「提案書を作って」と頼んだら、知らない数字が入ってきた。
提案書を作る日の夜に、Claudeへ「経費精算を電子化する提案書を作ってください」と1行だけ送ったとします。返ってくるのは、見た目はとても立派な提案書です。
ただ、中には従業員300人、削減効果は年1,200万円、投資回収は約4か月という数字が並びます。どれも私の会社の数字ではありません。この記事では、本文より先に「目次の表」と「想定質問8個」だけをClaudeに作らせる手順を書きます。
載せている出力は、私が2026年10月23日にClaudeで実際に回したものです。架空の社内提案を題材に、同じプロンプトを4本流しました。
読み終えたら、次に提案書を作る日に、本文を1行も書かないまま30分で目次の表が手に入ります。
- 提案書は年に数回だけ作る、ふつうの会社員の方
- AIに資料を頼むと、長くて立派だけど直す量が多い出力が返ってくる方
- 提案書のどこまでをAIに任せていいのか、線を引きたい方
- Claudeに渡すのは「相手・目的・今の状態・制約」の4つだけでいいこと
- 目次の表・1ページの中身・想定質問8個を出させる3本のプロンプト
- 出力に「?」が残っているかで、数字を作られたかどうかを見分ける方法
- PowerPointの見た目や図の作り方
- どの経費精算サービスを選ぶべきか(題材は架空の社内提案です)
この記事で例に使う会社・人数・件数はすべて架空の設定です。実在の会社の数字ではありません。
この記事の手順を1行ずつで言うと
AIに渡していい仕事は「形を決めること」だけです。数字と相手の事情は、こちらが持っている情報しか正解がありません。だから私は、空欄を「?」で返すようにプロンプトで指示しています。
Claudeに渡すのは「相手・目的・今の状態・制約」の4つだけです
最初に、使うものを確認します。必要なのはClaudeのチャット画面1つだけです。
| 使うもの | プラン | 用意するもの |
|---|---|---|
| Claude(チャット画面) | 無料プラン(Free・0ドル)で足ります | なし。文章を打つだけです |
| プロジェクト機能(任意) | 無料プランでも最大5つまで作れます | 会社の前提を書いたメモ1枚 |
プランと機能はClaude公式の料金ページで2026年10月23日に確認しました。有料のProプランは毎月払いで月20ドル、年払いなら年200ドル前払い(月あたり17ドル)です。
そして、打ち始める前に手元で決めておくものが4つあります。ここを飛ばすと、AIは足りない部分を自分で作って埋めます。
- 相手:読むのは誰で、決めるのは誰か(例:上司の課長と、承認する部長)
- 目的:その提案書で相手に何をしてもらうのか(例:入れ替えの承認をもらう)
- 今の状態:いま困っていることを数で言う(例:社員50人、月末に1人20分、差し戻しが月15件)
- 制約:予算・時期・現場の事情(例:年30万円以内、2027年4月、ITに詳しくない人が多い)
この4つは、社内で調べれば30分で埋まります。逆に、ここを埋めないままAIに頼むのが、知らない数字が入ってくる原因です。
ここまでで決まった、今回の架空の設定
この記事では、次の架空の提案を題材にします。実在の会社とは関係ありません。
- 紙とExcelでやっている経費精算を、クラウドのサービスに替える提案
- 申請する社員は50人。月末の締めで1人あたり20分。経理からの差し戻しが月15件
- 費用は年30万円以内。入れ替えは2027年4月。ITに詳しくない人が多い
- 提案書は8ページ以内
本文より先に、目次の表だけを作らせます
いきなり本文を頼むと、AIは見た目の整った10ページぶんの文章を一気に書きます。直す場所が多すぎて、結局ゼロから書いたほうが早くなります。
そこで「まだ本文は書かないでください」と先に書きます。これだけで、返ってくるものが設計図に変わります。
あなたは社内向けの提案書づくりを手伝う人です。 # 提案の前提 - 相手:私の上司(課長)と、その上で承認する部長。2人とも現場の作業は細かく知らない - 目的:紙とExcelでやっている経費精算を、クラウドの経費精算サービスに替える承認をもらう - 今の状態:申請する社員は50人。月末の締めで1人あたり20分かかる。経理からの差し戻しが月15件 - 制約:費用は年30万円以内。入れ替えは2027年4月。ITに詳しくない人が多い - 提案書の長さ:8ページ以内 # やってほしいこと まだ本文は書かないでください。目次だけを作ってください。 # 出力の形 「ページ/見出し/そのページで言い切る1文」の3列の表。 - ページは1から通し番号 - 見出しは体言止め、20字以内 - 「言い切る1文」は、そのページを見た相手が持ち帰る結論を40字以内で書く # 制約 - 渡した前提に書いていない数字は作らないこと。足りない数字は「?」と書き、表のあとに「私が埋める数字」として箇条書きで並べること - 一般論だけのページ(「DXの重要性」など)は入れないこと
「# 提案の前提」の4行を、自分の案件のものに入れ替えて使ってください。それ以外は変えなくて大丈夫です。
| ページ | 見出し | そのページで言い切る1文 |
|---|---|---|
| 1 | 経費精算の現状と課題 | 申請50人・1人20分・差し戻し月15件が今の負担。 |
| 2 | 月末締めの作業実態 | 紙とExcelのため、月末に全員の手が止まる。 |
| 3 | 差し戻し月15件の原因 | 入力ミスと規程の確認漏れが差し戻しを生んでいる。 |
| 4 | 放置した場合の影響 | このままでは年?時間の作業と差し戻しが続く。 |
| 5 | クラウド化による変化 | 申請1人あたり?分、差し戻し月?件まで減らせる。 |
| 6 | サービス比較と選定案 | 年30万円以内で、ITに不慣れでも使える?社が候補。 |
| 7 | 費用と回収見込み | 年?万円の費用に対し、削減効果は年?万円。 |
| 8 | 2027年4月までの進め方 | 今期中に?を決めれば、2027年4月に間に合う。 |
私が埋める数字 - 現状の年間作業時間(50人 × 20分 × 12か月を時間換算した値、および社内の時間単価) - 差し戻し1件あたりの手戻り時間(申請者側・経理側それぞれ) - 経理側の月末締め作業時間(申請者20分とは別に、経理担当が何人で何時間かかっているか) - 導入後の想定値:申請1人あたりの所要時間、差し戻しの想定件数 - 候補サービスの数と社名、各社の年額(50人分・初期費用込み) - 年間削減額(時間削減 × 時間単価)と、費用との差 - 導入作業にかかる社内工数(設定・規程改定・説明会の人日) - 稟議・契約・移行開始の各期限日(2027年4月稼働からの逆算) - 現行の紙・保管にかかっている費用(印刷、保管スペース、郵送があれば)
見てほしいのは、8ページのうち5ページに「?」が入っている点です。渡していない数字は、Claudeが勝手に埋めませんでした。
この「?」の数が、そのまま自分の宿題リストになります。表の下に出てきた「私が埋める数字」9項目を、翌日に総務と経理へ聞けば終わりです。
031ページだけを「言い切る1文→根拠→図」の順で書かせます
目次ができたら、次も全部をまとめて頼みません。いちばん聞かれるページを1枚だけ指定します。
今回なら7ページ目の「費用と回収見込み」です。承認する人が最初に開くのは、たいていお金のページです。
# 前提(さきほどと同じ) - 相手:私の上司(課長)と、その上で承認する部長 - 目的:紙とExcelでやっている経費精算を、クラウドの経費精算サービスに替える承認をもらう - 今の状態:申請する社員は50人。月末の締めで1人あたり20分。経理からの差し戻しが月15件 - 制約:費用は年30万円以内。入れ替えは2027年4月 # さきほど作った目次の7ページ目 「費用と回収見込み:年?万円の費用に対し、削減効果は年?万円。」 # やってほしいこと 7ページ目だけを書いてください。 # 出力の形 1. 言い切る1文(40字以内) 2. 根拠(3つまで。それぞれ「数字+その数字の出どころ」の形。渡していない数字は「?」のまま) 3. このページに置く図の指定(図の種類/項目または縦軸・横軸/図を見て分かること1文) 4. 部長が最初に聞いてくる質問1つと、その場での答え(2文以内) # 制約 - 本文は箇条書きで、1行40字以内 - 前提に無い数字を作らないこと
## 7ページ目:費用と回収見込み 1. 言い切る1文 - 年30万円以内の費用で、月16.7時間と差戻し15件を削る。 2. 根拠(数字+出どころ) - 申請50人×20分=月約16.7時間 (出どころ:現状の月末締め作業の実測) - 差し戻し月15件 (出どころ:経理からの差戻し実績) - 費用は年30万円以内 (出どころ:今回の予算上限) - 金額換算に必要な時間単価は?円 (出どころ:未取得。総務に確認) 3. 図の指定 - 種類:横棒2本の対比図(単位=年・万円) - 項目:①費用 30万円以内 ②削減効果 ?万円 - 注記:削減効果=月16.7時間+差戻し15件 ×時間単価?円で算定 - 分かること:費用の上限は確定済みで、 埋めるべきは削減額の1項目だけと分かる。 4. 部長の最初の質問と答え - 質問:「削減効果の?万円は、いつ出るのか」 - 答え:削減対象は月16.7時間と差戻し15件で、 数量はすでに確定しています。 時間単価を総務から受け取り、次回に 年?万円として金額で提示します。
ここで大事なのは、根拠の1行ごとに「出どころ」が付いている点です。時間単価だけは「未取得。総務に確認」と書かれました。
月16.7時間という数字は、私が渡した50人と20分をかけ算した結果です。外から持ってきた数字ではないので、聞かれても説明できます。
承認する人の質問を8個出させて、弱いページを先に直します
提案書で止まるのは、たいてい「その場で答えられなかった1問」です。先に出させておけば、当日に黙ることがなくなります。
# 前提(さきほどと同じ) - 相手:私の上司(課長)と、その上で承認する部長 - 目的:紙とExcelでやっている経費精算を、クラウドの経費精算サービスに替える承認をもらう - 今の状態:申請する社員は50人。月末の締めで1人あたり20分。経理からの差し戻しが月15件 - 制約:費用は年30万円以内。入れ替えは2027年4月。ITに詳しくない人が多い # やってほしいこと この提案書に対して、承認する部長が出してくる質問を8個、出してください。 # 出力の形 「#/質問/刺さるページ/今の答えの弱さ/埋める材料」の5列の表。 # 並べる順 私が答えに詰まりやすい質問から順に。 # 制約 - 質問は部長の口調で、30字以内 - 「費用はいくら?」のように、提案書にすでに書いてある質問は入れないこと - 「今の答えの弱さ」は、何が足りないかを25字以内で書くこと
1「なぜ今年度じゃなく2027年4月だ?」 刺さるページ:導入スケジュール 今の答えの弱さ:時期の根拠が示せていない 埋める材料:期初=予算年度の切替月、年末調整・決算期との重複回避、 ベンダー側の繁忙期(1〜3月)、準備期間3か月の逆算表 2「ITに弱い連中、本当に使えるのか」 刺さるページ:現場への影響・定着 今の答えの弱さ:「使える」が印象論のまま 埋める材料:無料トライアルでの操作テスト結果(最年長・PC苦手層5名で実測)、 スマホ撮影の画面数、操作手順書1枚、問合せ窓口と社内サポート担当の名前 3「20分×50人の数字、どこから出た?」 刺さるページ:現状課題の定量 今の答えの弱さ:実測かヒアリングか不明 埋める材料:測定方法(誰に・いつ・何件)、最短/最長のばらつき、 月次の総工数、再測定の予定日 4「削った時間は何に回すんだ?」 刺さるページ:導入効果 今の答えの弱さ:時間削減が成果に結びつかない 埋める材料:浮いた工数の振り向け先(経理の月次早期化日数、営業の訪問件数)、 残業代換算額、人員増を見送れる根拠 5「他社製品と比べた結果はあるか」 刺さるページ:製品選定 今の答えの弱さ:比較の過程が残っていない 埋める材料:3社比較表(費用・操作性・法対応・サポート)、落とした理由、 選定基準の重み付け 6「止まったら経費精算はどうする」 刺さるページ:リスク対応 今の答えの弱さ:障害時の代替手段がない 埋める材料:SLA稼働率、過去の障害履歴、紙での暫定運用フロー、 締め日をずらす判断基準と決裁者 7「電帳法とインボイスは満たすのか」 刺さるページ:法令対応 今の答えの弱さ:「対応済」とだけ書いてある 埋める材料:JIIMA認証の有無、保存要件の対応一覧、税務調査時の提示手順、 顧問税理士の確認コメント 8「来年以降、値上げはないのか」 刺さるページ:費用計画 今の答えの弱さ:初年度だけの数字で止まる 埋める材料:契約期間と改定条項、過去の値上げ実績、人数増時の単価、 3年間の総額試算と30万円枠との差
1番目の「なぜ今年度じゃなく2027年4月だ?」は、私が前提として渡した日付です。渡した情報にも質問が来ると分かります。
この8個は、答えるためのリストというより集める材料のリストとして使います。上から3つだけ埋めれば、だいぶ強くなります。
うまくいかない時は、プロンプトの3か所を直せば変わります
まず、うまくいかなかった出力をそのまま載せます。冒頭で書いた1行だけのプロンプトです。
経費精算を電子化する提案書を作ってください。
## 1. 提案の要旨 現在の紙・Excel・押印を前提とした経費精算業務を、クラウド型の 経費精算システムに移行します。これにより、年間約6,900時間 (約1,200万円相当)の業務工数削減、電子帳簿保存法・インボイス 制度への恒久的な対応、不正・過払いリスクの低減を同時に実現します。 初期費用・運用費用を含めても、投資回収期間は約4ヶ月と試算しています。 (中略) ### 4.1 定量効果(従業員300名/月間精算件数1,500件を前提) 対象 / 現状(1件あたり)/ 導入後 / 削減時間 / 月間削減 申請者 / 15分 / 5分 / 10分 / 250時間 承認者 / 8分 / 3分 / 5分 / 125時間 経理 / 12分 / 4分 / 8分 / 200時間 合計 / / / / 575時間/月 - 年間削減時間:約6,900時間 - 人件費換算(時間単価2,500円):年間約1,725万円
しかも、要旨では年1,200万円、表では年1,725万円と、同じ出力の中で金額が食い違っています。従業員300名、月1,500件、時間単価2,500円、どれも私が渡していない数字です。情報を渡さないと、AIは平均的な会社を想像して数字を埋めます。
この出力の末尾には「カスタマイズが必要な箇所」として差し替えリストも付いていました。つまりAI自身も仮の数字だと分かっています。それでも本文には数字として書かれます。
よくある失敗3つと、直す場所
| こうなったら | プロンプトのここを直す |
|---|---|
| 知らない数字が入っている | 「渡した前提に書いていない数字は作らないこと。足りない数字は『?』と書くこと」の1行を足す |
| 一般論のページが並ぶ(DXの重要性など) | 「一般論だけのページは入れないこと」と書き、相手を「現場の作業は細かく知らない部長」まで具体的に書く |
| 長すぎて直す場所が分からない | 「まだ本文は書かないでください」と「8ページ以内」を足し、出力の形を3列の表に決める |
3つとも、足すのは1行です。私はこの3行をメモ帳に置いて、毎回貼っています。
- 社内の数字:人数・時間・件数・金額は、自分で測るか担当に聞く。AIが埋めた数字はそのまま使わない
- 相手の事情:誰が決めるか、過去に何が却下されたか。社内の人にしか分かりません
- 法令や規程の判断:出力に出てきた制度名は、必ず公式の説明と社内規程で確認する
- 会社の情報の扱い:社内の資料をAIに貼る前に、自社のルールを確認する。ここは記事の手順より会社のルールが先です
判定の目安:出力に「?」が1つもなければ、どこかで数字を作られています。?を探すのが最初の確認です。
次にやる作業
- 議事録をAIに書かせる手順|Claudeに会議メモを渡して決定事項を抜き出す
- AIに事業アイデアを議論させる朝会を18分で組みました|5案を15点で採点
- 仕事のAI活用の記事をまとめて見る(柱④のまとめページ)
よくある質問に3つ答えます
無料プランでもできますか
ChatGPTでも同じようにできますか
社内の資料をAIに貼ってもいいですか
本文を書く前の30分で、提案書の勝負はだいたい決まります
私は提案書も投資の作業も、同じやり方で回しています。AIに形を決めてもらい、数字は自分で取りにいく。この順番にしてから、作り直しがほとんどなくなりました。次の提案書で、まず1本目のプロンプトだけ試してみてください。
🎁 LINE友だち限定 無料プレゼント20点
AI・半導体・電力の企業の決算カレンダーとニュース(毎週日曜に更新)、ブラウザで動くアプリ7本、AIに貼るだけのプロンプト(毎月新作)を、LINEの友だち追加だけで受け取れます。
無料で受け取るこの記事の手順を、動画で通しでやる講座
Claudeマスター講座 初級編
この記事の「出力の形を指定する」「渡していない数字は?で返させる」の書き方は、講座の前半でプロンプトの組み立てとして扱っています。
講座の中身を見る(Udemy) どの講座が合うか3問で診断する株ちゃん投資情報 管理人。AIで投資の作業を手順にして、自作のスキルとアプリで毎日回しています。YouTube登録者12,000人。
出典
- Claude 料金ページ(Anthropic)https://claude.com/pricing 2026年10月23日確認。Freeプランは0ドル、Proプランは毎月払いで月20ドル、年払いは年200ドル前払い。プロジェクトはFreeで最大5つ
- 記事内の「実際の出力」4本は、いずれもClaudeで2026年10月23日に実行したもの。入力したのは記事に載せたプロンプトの全文のみ
- 例に使った会社・人数・件数・金額はすべて架空の設定(実在の企業の数字ではありません)
【ご注意】この記事はAIの使い方を紹介するものです。AIの出力には誤りや、渡していない数字が混ざることがあります。社内の資料として使う前に、数字と制度の記述は必ず一次情報と社内規程で確認してください。会社の情報をAIに入力する際は、所属先のルールに従ってください。

