AIに聞けば、10倍株は見つかる?
先に決めるのは銘柄名より「型」
上の3つは、2012年末から2022年末に株価が10倍以上になった日本株の「出発時点の中央値」です(岡三証券の調査)。
10倍株には、はっきりした共通点があります。小さく、若く、利益が出ていて、まだ割高ではない会社です。
この記事では、この共通点を「上がる会社の型5つ」と「上がりにくい会社の型5つ」に分けて、AIに〇×を付けさせる手順を紹介します。
プロンプトは4本。順番にコピペすれば、候補を3社に絞り、10倍に必要な利益の伸びまで計算できます。
- 「テンバガー候補◯選」を見て買ったことはあるが、選んだ理由を自分で言えない
- ChatGPTやClaudeに銘柄を聞いても、それっぽい名前が返ってくるだけで困っている
- NISAの一部で、大きく伸びる1銘柄を自分の基準で選びたい
- 10倍株の型10個(上がる型5つ・上がりにくい型5つ)と、それぞれの数字の線
- コピペで使えるプロンプト4本と、回す順番
- 「3年で10倍」に必要な利益の伸びを出す式(PER13倍の会社でも年+65%)
- 「この銘柄が10倍になる」という予想、買い時・売り時、目標株価
まず手順を1行ずつで言うと、こうなります。
AIは「探す係」より「判定する係」にしたほうが、ずっと当てになります。基準を人間が決めて、AIには〇×と計算だけをさせる。この分担で組み立てていきます。
AIに「10倍株を教えて」と聞くと失敗する
いちばんやりがちなのが、ChatGPTに「テンバガー候補を5つ教えて」と聞く使い方です。
これには2つの問題があります。1つは、AIが持っている株価や業績は学習した時点のもので、古い数字や存在しない数字が混ざることです。
もう1つは、選んだ理由が「成長市場にいる」「将来性がある」のような言葉だけになり、あとで答え合わせができないことです。
そこで順番を逆にします。先に人間が型を決め、AIには数字を集めさせて〇×を付けさせます。
図1 AIの使い方を「探す」から「判定する」へ
この記事の手順。①は人間、②〜④はAIの担当
上がる会社の型は5つ:小さい・若い・伸びる・稼ぐ・オーナー経営
型の出どころは、岡三証券が2023年9月に公表した調査です。2012年末から2022年末の10年で株価が10倍以上になった銘柄を、全上場企業と比べています。
| 型 | 判定の線 | 10倍株の中央値(全上場) |
|---|---|---|
| ① 小さい | 時価総額50〜500億円 | 35億円(100億円) |
| ② 若い | 上場5年未満 | 6.8年(12.3年) |
| ③ 伸びる | 売上成長率が年10%超(直近3期) | 年8.8%(3.3%) |
| ④ 稼ぐ | 営業利益率5%以上 | 4.9% |
| ⑤ オーナー経営 | 創業者・社長・会長(資産管理会社を含む)が大株主の上位3位 | 約7割がオーナー系 |
出典:岡三証券セミナー資料(2023年9月14日)。オーナー系の割合は、渡部清二氏の分析で約8割とする例もあります(ハーバー・ビジネス・オンライン、2020年1月12日)
判定の線は、中央値より少し広めに取っています。中央値の35億円ぴったりに絞ると、候補が数社しか残らないためです。
もう1つ、覚えておきたい数字があります。10倍になるまでの平均期間は8.2年で、5年以上かかった銘柄が80%を超えます(日本経済新聞、2022年)。
「3年で10倍」は、過去の平均の半分以下の速さだということです。
03上がりにくい会社の型も5つ。先に外すと候補が早く絞れる
上がる型を満たしていても、次のどれかに当たる会社は外します。
| 型 | 外す線 | 理由 |
|---|---|---|
| ① 大きすぎる | 時価総額5,000億円超 | 10倍で5兆円超が必要になる |
| ② 伸びない | 売上成長率3%以下 | 全上場企業の中央値3.3%と同じか下 |
| ③ 資本効率が低い | ROE8%未満かつPBR1倍未満 | 東証が改善を求めている区分 |
| ④ 親会社がいる | 事業会社が50%以上を保有 | 成長や配当が親会社の都合に左右される |
| ⑤ すでに割高 | 会社予想PER30倍超 | 10倍株の出発時PER14.4倍の約2倍 |
①④⑤の線は筆者が置いた基準です。②③の根拠は岡三証券(2023年9月14日)と東証の「資本コストや株価を意識した経営」の要請。ROEとPBRの意味はPBRとは?の記事で解説しています
④の親会社は、創業者の資産管理会社なら外しません。これは「上がる型」の⑤オーナー経営として数えます。
⑤のPER30倍は、あとの式で使う「人気度の上限」にもなります。
04手順:プロンプト4本を上から順にコピペする
ここからが本題です。Web検索ができるAI(ChatGPTの検索モードやClaudeなど)で、上から順に使ってください。
Step 1:候補を10社まで集める
まずは型の①②③だけで広く集めます。ここで絞りすぎないのがコツです。
あなたは日本株の調査担当です。今日は(今日の日付)です。 次の3つの条件をすべて満たす東証上場企業を、Web検索で10社まで挙げてください。 ・時価総額が50億円以上500億円以下 ・上場から5年未満 ・直近3期の売上高が年10%以上のペースで伸びている 出力は表で、列は「証券コード/社名/上場年月/時価総額と取得日/確認に使ったURL」。 条件を満たすか確認できない会社は入れないこと。 数字を推測で埋めないこと。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力すること。
Step 2:数字を集める
次に、候補ごとの数字を集めます。取得先を2つに限定するのがポイントです。
今日は(今日の日付)です。次の銘柄の数字を公開データで取得し、表だけ返してください。 使うのは finance.yahoo.co.jp/quote/(コード).T と irbank.net/(コード)/results、irbank.net/(コード)/holder だけ。 推測で埋めないこと。取れない項目は「記載なし」と書くこと。 銘柄:(Step 1の表から証券コードと社名を貼る) 列:株価と日付/時価総額(億円)/上場年月/会社予想PER/実績PBR/実績ROE/ 直近3期の売上高と営業利益(→売上の年平均成長率と営業利益率を計算)/ 今期の会社予想(売上・営業利益)/大株主の上位3位(創業者・社長系かどうか)/ 事業会社が50%以上持つ親会社の有無/直近の下方修正・大株主の売却 渡したデータと指定したページの内容のみを使用すること。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力すること。
Step 3:〇×を付けて3社に絞る
Step 2の表を貼り、型10個で判定させます。
次の表の各社に、下の基準で〇×を付けてください。 【上がる型(すべて〇が理想)】 ① 時価総額50〜500億円 ② 上場5年未満 ③ 売上の年平均成長率10%超 ④ 営業利益率5%以上 ⑤ 創業者・社長・会長(資産管理会社を含む)が大株主の上位3位 【上がりにくい型(1つでも該当したら除外)】 ① 時価総額5,000億円超 ② 売上成長率3%以下 ③ ROE8%未満かつPBR1倍未満 ④ 事業会社が50%以上保有 ⑤ 会社予想PER30倍超 【表】 (Step 2の表を貼る) 出力: 1. 全社の〇×表(上がる型5列+除外の該当有無) 2. 除外した会社と、当たった基準を1行ずつ 3. 残った会社から3社を選び、選んだ理由を数字つきで3つずつ 4. 3社それぞれについて、反対の理由を1〜2行 渡したデータのみを使用すること。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力すること。
Step 4:10倍に必要な利益の伸びを計算する
最後に、夢と確率を分ける計算です。式は次の章で説明します。
次の3社について、「3年で株価10倍」に必要な1株あたり利益の伸びを計算してください。 前提:株価=1株あたり利益(EPS)×PER。3年後のPERは上限30倍とする。 計算式: ・必要なEPS倍率=10×現在の会社予想PER÷30 ・必要なEPSの年率=必要なEPS倍率の3乗根-1 【3社のデータ】 (社名/現在の会社予想PER/今期の会社予想の営業増益率 を貼る) 出力:社名/必要なEPS倍率/必要なEPS年率/会社予想の増益率/その差 の表と、 差が大きい順に1行ずつのコメント。 10倍になると言い切らないこと。渡したデータのみを使用すること。 売買の推奨ではなく、判断材料の整理として出力すること。
10倍に必要な利益の伸びは、PER13倍の会社でも年+65%
株価は「1株あたりの稼ぎ(EPS)」と「人気度(PER)」のかけ算です。10倍にするには、この2つを合わせて10倍にする必要があります。
人気度には上限を置きます。ここでは、上がりにくい型⑤と同じ30倍です。
図2 3年で10倍に必要な利益の伸び(PER上限30倍の場合)
年率に直すときは、EPS倍率の3乗根から1を引く
今のPERで計算すると、次のようになります。PERの数字は、この記事で手順を回したときの実際の値です。
| 今の会社予想PER | 必要なEPS倍率(3年) | 必要な年率 |
|---|---|---|
| 12.25倍 | 4.08倍 | +59.8% |
| 13.43倍 | 4.48倍 | +64.8% |
| 20.53倍 | 6.84倍 | +89.9% |
| 29.27倍 | 9.76倍 | +113.7% |
今のPERが低いほど、人気が上がる余地があるぶん、利益に求める伸びは小さくなります。10倍株の出発時PERが14.4倍だったことと合っています。
それでも、PER13倍の会社で年+65%の増益を3年続ける必要があります。この数字を会社予想の増益率と並べると、どこまでが計画で、どこからが期待かが数字で見えます。
06実際に回すと、残ったのは3社(2026年9月30日時点)
この手順を2026年9月30日に回した結果です。14社を調べ、上がりにくい型で11社を外しました。
ここに出す社名は手順の実例であり、買いを勧めるものではありません。
| 社名(コード) | 主な数字 | 10倍に必要な年率 |
|---|---|---|
| ヒューマンテクノロジーズ(5621) | 時価総額149.5億円・売上成長22.0%・営業利益率18.3%・PER13.43倍 | +64.8% |
| ARアドバンストテクノロジ(5578) | 時価総額94.8億円・売上成長18.0%・営業利益率5.9%・PER12.25倍 | +59.8% |
| ジーデップ・アドバンス(5885) | 時価総額170.2億円・売上成長25.4%・営業利益率16.1%・PER20.53倍 | +89.9% |
出典:株価・PERはYahoo!ファイナンス(2026年9月30日終値)、業績と大株主はIRBANK・有価証券報告書。売上成長は直近3期の年平均。3社とも上場は2023年、大株主の1位は社長・会長の資産管理会社
外した例も見ておきます。売上が年52%伸びている会社でも、時価総額517億円・PER53倍で「大きすぎる」「すでに割高」に当たり外れました。
売上成長40.8%の会社は、PER29.27倍で30倍の線の目前だったため、3社の段階で落としました。必要な年率が+113.7%になるからです。
そして大事なのは、3社とも過去3期の売上の伸び(年18〜25%)が、10倍に必要な利益の伸び(年60〜90%)の3分の1前後しかないことです。利益率が上がれば利益は売上より速く伸びますが、これまでのペースが続くだけなら、3年で10倍には届かない計算になります。
07この手順は四半期に1回、決算のあとに回し直す
型に当てはまるかどうかは、決算のたびに変わります。回し直すタイミングは次の3つです。
- 決算発表の翌日毎四半期
Step 2とStep 3を回し直し、営業利益率と成長率の〇×が変わっていないか見る - 株価が大きく動いた日時価総額500億円・PER30倍の線をまたいでいないかだけ確認する
- 毎年1回上場5年の線
2023年上場の会社は2028年に「若い」から外れる。候補プールを入れ替える
- 決算で営業利益率が5%を割った、または会社予想が下方修正された
- 大株主の創業者が持ち株を売り出した(型⑤が崩れる)
どちらかが起きたら、その会社は候補から外してStep 1からやり直します。
▲ この手順の強み
- 基準が数字なので、誰が回しても同じ〇×になる
- 「10倍に必要な年率」で、期待の大きさが数字で見える
- 1回あたり20〜30分で回せる
▼ この手順の弱点
- 型は2012〜2022年の10倍株から作ったもので、次の10年も同じとは限らない
- AIの取得した数字に誤りが混ざる(必ず自分で確認)
- 事業の中身(競合・技術)は判定していない
この手順で使うPERや時価総額は、証券会社のアプリでも1社ずつ確かめられます。小型株の情報が見やすい証券口座を、手数料とツールで比べた記事はこちらです。口座開設は無料で、スマホから申し込めます。
よくある質問
Q. 無料版のChatGPTでも使えますか?
A. Step 3とStep 4は、数字を自分で貼れば無料版でも動きます。Step 1とStep 2はWeb検索が必要なので、検索できるモードで使ってください。検索できない場合は、Yahoo!ファイナンスとIRBANKの数字を自分で写して貼ります。
Q. 3社に絞ったら、全部買えばいいですか?
A. この記事では売買をおすすめしていません。残った3社も、これまでの成長ペースのままでは10倍に届かない計算でした。10倍株は外れる確率も高いので、投資する場合も資産のごく一部にとどめる前提で考えてください。
Q. 米国株でも同じ手順は使えますか?
A. 型の数字(時価総額35億円など)は日本株のデータなので、そのままは使えません。米国株なら、時価総額の線をドルの規模に合わせて置き直す必要があります。
まとめ:AIは「探す係」ではなく「判定する係」にする
私はこの手順を、決算のたびに回し直しています。10倍になるかどうかより、「10倍に必要な数字」と「会社の計画」の差を毎回見るためです。
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岡三証券セミナー資料(2023年9月14日。2012年末→2022年末の10倍株と全上場企業の比較)/日本経済新聞(2022年。10倍株の平均上昇期間8.2年)/ハーバー・ビジネス・オンライン(2020年1月12日、渡部清二氏)/東京証券取引所「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」/第一生命経済研究所(2026年2月末時点の該当社数)/Yahoo!ファイナンス(2026年9月30日終値)/IRBANK・各社有価証券報告書
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するもの、または投資助言を目的とするものではありません。記載した数値は本文中に示した時点のものであり、その後変動している場合があります。AIの出力には誤りが含まれる場合があります。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。


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