「4社とも増収なのに、なんで株価は上がる会社と下がる会社に割れたの?」
2026年7月、AIにいちばんお金を使ってる米クラウド大手4社の決算が出そろったの。結果は全社2桁増収。なのに株価の反応はきれいに勝ち負けが分かれたんだよね。
この記事では4社の決算を数字で並べて、市場が何を基準に勝敗をつけたのか、そして日本の半導体株にどう跳ね返るのかまで整理するよ。最後に、次の決算を自分で採点できるAIプロンプトと出力例もつけたので、そのまま使ってね。
📖 このシリーズの起点はこちら。7月の暴落が「なぜ起きたか」を解説した第1弾:【2026年7月】AI・半導体株はなぜ暴落したのか(下げの三重構造) を先に読むと、この決算の意味がクリアになるよ。
まず結論:市場が見ていたのは「いくら使うか」ではなく「いくら残るか」
1 勝敗を分けたのは増収率じゃなく「投資がキャッシュに変わっているか」。全社2桁増収でも株価は割れた
2 設備投資は全社さらに増額。3社のガイダンス上限だけで約5,700億ドル(約90兆円規模)に達する
3 そしてアマゾンは増額理由に「メモリコストの上昇」を明言。これは日本のメモリ関連株に直結する情報
※本記事は2026年7月31日時点で公表・報道されている情報に基づく整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価・為替は変動するため、最新値は必ずご自身でご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
米国のクラウド企業の決算って、日本の半導体株にどう関係あるの?そこが一番知りたい。
PART 1 全体像──4社の決算を1枚の表で
──全社2桁増収、なのに株価は割れた
このパートの要点:マイクロソフトとアマゾンが上昇、アルファベットとメタは下落。増収率が最も高かったのはメタ(28%増)なのに、株価の反応は最も厳しかった。
| 企業 | 売上高 | クラウド成長 | 株価反応 |
|---|---|---|---|
| マイクロソフト | 900億700万ドル (+18%) |
Azure等 +43% | 上昇 |
| アマゾン | 2,006億ドル (+20%) |
AWS +36.7% | 上昇 |
| アルファベット | 1,197億9,600万ドル (+24%) |
Google Cloud +82% | 下落 |
| メタ | 608億100万ドル (+28%) |
―(広告主体) | 下落 |
この表、めちゃくちゃ示唆的だよね。クラウドの伸び率が一番高かったのはGoogle Cloudの82%増。なのにアルファベットの株価は決算後に下落してる。増収率が一番高かったメタも下落。つまり市場は「伸び率」を見ていないってこと。じゃあ何を見てたのか。1社ずつバラしていくよ。
PART 2 マイクロソフト──今回の最大の勝者
──2026年度第4四半期(2026年4〜6月期)
決算のポイント
・売上高:900億700万ドル(前年同期比18%増)
・営業利益:406億300万ドル(同18%増)
・純利益:357億6,600万ドル(同31%増)/希薄化後EPS 4.81ドル
・Microsoft Cloud:593億ドル(同27%増)
・Azureおよびその他クラウドサービス:43%増(前四半期の40%増から加速)
・Azureの通期売上高が初めて1,000億ドルを突破
LSEGコンセンサスは売上高876億2,000万ドル・調整後EPS4.24ドルだったから、売上・利益・Azure成長率のすべてで予想を上回ったことになる。株価は時間外で一時約3%高となり、その後さらに上げ幅を拡大。翌30日の通常取引でも大幅高となって、ダウ平均を600ドル超押し上げる原動力になったよ。
純利益31%増ってすごいんだけど、Anthropicへの投資に伴う32億ドルの評価益がEPSを0.33ドル押し上げてるの。OpenAIへの投資影響などを除いた非GAAPベースの純利益は352億8,600万ドル(22%増)、EPSは4.74ドル(23%増)。
それでも十分に強い数字だけど、本業の比較は営業利益と非GAAPで見るのが正解だよ。純利益だけで比べると、投資評価益が乗ってる会社が過大評価されちゃう。
キャッシュ面も見とこ。4〜6月期の設備投資とファイナンスリースは前年同期比70%増の410億ドル。有形固定資産の取得額は358億200万ドルと前年同期の約2.1倍で、フリーキャッシュフローは23%減の196億3,900万ドルになった。Microsoft Cloudの粗利益率も65%まで低下してる。
つまりマイクロソフトも投資でキャッシュは削られてるの。それでも評価されたのは、「需要→売上→利益→営業キャッシュ」までの流れをちゃんと示せたから。ここが他社との決定的な差だった。
PART 3 アマゾン──AWSが再加速、そして「メモリコスト」に言及
──日本の半導体株にいちばん効くのはココ
決算のポイント
・売上高:2,006億ドル(前年同期比20%増)/市場予想1,970億ドルを上回る
・営業利益:275億ドル(同43%増)/営業利益率13.7%
・AWS売上高:422億ドル(同36.7%増)で5四半期連続の加速、年換算実行レートは1,690億ドル
・AWS営業利益:166億ドル/営業利益率39%(6億ドルのデリバティブ評価益を含む)
・広告:198億ドル(同26%増)/北米売上は16%増
・第2四半期の設備投資:531億ドル
AWSの36.7%増は18四半期ぶりの高い伸びと報じられてる。アンディ・ジャシーCEOは、AI収益と自社開発チップ(Trainium・Graviton)事業がそれぞれ年換算で250億ドルを突破し、いずれも3桁成長だと明かしたよ。
なお純利益は626億ドルと大幅増になってるけど、これはAnthropicなどへの投資による約534億ドルの税引前その他収益を含む数字(※金額は要確認)。本業の実力は営業利益275億ドル(43%増)で見るのが妥当だね。ここもマイクロソフトと同じ注意点。
アマゾンは2026年の現金設備投資見通しを、従来の約2,000億ドルから約2,200億ドルへ引き上げた。そしてその理由として「メモリコストの上昇」を挙げているの。
これ、めちゃくちゃ重要。買う側が「メモリが高くて予算が膨らんだ」と言っている=メモリ価格がまだ上昇局面にあることを、買い手自身が認めたってことだから。7月の暴落で騒がれた「メモリ供給過剰懸念」とは、真逆の情報だよね。
さらに同社は2026年の需要をすべて満たす能力はないとし、供給制約は2027年まで続く、2027〜2028年の需要も相当なものになるとの見通しを示している。
ジャシーCEOは巨額投資の正当性についても、データセンターの耐用年数は30年以上、サーバー投資の損益分岐点は3年未満だから魅力的なリターンになる、と説明してる。ここは反論もありうるポイントだけど、少なくとも会社側の論拠は明確だよ。第3四半期の見通しは売上高1,970〜2,020億ドル、営業利益225〜265億ドルとしてる。
PART 4 アルファベット──クラウド82%増なのに、なぜ売られた?
──フリーキャッシュフローがマイナスに転落
決算のポイント(7月22日発表)
・売上高:1,197億9,600万ドル(前年同期比24%増)/12四半期連続の2桁成長
・営業利益:408億ドル(同30%増)/営業利益率34%
・Google Cloud:247億6,800万ドル(同82%増)、営業利益88億1,400万ドル(前年28億2,600万ドル)
・Google Cloudの営業利益率:20.7%→35.6%へ急改善
・検索広告は17%増、YouTube広告は110億ドル超
数字だけ見たら文句なしだよね。特にGoogle Cloudは、売上・営業利益ともにアルファベット全体の約21%を占めるまでに育って、検索広告を抱えるGoogle Servicesに次ぐ収益の柱になった。CFOは、コアGCP・企業向けAIソリューション・AIインフラのいずれもが増収に寄与したと説明していて、この四半期からは顧客のデータセンターへ納入するTPUシステムの売上も初めて計上されてる。
それなのに、株価は発表後に7%超の下落。理由はキャッシュだよ。
💸 何が起きていたか
・第2四半期の設備投資:449億ドル(前年同期224億ドルからほぼ倍)
・営業キャッシュフロー:391億ドル → フリーキャッシュフローはマイナス58.6億ドル
・通期2026年の設備投資ガイダンス:1,800〜1,900億ドル → 1,950〜2,050億ドルへ上方修正
・2027年についても「大幅に増加する」とコメント
・6月に増資で純額496億ドル、社債で203億ドルを調達
・自社株買いは前年同期の132億ドルからゼロに
・支払利息は2.6億ドル→12.8億ドル、長期債務は465億ドル→982億ドルへ半年で倍増
※社債調達額・負債残高は一次情報(10-Q)での確認を推奨
長らく「世界でもっともキャッシュを生む会社」のひとつだったアルファベットが、本業の生むキャッシュだけでは投資をまかなえない状態になった。しかも足りない分は増資と社債で埋めてて、自社株買いは止まってる。
第1弾で書いた「財務律速」——AI投資のブレーキは需要じゃなく資金繰りになる、という話が、数字としてはっきり現れたのがこの決算だよ。
PART 5 メタ──増収率トップなのに、評価は最も厳しかった
──FCFが7億8,400万ドルまで縮んだ
決算のポイント(7月29日発表)
・売上高:608億100万ドル(前年同期比28%増)/市場予想601億7,000万ドルをわずかに上回る
・純利益:158億4,800万ドル(同14%減)で市場予想を下回る
・営業利益:187億7,500万ドル(同8%減)/営業利益率は43%→31%へ低下
・総コスト・経費:420億2,600万ドル(同55%増)
・広告インプレッションは14%増、広告単価は12%上昇と、広告本体は堅調
減益の理由は、訴訟関連費用と2026年5月に実施した約8,000人の人員削減に伴う退職金、そしてAI関連支出の急増。実効税率も11%から16%へ上がってる。一時的な要因が多いとはいえ、市場予想を下回ったインパクトは大きかった。
そして決定打がキャッシュ。第2四半期の営業キャッシュフロー318億6,000万ドルに対し、設備投資が310億8,000万ドル。差し引きのフリーキャッシュフローはわずか7億8,400万ドルで、2022年第3四半期以来の低水準になった。
ガイダンスも重かった。第3四半期の売上見通しは610〜640億ドルで市場予想を下回り、通期の設備投資見通しは1,250〜1,450億ドルから1,300〜1,450億ドルへ、上限は据え置きつつ下限を引き上げた。株価は時間外で7〜8%超の下落。過去14四半期のうち13四半期で利益予想を上回ってきた同社にとって、異例のつまずきだったよ。
整理すると、売上で負けた会社は1社もないの。負けたのは全部キャッシュ。ここが今回の決算シーズンの答えだよ。
PART 6 4社を貫く3つの共通点
──ここが投資判断の材料になる
設備投資は誰も減らしていない。むしろ全社が増額
アルファベットは1,950〜2,050億ドルへ上方修正、アマゾンは約2,200億ドルへ引き上げ、メタは下限を引き上げ。3社のガイダンス上限を単純合計すると約5,700億ドル(1ドル159円換算で約90兆円規模)。マイクロソフトは暦年ベースの計画を公表していないためこの合計には含めていないけど、4〜6月期の設備投資とファイナンスリースが前年比70%増の410億ドルだから、方向は同じだよ。
フリーキャッシュフローが全社で削られている
マイクロソフトは23%減、メタは7億8,400万ドルまで縮小、アルファベットに至ってはマイナス転落。「AI投資は儲かるか」以前に「AI投資は続けられるか」が論点になり始めているのが今回の決算シーズンの本質だと思う。
投資評価益で純利益が膨らんでいる会社がある
マイクロソフトはAnthropic投資の32億ドル評価益、アマゾンは約534億ドルの税引前その他収益。純利益だけで各社を横並び比較すると読み違えるので、営業利益と非GAAPで揃えて見るのが鉄則だよ。
日本の投資家が持ち帰るべき1行
買う側が「メモリが高くて設備投資予算が膨らんだ」と言い、「2026年の需要は全部は満たせない」とまで言っている。
これは需要side・供給sideの両方から、メモリ市況がまだ上向きであることを示す一次情報だよ。
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PART 7 AIで次の決算を自分で採点する
──コピペで使えるプロンプト+出力例
このパートの要点:決算の「良い・悪い」をAIに聞いても意味がない。5つの軸で採点させて、株価が上がる側/下がる側のどちらに分類されるかを機械的に判定させるのが正解。
今回いちばんの学びって、「増収率を見ても株価反応は予測できない」ってことだったよね。じゃあ何を見ればいいのか。それを毎回同じ手順でチェックするために、この採点シートを使ってみて。
📋 プロンプト:ハイパースケーラー決算 採点シート
あなたは冷静な株式アナリストです。以下のクラウド大手の決算を、 「株価が評価されやすい型」か「売られやすい型」かに分類してください。 予測や推奨は不要です。開示された事実の分類と採点だけを行ってください。 【入力】 ・企業名/対象四半期: ・売上高と前年同期比: ・営業利益と前年同期比: ・純利益と前年同期比(一時的要因があれば併記): ・クラウド部門の売上と成長率: ・当四半期の設備投資額: ・営業キャッシュフローとフリーキャッシュフロー: ・通期の設備投資ガイダンス(前回との差): ・次四半期の売上ガイダンス(市場予想との差): 【採点ルール】5項目を各2点で10点満点 1. 増収の質:営業利益も同程度以上に伸びているか(利益率が維持・改善か) 2. キャッシュ耐性:FCFがプラスを維持しているか、減少幅は営業CFの範囲内か 3. 投資の説明力:設備投資の増額に、需要側の根拠(受注残・実行レート等)が伴うか 4. 一時要因の有無:純利益に投資評価益など一時的要因がどれだけ含まれるか 5. ガイダンスの向き:次四半期の売上見通しが市場予想を上回るか 【判定】 ・8点以上:評価されやすい型 ・5〜7点:中立(材料次第で振れる) ・4点以下:売られやすい型 【出力形式】 ・採点表(項目/点数/根拠を1行ずつ) ・合計点と分類 ・この決算で最も注視すべき指標を1つだけ挙げる ・数値が確認できない項目は推測せず「データなし」と明記し、 その項目は採点から除外して満点を調整する
💡 出力例(アルファベット 2026年第2四半期で実行)
| 項目 | 点数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 増収の質 | 2 | 売上24%増に対し営業利益30%増。営業利益率34%と改善 |
| キャッシュ耐性 | 0 | FCFがマイナス58.6億ドルに転落。増資・社債で補填 |
| 投資の説明力 | 1 | Cloud82%増という需要側の根拠はあるが、上方修正幅が大きい |
| 一時要因の有無 | 1 | 純利益の増加率が突出。内訳の確認が必要 |
| ガイダンスの向き | データなし | 売上ガイダンスは非開示のため採点から除外 |
合計:4点/8点満点 → 分類は「売られやすい型」
最も注視すべき指標:フリーキャッシュフローと資金調達手段の推移(自社株買いの停止と長期債務の増加が続くかどうか)
実際にアルファベットの株価は決算後に7%超下落してるから、この採点は結果と整合してる。大事なのは当たったことじゃなくて、同じ手順で全社を採点できること。手順が固定されてれば、自分の気分で評価がブレなくなるよ。次の決算シーズンにそのまま使ってみて。
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まとめ:AI投資は終わっていない。ただし採点基準が変わった
1 4社とも2桁増収。売上で負けた会社は1社もない。負けたのは全部キャッシュだった
2 設備投資は全社が増額。3社のガイダンス上限だけで約5,700億ドル規模まで膨らんだ
3 アマゾンは増額理由にメモリコスト上昇を明言し、2026年の需要は全部は満たせないとした
4 純利益には投資評価益が混ざる会社がある。営業利益と非GAAPで揃えて比較するのが鉄則
「AIバブルは終わったのか」って質問への現時点の答えは、たぶんこうなる。需要は終わっていない。終わったのは、投資額の大きさそのものが評価される時代のほう。
これからは、同じ「1,000億ドル投資します」でも、キャッシュを生みながら投資する会社と、借金して投資する会社が、はっきり別物として値付けされる。選別の時代に入ったってことだよね。選別される側じゃなく、選別する側に立とう。
よくある質問
いくら使うか、ではなく、いくら残るか。
決算は「成長率の答え合わせ」から「体力の答え合わせ」に変わった。
基準が変わったら、こっちも見る場所を変えればいい。
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本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
