、そして半導体が好材料に反応しなくなったこと。この4つが同じ方向を向いているのが、いま強気になりきれない理由です。
一方で、中間選挙後の12カ月が19回連続でプラスという統計も、AI設備投資の実額が伸び続けているという事実も、同じくらい重い。だから私は結論を出さずに判定条件だけを決めて待ちます。日銀の次の示唆、売買代金の回復、悪材料への反応。この3つのどれかが動いたときに、線を引き直せばいい。当てにいかないことが、いちばん外れにくいやり方だと思っています。
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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。記載した数値は2026年8月27日時点で確認できた公表資料・報道に基づきます。相場見通しは筆者個人の仮説であり、将来の結果を保証するものではありません。AIの出力には誤りが含まれる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

